視聴者の想像かき立てる 問題作『ホリデイラブ』松本まりかの表情をあえて映さない怪奇さ
3月16日放送の最終話に向けて、最終章に突入した『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)。3月9日に放送された最終回直前の第7話「夫婦間恋愛」にて、登場人物それぞれが物語のゴールを見つけ、本心を露わにしていった。井筒渡(中村倫也)は、里奈(松本まりか)との結婚当時を回想し、7年で変わってしまった現状に落胆。黒井由伸こと志賀拓巳(山田裕貴)は里奈に脅されていたとはいえ、高森杏寿(仲里依紗)への思いは本当であったことを告白。純平(塚本高史)は杏寿からの思いに応え家に戻り、また一から小さな幸せを取り戻す。春田龍馬(平岡祐太)は純平が高森家に戻ってきたことで、杏寿への思いを表情に滲ませていた。
そして第7話では、渡に子供を奪われた里奈と、七香の卒園式をきっかけに再び純平とヨリを戻した杏寿の対照的な姿が描かれていたのが特徴的だった。家にも帰れず漫喫に連泊する里奈と、再就職を決め華麗な転身を果たす杏寿とは天と地の差だ。
そんな中、杏寿の務めるネイルサロンに現れた坂口麗華(壇蜜)は、「あの女まだ諦めていないと思うわ。あなたのご主人のこと」と里奈の復讐の念は消えていないことを喚起し、「人はね、手に入りそうで入らないものに執着するの。手に入ってしまえば、その幸せを見なくなるのに。くすぶっている火種を消さなければ、本当の火消しにはならないのよ」とアドバイスする。
「スピリチュアルな世界に通じる霊的能力の高い女」という設定の坂口は、これからの杏寿の物語を暗示する役割にいた。坂口が“火種”と指すのは、もちろん里奈。杏寿が純平に宛てた手紙を正直に渡したかと思えば、漫喫でカップラーメンをすすりながら現実に戻り、「やっぱ無理」と無心でつぶやく。