「ライブの熱狂」を生む音楽的条件とは? BOOM BOOM SATELLITES×Fear, and Loathing in Las Vegas対談

——自分がべガスのライブを初めて観たのは去年のOzzfestだったんですけど、べガスって本当にいろんなジャンルのフェスやイベントに出演しているし、いろんなタイプのバンドと対バンしているじゃないですか。場合によってはアウェーになりかねないそうしたライブの現場で、いつも心がけているのはどういうことですか?

Sxun:バンドの中でよく口にしているのは「テンション感」って言葉ですね。それは、演奏のテンションだけじゃなくて、動きだったり、表情だったり、すべてを総動員して自分たちがかっこいいと思うことを、気持ちを全部のせてぶつけるっていうことで。

Tomonori:僕らの音楽って、ハードでもあるし、ポップでもあるし、いろんなジャンルの音楽のいいとこ取りをしてやろうっていう音楽なんですね。だからこそ、どんな現場に行っても、どこかに引っかかってもらえるんじゃないか、伝わるところがあるんじゃないかって思っていて。基本的にどんなライブでも、お客さんを「取りにいく」という姿勢を持ってやってますね。

——ブンブンから見た、べガスの新世代感というのを、もうちょっと詳しく訊かせてもらえますか?

中野:これは役得でもあるんですけど、リミックスを依頼されるとマルチのパラデータをもらうので、そのバンドの音楽の丸裸の状態を見ることができるんですよ。

Sxun:恥ずかしいっ(笑)。

中野:(笑)。そうやって分解されたべガスの音楽を聴くと、やっぱりその展開の早さと、テンポチェンジの仕方に驚かされますね。高速4つ打ちが倍速になっていって、さらにそこでテンポも変わっていくという。自分が通常音楽を作っている時には、絶対に思いつかないような展開というか。こういう表現が正しいのかわからないけど、「ゲームがメチャクチャ上手いヤツが作ったみたいな音楽だな」って(笑)。

So、Tomonori、Sxun:(爆笑)。

中野:自分はそういうところ鈍くさくて、ゲームとかも下手くそだから、「コイツにはついていけないや」って思うんだけど、ライブを観てると、オーディエンスがみんなそこについていってる。そういう光景を見ると、「おぉ!」って思いますよね。先日、electrox(1月4日に幕張メッセで開催されたEDM系のイベント)に出た時、バンド系のアクトもいくつか見たんですけど、向こうの新しい世代のバンドともべガスは全然違いますからね。やっぱり、特殊なサブカルチャーがある国の音楽って感じがしますよね。本当に、この国の新しい世代ならではの、独自の進化をしているバンドだと思いますよ。もし僕がヤンキーだったら、このくらいの息子がいてもおかしくない世代ですから。

So、Tomonori、Sxun:(爆笑)。

——べガスの皆さんは、同時代の海外のダンスミュージックとかに対して、どのくらいアンテナを張ってるんですか?

Tomonori:メンバーによると思いますね。Sxunは結構聴いてるよな。

Sxun:まぁ、基本は曲単位で好き嫌いがある感じで、あまり系統立てて聴いてるってことはないですけどね。最初、EDMってレーベルの名前だと思ってたくらいで(笑)。

Tomonori:自分は、普段よく聴いてるのはアニソンが多いですね。

So:僕は、新しい音はネットで探すことが多いですね。

——べガスを筆頭に、ブンブンに影響を受けたバンドとかミュージシャンって最近よく耳にするんですけど、決して単純な音楽的フォロワーにはならないところがおもしろいですよね。

川島:でも、ありがたいなって思いますよ。もし僕らの音楽が刺激となって、そこからいろんな音楽への回路が開いたっていうことなら。そのまま同じような音を目指されるよりも、そういうアティチュードに影響を与えたことの方が嬉しいですね。

中野:僕ら、正直な人間ですからね。自分たちの音楽が好きだと言われたからって、評価が変わるようなことはないですよ(笑)。べガスのことは、そう言われる前から気になってましたから。

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