香月孝史が各グループの動きを分析

2015年のAKB48グループはどこへ向かう? 世代交代が進む各グループの現状と課題

 2014年後半のAKB48グループは、選抜曲のセンターに立つメンバーに新たな顔を据えるシフトが相次いだ。HKT48では9月発売の『控えめI love you!』で兒玉遥がセンターに立ち、NMB48は11月発売の『らしくない』で白間美瑠と矢倉楓子をWセンターに、12月にはSKE48が『12月のカンガルー』で北川綾巴と宮前杏実をこちらもWセンターとして抜擢した。特にNMB48とSKE48はそれぞれグループの中心である山本彩と渡辺美優紀、松井珠理奈と松井玲奈をサイドに置いて、よりキャリアの浅いメンバーをセンターに起用することで、次世代の育成と知名度の上昇を促す施策を打ち出したといえるだろう。そしてAKB48は、38thシングル『希望的リフレイン』で2014年の選抜総選挙で1位を獲得した渡辺麻友とともに、HKT48から宮脇咲良をWセンターに抜擢した。2015年を本格的な次世代台頭の年にするための布石が、昨年秋以降着々と打たれていた。

 その世代交代の機運を決定的なものにしたのが、12月8日の高橋みなみ卒業発表だった。高橋が迷いながらも「総監督」の座を横山由依に引き継ぐことを宣言し、卒業の期日を一年後に設定したことで、2015年はAKB48グループ最初期を経験していない次世代中心へ体制を移行する一年となることが明確になった。また高橋と同じくAKB48の1期メンバーであり、かねてから近い将来の卒業を示唆している小嶋陽菜と峯岸みなみがグループを去ることも、高橋の卒業発表によってその現実味を増してきた。ファン以外への認知度も高く、グループの顔として活動してきた最初期メンバーたちに頼らずに勢いを維持するための準備をすることが、AKB48の今年の課題になっていく。

 2015年のAKB48が高橋の卒業を最大の核として動いていくことは間違いない。ただし48グループ全体にとっては高橋のみならず、各グループの歴史を知るベテランメンバーたちの卒業がすでに決まっていることも忘れてはならない。NMB48の1期メンバーとして山本、渡辺に並ぶ存在感を放っていた山田菜々、AKB48の4期メンバーからSKE48へ移籍し長年グループを支えてきた中西優香、SKE48のオープニングメンバーで48グループ最年長の佐藤実絵子らが、それぞれ今春の卒業を発表している。長い年月グループに在籍したメンバーの卒業はファンに強い感慨を与え、またグループ内のメンバー配置を否応なく変化させるが、同時に卒業する各メンバーがいかに順調に離陸できるかという課題もまた抱えることになる。高橋が「総監督」を横山へ継承させるか否かで悩んだのは、その地位によってグループに強く縛り付けられることで、ソロの芸能人への道を阻むことが危惧されたからだった。48グループをあくまで各人のステップのための機関と考えれば、卒業メンバーがグループの色から離れてソロの活動をまっとうしていくことこそが、組織としての長期的な大目標である(その意味で、「希望的リフレイン」のMVや今冬のいくつかのCMなど、前田敦子や大島優子ら卒業メンバーが現役の48メンバーと共演する機会が目立つ近況は、グループの歴史の厚みを印象づけるという利点を持つとともに、まだ卒業後にソロとして確固たる地位を築いていない卒業メンバーが、グループの色から脱することを阻んでしまう可能性もはらんでいる)。各グループのメンバーとして長い期間を過ごしファンも多い山田らが、春以降どのように独自の色を出していけるかもまた、48グループの今後の一側面を占うものになる。

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