今年も『朝霧JAM』に行ってきた “子連れ参戦”が常連のステイタスに?

 そもそも『朝霧Jam』は、開催当初より子連れOKを掲げて始まったイベント。2009年以降は親子で遊ぶことができるキッズランドも設置されるようになり、その規模も内容も年を追うごとに充実してきている。親はライブを楽しみ、子供たちは自然の中で思う存分身体を動かす。まさにWINWINな関係への配慮がしっかりとなされている。

 また、参加者の多くが20代中盤~3、40代と、比較的年齢層が高めなのも理由のひとつだろう。20代、30代といえばちょうど結婚して子供が生まれるお年頃。加えてリピーターの多いイベントだけに、子供が生まれても参加したいと考える親たちも多そうだ。しかも、小学生以下は無料ときている。

 そして、最大の理由と思われるのが、子連れ『朝霧Jam』参戦のステイタス化である。今でこそ、販売枚数も増加したが、かつての『朝霧Jam』は発売後チケットが即完するレアなイベントという側面が強かった。加えて初秋の富士山麓は、夜間や早朝には気温が1ケタになることもある、なかなかに過酷な自然環境。それを補うため、参加するには、一定以上の装備が必要となる。そう、「朝霧Jam」への参加は決してハードルが低くない。まして家族でとなるとなおさらだろう。だからこそ、それを乗り越えて子連れでやって来た親たちにはいわば尊敬に近い念が生まれる。さらにそんな彼らを見て結婚前の若いカップルなどは「いずれは子供と一緒に来たいね♡」と愛を深め合う。それをひたすら繰り返し、徐々に参加者が増え、今回の家族連れ大フィーバーへと繋がったのだろう。『朝霧Jam』への参加は、いわばフェスピーポーたちの成長の証なのである。

 近年はフジやサマソニでも家族連れ向けのホスピタリティを充実させたり、『WORLD HAPPINESS』や『New Acoustic Camp』など、むしろファミリーを大歓迎の野外フェスも増加の傾向にある。もちろん、こういった場所に連れてこられる小さな子供たちが、熱心に音楽を聴いているわけではないだろうし、夏フェスでは暑さ対策も十分に考慮されるべきであろう。それでも、子供を音楽フェスに連れていくという文化が今後より一般化していくことは、集客の面でも大きなヒントになるに違いない。

(文=板橋不死子)

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