Vampillia『the divine move』インタビュー

Vampilliaリーダー&真部脩一登場!「ラッピングされてマーケットに乗り、それに耐えうるものがポップス」

 

「本当に音楽シーンがガラパゴス化していたのは、90年代後半から2000年代初頭のUSチャート」(真部)

――Vampilliaの音楽は、パッと見たときの異物感も強いですが、聴いていると不思議と感情が揺さぶられるようなところもあるんですよね。そこに新しいポップスとしての可能性も感じます。そういうことも踏まえて、お二人にとって「ポップである」ってどういうことなのかをお伺いできればと思うんですけれども。

リーダー:よく外人には「クレイジー」って言われるし、奇をてらったことをやろうとしてるんじゃないかと思われることも多いけど、自分としては変なことをやろうという意識はないんですよね。このバンドは基本的に僕が聴きたいものをやるっていうコンセプトがあって。そこで自分が思っているのは、ただ、今まで聴いたことないようなものをやりたいということ。だから、それが新しいポップスの一部になればいいなっていう感覚なんです。

――真部さんはどうでしょう?

真部:僕、ポップスについての考え方は非常に単純なんですよ。ポップスっていうのは、ラッピングがされているものっていうことなんですね。例えば中華街でしか食べられない餃子があったとする。その段階ではポップスではない。でも、その餃子を冷凍食品なりにして全国にお届けできる形にしたら、それがポップスになるという感覚なんです。つまり、ラッピングされてマーケットに乗るもの、それに耐えうるものがポップスであるという。

――なるほど。

真部:でも、最終的に多くのものは市場に乗る段階でフリーズドライされたりするし、クオリティや味が落ちてしまう。でもVampilliaはラッピングされた状態で全く鮮度が落ちないんですよね。むしろラッピングに向いている。音楽的な価値と商品としての価値っていうのがブレない。そこにとても魅力を感じたんですよ。

――なるほど。でも、Vampilliaの音楽って、従来のラッピングでは収まりきらない、包みきれないようなものですよね。それをポップスとして成立させるというのは難しい作業でもあると思うんですけれども。

真部:そこで大事なのは、まず単純に良質な音楽であるということですね。デコレーションした時にも、元のものがよければ成立するんです。Vampilliaはデコラティブな要素が非常に多いんですけれど、それが本質をブレさせない。そういう装飾で遊べるだけの本質があるバンドだなと思っているんですね。

――なるほど。そういう意味では、今回のリリースで、Vampilliaが何者なのか、その本質は伝わると思います。

リーダー:ちょっとでも僕たちをポップスとして認識してくれたらと思いますね。僕ら、最初は下手やったからスカムとか言われてたんですよ。で、その後はプログレと言われるようになって。ずっとやってることは同じなんですけどね。だから、スカムもプログレも全部内包してポップとして認識されたいっていうのはありますね。

真部:Vampilliaはコラージュ的なバンドなんですよね。だから説明しづらいけれど、逆にだからこそコラージュという言葉で説明しやすいというところもある。いろんな音楽を一気に鳴らして、それでオリジナリティがあるということなんです。そういうことをやりたいと自分としても思っているし、特にBiSとの曲はJ-POPの方向にもわかりやすくそれを示そうという思いはありました。

――最後に、リーダーはVampilliaの目標としてどういうイメージを持っていますか?

リーダー:目標としては、「MTV Video Music Awards」に出たいですね。日本じゃなくて海外のやつです。そこでライヴをやりたい。要は、僕らみたいな音楽がポップスとして認知される瞬間に立ち会いたいんです。ヒップホップの歴史って、そうだったと思うんですよ。ウータン・クランとか、初期の頃はポップスじゃなかったものが、今はポップスになっている。そういう風な瞬間を作れたらいいなと思います。あとはKANYE WEST、LADY GAGAのバックバンドをやりたいです。

――真部さんとしてはどうでしょう? Vampilliaのメンバーとして、そしてそれ以外の活動も含めての目標としては。

真部:今って、J-POPが非常にガラパゴス化してるってよく言われますよね。でも実は、本当に音楽シーンがガラパゴス化していたのって、90年代後半から2000年代初頭のアメリカのチャートだと思っているんです。

――というと?

真部:さっきウータン・クランの話も出ましたけれど、つまり、R&Bやヒップホップがサブカルチャーから華麗にメインストリームになった頃って、アメリカのチャートだけおかしかったんですよ。今は全世界的にR&Bがポップスのスタンダードになってますけれど、TLCとかデスティニーズ・チャイルドが出てきた頃って、ヨーロッパとも日本とも違ってアメリカだけ浮いてる感じがあった。僕はその頃のUSチャートが、本当に狂っているという意味でも、ものすごいキャッチーという意味でも大好きなので。自分としては、あの規模でガラパゴス化したようなものを作りたい。そういう野望はありますね。
(取材・文=柴那典)

■リリース情報
『the divine move』
発売:4月9日
価格:¥2,200 (税抜)

<収録曲>
1: lilac (bombs 戸川純)
2: mirror mirror (bombs BiS)
3: endless summer (feat. ツジコノリコ)
4: tasogare (feat. 長谷川裕倫)
5: good religion (feat. Mick Barr)
6: dizziness of the sun (feat. ツジコノリコ)
7: oops i did it again (bombs BiS)
8: endless (massaka)summer 2014
9: lilac (bombs 戸川純) perfect ending ver.

Vampillia『my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness』

『my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness』
発売:4月23日
価格:¥2,200 (税抜)

<収録曲>
1: my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness
2: ice fist
3: hiuta
4: seijaku
5: storm of the snow
6: anata ni kakaru niji
7: draumur 8.von 9.tui

オフィシャルHP
http://www.vampillia.com/

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