アニソン界の革命児・神前暁 休業中の今、改めて功績を振り返る

 アニソンは比較的女性ボーカルを活かす傾向がある。いくつかの作品を聴いていただければ、彼がいかにそこに長けているかがわかるだろう。「女の子が歌ってかわいい」という大前提を崩さず、独自の世界を展開する。いわゆるアイドルソングにも通じる曲作りだ。加えて、アニソンは制作側(お金を出す側)の意図を踏襲した環境で作られることが多い。OP、EDであれば何秒後にサビがきて、といった「お約束」も当然ある。その制約の中で印象的な楽曲を生み出してこそ、シーンを牽引するトップクリエイターたり得る(=クライアントの信頼も厚くなる)。そして、そんな彼が示したアニソンの新潮流/トレンドがあってこそ、ヒャダインこと前山田健一、志倉千代丸、supercellのryo、Tom-H@ck、livetuneのkzら今をときめく気鋭たちが羽ばたくきっかけにもなったのではないだろうか。(影響を受けているという意味でなく)

 さて、そんな神前氏だが、今年2月に体調不良でしばらく創作活動の休業を宣言した。復帰時期は未定という。以前にも同様の休業をしているため容体が心配されるが、毎週発注される楽曲を毎週仕上げるという激務をこなしていたというから、過労にも一因があったと思われる。今のところ今期放映の『キャプテン・アース』に提供した楽曲が休業前最後の作品となっているが、次に新作が届けられるのは果たしていつになるのだろうか。また素晴らしい楽曲が聴ける日を多くのファンが心待ちにしている。
(文=板橋不死子)

関連記事