成馬零一の『TOKYOPLAYGROUND vol.5&6』レポ

ライムベリー×BELLRING少女ハート、2マンライブで見せたパフォーマンスの進化

BELLRING少女ハートとライムベリーによるライブ・パフォーマンス。

 9月14日。LIVE labo YOYOGIにて、『TOKYOPLAYGROUND vol.5&6』が開催された。TOKYO PLAY GROUNDは、アイドルラップユニット・ライムベリーが主催するライブイベント。午前中に開催されたVol.5にはアイドルのコショージメグミ、小池美由だけでなく、ラッパーのGOMESSも参戦。過去には環ROYも出演しており、アイドルイベントの枠に収まらない異色のラインナップが毎回話題となっている。

 そして夜の部となるVol.6では、BELLRING少女ハート(以下、ベルハー)とライムベリーによる2マンライブが開催された。

 スチャダラパーや電気グルーヴといった90年代サブカルチャーの遺伝子と00年代萌えカルチャーの遺伝子が10年代アイドルカルチャーに集約されたアイドルラップユニット・ライムベリー。プログレッシブロックやサイケデリックなサウンドにのった少女たちの痛々しい歌声がデカダンス全開で、アングラ演劇的なライブパフォーマンスが注目されるベルハー。どちらも独自の世界観を形成しているワン&オンリーのアイドルグループだ。

 チケットは即日ソールドアウト。30分押しとなった会場は、始まる前から異様な熱狂に包まれていた。

オープニングアクトの信岡ひかる。

 オープニングアクトはDJ HIKARUにそっくりなお友達として有名な信岡ひかるが、定番のナンバーとなった「夢をかなえてドラえもん」(mao)と「NEW WORLD MUSIC」(いきものがかり)のカバーを披露。DJ HIKARUとは違うパフォーマンスで正統派アイドルとしての貫禄を見せつけた。すらりと伸びた長い美脚は圧巻で、2010年代の森高千里と言っても過言ではない。今後、要注目のソロアイドルだ。

 続けてベルハー(朝倉みずほ、仲野珠里、美月友華、宇佐美萌、柳沢あやの、カイ)の6人が登場。鴉を連想させる翼が腕についた漆黒のセーラー服を着て姿を現し、幕開けと共にお互いをピストルで撃ちあい“全員死亡”を演じた後、一曲目の「World World World」がスタート。乾いた銃声は演出だとわかっていてもギョッとしてしまうのは、彼女たちのサイケデリックでダウナーな楽曲が死の匂いを漂わせていたからだろう。まるで一本の演劇を見ているかのようで、昔見た寺山修司のATG映画『書を捨てよ街へ出よう』を思い出した。

衣装も個性的なBELLRING少女ハート。

 印象的だったのは、曲終盤で女の子たちが悲鳴のような怪鳥音をあげる場面。それに呼応して客席も絶叫し、まるで集団自殺でも起きたかのような断末魔の共振が巻き起こるのだが、会場の空気はとてつもなく明るくて楽しくて、ここで死ねたら本望だろうと感じてしまう。徹底した世界観を構築しながらも、それを台無しにするかのような、軽く舐めてるかのように見えるパフォーマンスがすごく挑発的で、何かを試されてるような気持ちになってくる。彼女たちを見ていると、アイドルを楽しむことの中に内包されている十代の少女たちの青春をおもちゃにして摩耗させていることへの罪悪感が刺激されるのだが、その後ろめたさ自体が表現の一部に取り込まれているがゆえの厄介な面白さがあるのが、ベルハーのクリティカルなところだ。

 その後、MCなしで12曲ぶっ続けで歌いきり、ライムベリーとのコラボ曲「c.a.n.d.y.」を挟んで、ライムベリーにバトンタッチ。

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