デビュー25周年の遊佐未森が語る、歌い続けることの意味「いつも新しいものを届けたい」

「歌を歌う女の子を見てるといろいろイメージが広がったりする」

――最後の「0の丘∞の空」には外間隆史さん、WATUSIさんも参加されていました。WATUSIさんは遊佐未森さんにとってどういった方なんでしょうか。

遊佐:WATUSIさんは、私の東芝EMI時代を支えてくださった方で。やっぱり出会って20年以上になるんですけれども、今もいろんなことを話したり相談したりしますし、お友達でもありますね。

――外間隆史さんも古くから遊佐未森さんを支えていた方ですよね。

遊佐:そうですね。もう、デビュー前からです。

――でも、ステージの上で共演する機会はなかなかなかった。

遊佐:なかったですね(笑)。ステージ上に一緒にいるのはたぶん2回目とかだと思います。今回ゲストでお願いした時に「ギターを弾くよ」って言ってくれたんですよね。ステージでギターを弾くのも20数年ぶりということで。そしてギターを弾きながらオクターブユニゾンで一緒に歌ってもらったんです。ステージで一緒に「0の丘 ∞の空」を歌いながら、デビューの頃よくスタジオなどでオクターブユニゾン状態でその時の新曲を歌っていたのを思い出しました。男女のオクターブユニゾンってブリティッシュロックっぽくなるんですよね。そういうところからも、自分達がデビューの頃に目指してたものも思い出しました。

――デビューの頃には、ブリティッシュロックっぽいサウンドに憧れがあった。

遊佐:憧れてましたね。イギリスで受ける音楽って何かこうピタッてくるものがすごく多かったし、時々ライヴでも歌っているケイト・ブッシュも大好きですし、プリファブ・スプラウトも尊敬していて。なぜ自分はブリティッシュなものに惹かれるんだろうっていうことをいつも考えたりしてました。もちろんブリティッシュロック以外の音楽も好きなんですけれど、どこか懐かしいような感じがあるんですよね。文化とか民族性みたいなところがそう思わせるのかもしれない。

――遊佐未森さんは25年歌い続けてきたわけですが、かつてと今とでは、音楽を巡る状況もいろいろ変わってきたと思います。ミュージシャンとして活動していく中で時代の変化を感じられたことはありますか?

遊佐:デビューした頃は、いわゆるメジャーがほとんどで、インディーズというものがほとんどなかったと思うんです。プロジェクトも大きかったし、スタッフの人数もすごく多かった。いろんな人に支えられてデビューしたと思います。そこからいろんな時代を過ごして、今はミュージシャンとしていろんな選択ができる時代になったと思いますね。

――いろんな選択?

遊佐:日本か海外か、大手のレコード会社でやるのか、インディーズでやるのか、自分でレーベルを立ち上げるのか。自由になって選択肢が広がったと思いますね。ただ、音楽業界的には非常に厳しい時代だし、音楽で生活していくことがどう変わっていくかは、本当に未知の世界ではあって。でも、音楽を作って歌を歌っていく、ステージでコンサートをやっていくっていう、基本的にやることは変わらないので。それぞれのミュージシャンが自分なりのスタイルを作っていくってことが大切なんじゃないかなって思いますね。

――今はいろんなやり方を選べる時代になったということですね。では、それを踏まえて遊佐さんが音楽活動をしていく上で大事にしているもの、心がけていることはありますか?

遊佐:私の場合、デビューの頃から一緒に音楽を作ってきたメンバーが今、近くにいてくださいますね。本当にそこは恵まれてると思うんですね。一緒にやろうって言ってくれる人がいる。続けて行く上でそれはすごく大切ですし、大切にしたいと思っています。コンサートをやって音楽を作っていくというスタイルだと、そういうメンバーとの関係から生まれるものがたくさんあります。

――それこそ、若い世代のミュージシャンをプロデューサー的に手掛けるようなことに興味を持ったりしていますか?

遊佐:ないことはないんですよ。「ああ、いいな」とか「あ、可愛い女の子だな」とか、思ったりします。何故か男子には目がいかないんですけど(笑)。歌を歌う女の子を見てるといろいろイメージ広がったりすることはありますよね。声を聴いて「ああ、こんな風に私も歌ってたな」とか、「この時もう少しここに筋肉が付いてるといいね」とか(笑)。そういう気持ちは最近確かにありますね。そこは自分なりに変化も生まれているのかも。

――実際、若い世代で遊佐さんのような音楽をルーツに世界観を持って表現されてるシンガーソングライターの方もいると思うんです。そういう方の曲を聴いて、かつて自分がデビューした時と重ね合わせたりするようなこともある。

遊佐:そうですね。重ね合わせたりもしてるし、そういうのが面白いですね。

――そういう方へのアドバイスとして、長く自分の音楽を大切にやり続けるにあたって、こういうところは大事にした方がいいと思われるところってどうでしょう?

遊佐:うーん、人それぞれ目指すものとやり方とその人のタイプによっても変わってくると思うんですけれどね。ただ、私の場合は、自分が自信を持って出せるものって、いつも閃きみたいなものなんです。そういう閃きを大事にして、そこにいろんな裏付けや準備をしていく。そういうものがとても大切だと思います。そこがないと活動自体がゆらゆらしちゃうし、迷っちゃうんじゃないかなって思いますから。

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