リベリオン、ヒスパニ、クリスタル・レイク……ラウドシーンに変化をもたらす次世代バンドたち

 そして、この次世代を飾るバンドたちが出るサーキットイベントや無料フェスに欠かせないバンドがROACH、HER NAME IN BLOODだ。

 ROACHは沖縄で結成され、ラウドシーンを築いてきた多くの先輩バンドとの共演を果たしていて、すでに10年以上のキャリアもある。今までのバンド歴を見ると、海外公演の経験もあり、10-FEETやMAN WITHA MISSIONらが参加しているトリビュートアルバムにも参加してきた。そうした実績を背景に、力強いサウンドと、ボーカルのtaamaがステージから身を乗り出す前衛的なライブでファンも増えている。彼らのステージにおさまりきらないパフォーマンスには誰もが目を奪われるはずだ。

 HER NAME IN BLOODは6月に行われる『SCREAM OUT FEST2015』に出演が決定している。海外でも人気を誇るBreathe CarolinaやATTILAと共に新木場をわかす予定だ。メタルコアなどが日本でそれほど認知されていない時期から彼らは独自の音を放ってきた。各パートが強く、太い芯をもったサウンドは、“聞く”というよりも直接身体に“響く”体験に近い。ライブのフロアでは、重いサウンドながらも、踊ったり、大きなピットを作ったりと、バンド自体を知らなくてもつい混ざってしまう。

 今回紹介した5つのバンドの共通点は、ライブにおいて観客とともに“フロアを作り上げていく”ことだ。ファンは、パフォーマンス側のバンドの声、フリに反応して動く。そこに一体感が生まれるのは、バンドがファンとしっかりコミュニケーションを取っているからだろう。私自身ここ数年ライブハウスに通うなかで、Tシャツ、短パンの格好で「ライブに行くぞ!」という人ばかりではなく、普段のカジュアルな格好でライブハウスに来る方が増えたと感じている。バンドそれぞれの違いを磨きながら、観客をいかに自分たちと近い存在にするかーー。それが今後のラウドシーンを支え、ファン層を大きくしていくカギになるのではないだろうか。

(文=椎橋穏子)

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