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『半分、青い。』視聴者の共感は鈴愛を支える影の存在にあり 北川悦吏子が描く“天真爛漫女子”の毒

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 うっかり者で天真爛漫、明るく前向き、“大胆なひらめき”や“ユニークな感性”を持つ……NHKの連続テレビ小説『半分、青い。』のヒロイン・楡野鈴愛(永野芽郁)。実に朝ドラヒロインらしい、「物語の真ん中に常に立つヒロイン」である。だが、その天真爛漫さは、非常に魅力的である一方で、「ちょっと(もしかしたら、だいぶ?)苦手」と感じる視聴者もいるだろう。

 漫画家・秋風羽織(豊川悦司)の病気を何とかしたいと思った鈴愛が、実家や友人の親などに話した件は、ネット上でも賛否両論となった。そのエピソードを別としても、本作の鈴愛の場合、放つ光があまりに強すぎることで、周囲が自然と“影”になり、「支える人」「見守る人」「脇役」の人生を歩まざるを得なくなっているように見えることがある。

 例えば、鈴愛と同じ日に同じ病院で生まれた幼なじみ・萩尾律(佐藤健)が、幼い頃の「合同誕生会」の思い出を語るシーンがあった。そこでは、大きなバースデーケーキの上に立てられた青と赤のろうそくを、鈴愛(矢崎由紗)が全部ひとりで吹き消してしまう回想シーンが登場。「青いのは僕のや~!」と叫ぶ律(高村佳偉人)の声が寂しく響いた。

 しかし、天真爛漫ヒロインには当然、悪気なんてない。だからこそ、おそらく鈴愛のほうでは、そんな記憶はないだろう。そして、「合同誕生会がいつからなくなったのかと、その理由」に気づいてもいないだろう。

 律とともに、光の“影”となる被害者は、弟・草太(上村海成)だ。なんでも思ったことを言い、すぐ行動に移す姉は、いつでも一家の真ん中にいる。鈴愛が左耳を失聴したこともあり、一家で見守る構図となっている。その分、弟は手がかからず、空気を読むのに長けた、冷静なタイプにならざるを得ない。

 おまけに、実家が営む店の経営状態を心配し、自分が継ぐことも考えているらしい弟の気も知らず、「(漫画が)あかんかったら、ここ継ごうかな」と無神経に言ってのける鈴愛。そんな姉の無神経さに苛立ちを感じても、自分の思いを口に出すことに慣れていない草太ができる精一杯の“表現”は、黙って自室に立ち去ることくらいだった。

 しかも、ビール片手に追ってきた姉は店の経営状態を聞いて「そんなことになっとったん?」と急に不安げな顔をするが、「姉ちゃんはお気楽やな。家のことはみんな俺に任せて」いつも冷静で客観的な草太が、珍しく嫌味を言うと、すかさずスマッシュのような強打がくる。「はぁ? 何言っとるの? 私は草太の進学のために、家のお金、みんな残した!」(鈴愛)「よう言うわ。勝手に、漫画家なるって、東京出といて」(草太)。そこで初めて「あんたもどっか行きたかった?」と相手の気持ちを推し量る鈴愛。ここまでストレートに言わないと天真爛漫ヒロインには通じないのだ。

      

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