柴 那典のチャート一刀両断!
EXILEファミリーと同人音楽の「接点」とは? チャート1位の三代目JSB新曲から読み解く
参考:2014年06月23日~2014年06月29日のCDシングル週間ランキング(2014年07月07日付)(ORICON STYLE)
今週のオリコン週間シングルランキング1位は三代目 J Soul Brothersの『R.Y.U.S.E.I.』。発売初週で16.2万枚を売り上げ、デビュー以来最高のセールスとなった。さらには、シングルと同日発売のライブ映像作品『三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2014「BLUE IMPACT」』も、DVD/Blu-ray Discそれぞれのランキングで首位を獲得。ランキング三冠達成という快挙を実現した。
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの三代目 J Soul Brothers。ただ、曲を聴いてクレジットを仔細に調べていくと、非常に興味深いことがわかってくる。新曲「R.Y.U.S.E.I.」は、ZEDDやデヴィッド・ゲッタあたりにも通じるEDM/エレクトロ系の曲調。高揚感あるビートに派手なシンセが映える、かなりハイクオリティかつエッジィなクラブミュージックのサウンドになっている。
そしてこれ、手掛けているクリエイターの出自を追っていくと、ボーカロイドや東方projectなどで知られる「同人音楽」の界隈に突き当たるのである。
作曲クレジットは「STY」と「Maozon」による共作。このうちSTYは00年代後半から頭角を現したソングライター/サウンドプロデューサーで、これまでEXILEや倖田來未、東方神起やSHINeeなどの楽曲を手掛けてきたキャリアの持ち主。少女時代「MR.TAXI」もこの人のペンによるもの。つまり、ここ最近のJ-POP/K-POPのメインストリームのヒット曲を多数送り出してきたヒットメイカーだ。
そしてMaozonは、今回が大抜擢となる弱冠21歳の新進気鋭のトラックメイカー。これまではコミケやM3など同人イベントを中心に活動し、昨年末に行われたコミックマーケット「C85」にてソロアルバム「Hello and Again LP」を頒布している。
また、前述のSTYは、日本のドラムンベースシーンをリードしてきたDJ AkiとYUUKi MCと共にベースミュージック・ユニット「ASY」を結成し活動している。先日には1stアルバム『#Zero_ASY』をリリースしたばかりだが、このアルバムでもMaozonはリミキサーとして参加している。
そして、ASYは2013年にリリースされたボーカロイド「IA」と自動車レース「SUPER GT」のコラボアルバム『CiRCUiT BEATS -SUPER GT 20th ANNIVERSARY-』に、じん(自然の敵P)などと共に「FEEL THE LIGHT feat. IA」で参加している。ペンデュラムあたりを彷彿とさせるドラムンベースのトラックにボーカロイドの歌とラップの掛け合いが乗る異色のナンバーだ。