西廣智一がナノの海外公演をレポート

ナノが2年ぶりドイツ公演で見せた“言語の壁”を超える瞬間 『Rock on Germany.』現地レポート

 

 最高の盛り上がりの中、ナノは本編ラストに最新アルバムのタイトル曲「Rock on.」をパワフルに歌い上げ、ステージを後にした。ここまで海外のファンを中心に触れてきたが、改めてナノ自身の成長ぶりについても触れておきたい。2年前のドイツ公演はバンドメンバーなし、たった1人でステージに立つという心細い状況だったし、ライブ自体も絶対的な経験数が足りなかったことで、決してベストと呼べるようなパフォーマンスではなかったのかもしれない。しかしアルバム『Rock on.』発売後に行ったライブハウスツアーを経験したことで、ライブ1本を最後までやり通すだけの実力を身に付け、さらに観客の煽り方やコミュニケーションの取り方もより自然なものへと進化している。ナノ自身もいろいろな環境でのライブを経験したことで、間違いなく真のライブアーティストへと進化を遂げたのだろう。それはこの日のライブを観ただけでも十分に伝わってきたし、ライブ本編が終わった後すぐに発生したアンコールを求める観客のリアクションからも伺い知ることができた。

 アンコールではデビューアルバム『nanoir』のオープニングナンバー「magenta」、アニメ『ファイ・ブレイン〜神のパズル』第2シリーズのオープニングテーマ「Now or Never」と人気曲を連発。そして「またドイツに戻ってくるよ。You guys so awesome!」といううれしい言葉とともに、スケール感の大きなミディアムチューン「Dusty Mirror」で約90分におよぶドイツワンマンライブを締めくくった。

 

 ライブ終了後には、クラウドファンディングでプレミアムチケットを購入したファン100数十名と、ピースサインの記念撮影やグッズへのサインを含む握手会も実施された。ここでは事前に渡された用紙やアルバム『Rock on.』のブックレットに加え、Tシャツやパーカー、自作のお面、さらには自分の腕やパスポートを差し出し、ナノにサインをしてもらおうとするファンが続出。ナノは1時間以上をかけてファン1人ひとりとコミュニケーションを図り、2年ぶりのドイツ滞在を満喫した。4月の台湾公演に続いて行われた海外ライブ。9月にはインドネシアでのイベント出演も決定しており、今後も国内外で精力的なライブ活動が期待できそうだ。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

■Nano One Man Live『Rock on Germany.』セットリスト
M1. SABLE
M2. identity crisis
M3. Born to be
M4. JUMP START
M5. Scarlet Story
M6. INFINITY≠ZERO
M7. BE FREE (WITH MUSIC)
M8. Freedom Is Yours
M9. One Life (Unplugged)
M10. Horizon (Unplugged)
M11. Be the one (Unplugged)
M12. No pain, No game
M13. Nevereverland
M14. Rock on.
<Encore>
M15. magenta
M16. Now or Never
M17. Dusty Mirror

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