「ヒップホップは“バイオレンス”を“競技”に変えた」Zeebraが教える、高校生RAPの見どころ

20130917zbr-02.jpg
『高校生RAP選手権』には、Zeebra氏以外にもDABO、SEEDA、DARTHREIDERなどのラッパーも出演。

――「アーティチュード」は「姿勢」ではなく、「期待値」と見るのですね?

Zeebra:俺の立ち居地からは、そういうふうに見ちゃいますね。ヒップホップは、若い人たちの大衆文化、大衆音楽だと思うんですよ。芸術音楽(筆者注:クラシックなど)みたいな視点であれば、限られた人に届ける側面もある。ただ、大衆音楽である以上は、カリスマ性だとか、そのアーティストの魅力だとか、そういうものがないと世に出て光っていかない。

――もうひとつ、『RAP選手権』の特色、「試合後の握手とアドレス交換」という試みが面白いですよね。どのような狙いがあったのでしょうか?

マネジャー氏 第1回大会が、不良が多くて、ケンカしそうになったヤツもいたんです。あとフリースタイルバトルって、エキサイトして体ぶつけるヤツがいたりするから、ステージに白線引いて、それを超えたら負けにするイベントもあった。そういった情報を小藪(千豊)さんが知っていて、そういう方向にならないように作ったんじゃないかな。

Zeebra:そうね。「メアド交換」は、小藪さんのアドリブだね(笑)。「握手する」というのは決めました。やっぱり、フリースタイルバトルもスポーツと同じで、正々堂々とやるのが楽しい。アメリカでも、Kendrick Lamarが「Control」で、売れているラッパーの名前を何人も挙げて宣戦布告した。大騒ぎになったけど(笑)、怒りっていうのではなくて、「My n*ggas」、つまり「俺の仲間たち。お前らに愛はあるけど、お前ら全員を食ってやるぞ」って言っているんですね。ディスられたほうも、競技的なものなんですよ。たとえば、バスケットボールを友人とやる時に、「一点も入れさせねぇぞ」って本気でやるじゃないですか? 友人との遊びなのに、熱くなっちゃう時もある。けど、終わった後、飯食い行くじゃないっすか。「ふざけんなよ」「マジやられた」とか言いながら。それと一緒ですね。特に『RAP選手権』って、もともとの遺恨があるわけではない。

――それすごくいいですね。スポーツのように、フリースタイルバトルを成立させる試み。スポーツ的要素があるのは、決してヌルいことじゃないと思います。

Zeebra:ヒップホップの始まりは、ニューヨークのブラック・スペード団のボスだったAfrika Bambaataaが、ギャングの抗争を血で争うのではなくて、ブレイクダンスやフリースタイルバトルで争うように変えたのが始まりのひとつでもある。“バイオレンス”を“競技”に変えたのがヒップホップですよね。

後編:「フリースタイルバトルだけでは食べていけない」Zeebraが身をもって知った、メジャーシーンに切り込む重要

(取材・文=石井紘人[@FBRJ_JP]

●『BAZOOKA!!!第4回高校生RAP選手権全国大会』
日時:9月21日(土)16:00開場 17:00開演(予定)
会場: 赤坂BLITZ(東京都港区赤坂)
出演者:小籔千豊、真木蔵人、紗羅マリー、レイザーラモンRG
Zeebra、DABO、SIMON、DARTHREIDER、DJ KEN-BO
主催:スカパーJSAT株式会社
運営・制作協力:DISK GARAGE
お問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00~19:00)

BAZOOKA!!!公式HP

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる