チャットモンチーはガールズロックをどう変えた? デビュー時から新体制への音楽的変化を辿る
「『きらきらひかれ』はASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文がプロデュースを務めた楽曲であり、2011年以降セルフプロデュースでリリースを続けた彼女たちにとって、他者のクリエイティビティを受け入れてどう変わるかを実証した一つの作品でした。また、今回サポートとして加入した下村は後藤の運営するレーベル『only in dreams』からアルバム『回転体』をリリースしており、恒岡章は磯部正文BANDのドラマーとして、アジカン主催のフェス『NANO-MUGEN FES.』に出演しています。今回の加入劇の背景には、後藤の影響があったのかもしれませんね。また、下村は様々なバンドのサポートを多く務めるほか、自身が所属するthe chef cooks meもフレキシブルに編成が変わるバンドなため、チャットモンチーにもすぐに馴染むことができるでしょう。恒岡は、橋本絵莉子がMCで『最初にコピーしたバンド』と語っていたHi-STANDARDのメンバーであり、現在もCUBISMO GRAFICO FIVEやCurly Giraffeなどのサポートで活躍しています。その演奏力の高さで彼女たちをしっかりと支えていくはずです」
さらに、現在公式サイトで視聴可能となっている新曲「こころとあたま」「いたちごっこ」の2曲は、チャットモンチーの“これまでとこれから”を象徴していると、同氏は続ける。
「『こころとあたま』は、疾走感のある楽曲で『きらきらひかれ』と共通したものを感じます。下村のキーボードも楽曲全面にわたってフィーチャーされており、『変身』の制作時に掴んだものが反映されている印象です。また、『いたちごっこ』は“これからも二人でやっていく”という意思が込められた楽曲で、橋本絵莉子と福岡晃子の掛け合いはどこか初期のころを思い出させます。この2曲を聴いて、チャットモンチーがこれまで以上に、アイディアに満ちたガールズロックの文化を作ってくれると確信しました」
チャットモンチーに憧れて楽器を手にした女性たちが、徐々にシーンを賑わし始めており、その影響力の大きさを実感させられる昨今。新体制での活動再開により、さらにスケールを増したバンドへと成長していきそうだ。
(文=編集部)