『アイドル楽曲ディスクガイド』出版イベントレポート

ザ・ピーナッツからBABYMETALまで……11人の論者がアイドル楽曲の43年史を語る

宗像「元号を広末にしたい。1997年は広末元年」

第二部 登壇者 ピロスエ、岡島紳士、鈴木妄想、田口俊輔、DJフクタケ、宗像明将、坂本寛、【VJ】fardraut films

●90年代前半(東京パフォーマンスドール、乙女塾、高橋由美子、ねずみっ子クラブ)

ピロスエ:おニャン子が解散して以降、「アイドル冬の時代」になったと言われているけど、本当にそうだったのか疑問視している。

鈴木:グループ数自体は減っていない。ただ、単純にメディア露出がガクンと減った。
田口:音楽シーンがバンド寄りになったため、相対的に露出が減った。その影響はある。

坂本:アーティストの方がスターやアイドルよりもカッコよくなってきたのがバンドブーム以降。その流れを踏まえて小室哲哉が活躍する。

岡島:おニャン子で素人化してアイドルが壊れて、森高とかWinkでメタ化した末期感というか何でもアリ感は今に通じる。

鈴木:東京パフォーマンスドール(TPD)は、おニャン子のカウンター。原宿で定期ライブをやっていた。

岡島:TPDはCDセールスこそ振るわなかったけど、日本武道館と横浜アリーナでコンサートを成功させた。今のライブアイドル全盛の流れに続いています。

坂本:おニャン子は一般まで巻き込んでいたけど、乙女塾は一回り落ちて、おニャン子の出がらし的に見られていた。TPDも今聴くとカッコイイけど、当時としては先鋭的で、一般のリスナーには受けが悪かった。

ピロスエ:この頃から、グループアイドルが増えていく。

坂本:完全なソロで成立していたのは森高千里までで、それ以降は松浦亜弥までいない。

フクタケ:その中で、当時の高橋由美子は特別な位置づけ。最後のアイドルと言われていて、一人で支えていた。

宗像:ねずみっ子クラブは、おニャン子以降の試行錯誤の始まり。このあとAKB48まで、中々爆発しない。

●90年代後半(安室奈美恵、MAX、SPEED、吉川ひなの、広末涼子、モーニング娘。etc)

坂本:SPEEDが当時の小学生に与えた影響は凄かった。安室奈美恵やSPEEDは、アイドルだけどアーティスト寄りの売り方をしていて、アイドルと呼ばれたくないみたいなところはあった。今と真逆。

フクタケ:吉川ひなのは、ちょっとメタでキャラ先行。「ハート型の涙」は、彼女のキャラを朝本浩文が面白がって作ったもの。

宗像:この時代、広末がいかに俺たちを救済したか。

ピロスエ:歌手デビューは97年。この年は『新世紀エヴァンゲリオン』の劇場版もあっていろいろとエポック・メイキングな年。90年代後半は、エヴァンゲリオン、広末、モーニング娘。など、僕たちの青春時代ということを差し引いても激動の時代だった。

宗像:元号を広末にしたい。1997年は広末元年。今は広末17年を生きている。僕と岡島さんは当時、広末のメーリングリストに登録していた。広末の影響で今がある。

ピロスエ:宗像さんと岡島さんが広末で人生が変わったのなら、僕と坂本さんはモーニング娘。の影響が大きい。

坂本:インターネットも絡んでいて、テキストサイト更新者から商業ライターへという流れがあった。

宗像:取材をしているとアイドルを目指したきっかけがモーニング娘。というアイドルはすごく多い。

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