tofubeatsはなぜこれほど愛される? 若手からベテランまで引きつける理由

 

 彼らJ-POPクリエイターの先輩たちに囲まれ、次世代を担うトラックメイカーとして可愛がられているのは、この日のライブを見れば何より明白だった。イベントをブッキングしたミッシェル・ソーリーもその一人であるし、J-POPで実績を積み、その酸いも甘いも知っている人間たちがtofubeatsの周りにはいる。だからこそ彼はここまで伸び伸びとやれているのだろうし、先達たちが味わったCD市場の激変期とは違ったアピローチで、シーンを渡っていけるのかもしれない。

 そしてtofubeats本人はこの日のパーティーで、金髪ヅラの“バッキー河合”として、島谷ひとみ「ペルセウス」や90年代のユーロビートでパラパラを踊り、賑やかしに徹した。自身のDJセットでは「Her Favorite feat.okadada」、「synthesizer」、「Dont' Stop The Music feat.森高千里」など新旧織り交ぜたパフォーマンスを見せたり、EWIを吹き倒してゲスト陣とともに「ディスコの神様」を熱演。終盤ではdj newtownの「high-school girl(thamesbeat remix)」から「水星 feat.オノマトペ大臣」「20140803」など熱を帯びたパフォーマンスを披露し、朝を迎えたUNITでのひと時を締めくくった。

ディーヴァとの邂逅と、今後への期待

 12月10日にリリースされた『宇多田ヒカルのうた』では、宇多田のデビュー曲ともいえる「time will tell」をBONNIE PINKとともにカバー。エッジの効いたビートに、BONNIEの憂いを帯びたボーカルが乗り、同作品の中でも出色のエディットを見せていた。彼は先述のインタビューで「『FKA Twigsになりたいです!』って女の子が現れないのは、時代として問題があると思うわけです(笑)」と語っているが、実際、近年のメジャーシーンでは“艶やかで憂いのある声を持つ新ディーヴァ”の登場が待たれていると言える。(参考:「“ネット発”みたいに十把一絡げにされてるのは面白くない」tofubeatsが明かす“発信を続ける理由”)「time will tell」で目覚ましい成果を上げた彼が、新たなディーヴァの登場に一役買う日も近いかもしれない。

(文=中村拓海)

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