BorisのAtsuoが語る海外ライブ事情と、日本のバンド界の課題(前編)
海外でツアーしたほうが儲かる!? BorisのAtsuoが語る、日本のライブ環境の特殊性
――海外と日本のライブハウスとの違いは他にもありますか。
Atsuo:そもそも「ライブハウス」という言葉自体が和製英語だから海外では通じないんです。
まあ雇用体系も違いますし、向こうはバーテンダーの基本給は少なくて、でも可愛い娘とかだとチップだけで一晩10万近く稼いだりとか。会場側もBARで収益をあげてる感じなので、日本とは根本的に違いますよね。
――露骨なこと伺うんですけど、国内ツアーと海外ツアーでどっちが儲かりますか?
Atsuo:もちろん海外です。
――それは単純に動員数の問題ですか?
Atsuo:都市がいっぱいあるんで、日本だと東名阪で3カ所なのが、アメリカだと30カ所みたいな。同じセットのライブを行うのに、経費のリクープが3回と30回とじゃ全然違うじゃないですか。あと日本は高速道路での移動にお金がかかりますし。向こうは基本的にはハイウェイ代も無い。僕たちは現地にストレージを借りて大体の機材は置いてありますが、機材のレンタルも安いですよ。
――そうやってお話を聞いていると、日本のバンドももう少し頻繁に海外にいっても良さそうだと思うんですけど。
Atsuo:そうですね。僕らは海外のレーベルでリリースしていたり、他にも例えばヴィジュアル系バンドだったらアニメの主題歌になってそれが向こうの人に認知されてたりとか、間に入る「何か」があると出て行けると思うんですけど、ただ漠然と「よし行こう」と思っても難しいですよね。
でも日本に比べてお客さんのリアクションがストレートに返ってくるし、やってるうちに向こうでレーベルやってる人から声がかかるとかあるんで、若いバンドは闇雲にでも行ってもいいと思うんですよね。
日本人の感覚だと、バンドを仕事にするっていうのは、どこかしらの事務所に所属してインディもしくはメジャーのレコード会社からリリースして、宣伝してもらってとか? バンドでの食べ方、選択肢が狭いので。大量に音楽を売る人のためのシステムしかなかったりね。世間への認知度を広げる事が優先で、音楽以外の事をたくさん考えなきゃならない。もちろんそういうシステムで生まれてくる音楽のおもしろさもあります。でも自分たちはただ好きな事だけやり続けていたい。音楽を好きな人たちと一緒にね。
僕たちはマネージメント事務所とかに所属した事もないんです。マネージャーはもちろんいますよ。バンドで雇って、業務を委託しているというか……。海外ではそういうのが普通なんです。自分たちのバンドは自分たちで運営していけばいい。バンドでの食べ方は自分たちで編み出していけばいいんじゃないかな? ほとんどがラッキーの連続だとは思いますが、そうやってもう何年も音楽で生活してます。
あと、僕らのやってることって向こうの「ライブバンド」シーンの中でのマナーの上でやってるような感じがあるんです。「ライブバンド」って感覚がどこまで伝わるかな? ある程度機材が揃ってない会場でも、生音でなんとか聴かせるくらいの基準というか、力いっぱいやらないと聴こえなかったりとか。向こうのバンドって圧倒的にドラマーがすごく良くて。上手とかじゃないんだけど「ねじ込み感」? 迫ってくる感じというか。フィジカルに掴みかかってくるような。アンプの音に対抗する生音のデカさが必要だったりする。
日本人は体も小さいし、言葉も通じないし、その中でどう届けるかというか。僕らもそういうバンドを相手にしないといけなかったんで、そこで鍛えられたものっていうのはありましたよね。
手刀-Chop- presents
"Boris vs SEX-virgin killer-"
2013.10.13(SUN)
Ikebukuro CHOP (Tokyo)
OPEN 16:30 / START 17:00
ADD \3,000(+1Drink) / DOOR \3,500(+1Drink)
w/ SEX-virgin killer-
TICKET:
e+ (9/8 12:00~)
PC, 携帯, スマートフォン
CHOP (9/8 17:00~(チケットは公演当日引き換え))
TEL: 03-5951-1127
e-mail: info@chop-tokyo.info
タイトル「10/13予約センター」、本文→・名前フルネーム・電話番号・枚数・お目当てを明記してください
(※キャンセル不可)
後編:「お客さんの耳がちぎれて床に…」Borisが明かす海外ツアー仰天体験と、“言葉の壁”突破法
(取材・文=藤谷千明)