マーク・ロンソン×DJ KAORI 日米のトップDJが語るクラブシーンの20年

「Uptown Funk feat. Bruno Mars」/Mark Ronson

――常にマーク・ロンソンなりの“ファンク・スタイル”をアップデートしているのがあなたの音楽的魅力だと思います。『Version』までのアルバムと、『UPTOWN SPECIAL』に違いがあるとしたら何でしょうか?

マーク:より売れているのが、今回の『UPTOWN SPECIAL』ってことになるかな(笑)。僕のサウンドで一番の要になるのはドラム・サウンドなんだ。ヒップホップのトラックは、どれもドラムの音が決め手になるだろ? あと、今回の作品は過去の楽曲よりもずっとグルーヴやR&Bっぽさやファンクネスを表現していると思う。20年前、僕は自分の好きな曲を集めてDJをしていた。クール&ザ・ギャングがラジオから流れたら大興奮していたし。そのテイストを、自分の作品にそのまま落とし込んだらどうなるだろう?って思ったんだ。これが自分にとって最後の作品になってもいいように、そんな意気込みで作ったんだよ。だからこれまでの作品と違って聴こえるポイントがあるとしたら、そこかな。

――「UPTOWN FUNK」のMVもとても印象的でした。

マーク:「UPTOWN FUNK」というタイトルはどうやって思いついたか覚えていないんだけど、ヒップホップが好きなら、みんなそれぞれの“アップタウン”のイメージがあると思うんだ。僕にとっては、ハーレムやブロンクス、いわゆるヒップホップが生まれた街のイメージ。ブルーノも同じで、彼はハワイ出身だろ。でもブロンクスにプエルトリコのおばあちゃんが住んでいる。だからお互いに“アップタウン”には共通のイメージがあった。だから、2人のイメージを掛け合わせたMVを作ったら面白いと思ったんだよね。ストリートをしゃべりながらうろついて、ダンスする、みたいなね。

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――音楽シーンは常に変化が著しいですが、その中でもDJとして特に面白いと感じるのはどういった点でしょうか?

マーク:今のシーンでいうと、ハドソン・モホークに代表されるようなイギリスの若手プロデューサーたちが面白いね。彼みたいな、ジャンル間のクロスーオーヴァーな動きに注目しているよ。ヒップホップとハードなEDMトラック――例えば、カニエ・ウエストとTNGHTの動きとかね。あと、最近はケンドリック・ラマーやアクション・ブロンソン、ドレイクたちがラップ・シーンを、さらに面白くしていると思う。

KAORI:私はもちろん、最近のポップ・ミュージックも大好きだし、トップ40のようなヒット曲にも刺激を受けますね。新しい音楽に触れるときは、いつだって興奮するのは何年経っても変わらないことかな。あと、新曲を初めてお客さんの前でプレイするのときは今でも緊張するし。

マーク:僕もだよ! 大好きな新曲を初めてかけるタイミングには、とても慎重になるよね。プレイする時間が30分間だろうと、お客さんにとっては一晩中続くパーティなんだから、その中の一瞬、誰も知らない新曲をかけるタイミングは相当見極めないといけないポイント。前に、バッドボーイの関係者からレコードをもらって、ビギーの「Hypnotize」をニューヨークのクラブで初めてかけるタイミングがあったんだけど、そのときのお客さんのエネルギーはすごかったな。

――今後、おふたりでDJをするプランは?

KAORI:ぜひとも実現させたいですね。マークを自分のパーティに招きたいんだけど……ギャラが高すぎなければなって(笑)。

マーク:いやいや、KAORIと一緒にプレイすること自体とってもクールなことなんだから。そこは心配しないで大丈夫さ!(笑)

(取材・文=渡辺志保 写真=伊藤祐樹)

■リリース情報
・マーク・ロンソン
『UPTOWN SPECIAL』
発売日:3月4日
価格:2,200円(+税)

・DJ KAORI
『DJ KAORI'S BEST POP HITS』
発売日:4月29日
価格:2,300円(+税)

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