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深川麻衣×今泉力哉監督『パンとバスと2度目のハツコイ』対談 深川「シンプルだからこそ難しい」

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 元乃木坂46の深川麻衣が初主演を務めた映画『パンとバスと2度目のハツコイ』が現在公開されている。『サッドティー』や『知らない、ふたり』など、恋愛描写に定評のある今泉力哉監督が手がけた本作は、「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」という独自の結婚観を持ったパン屋で働く市井ふみと、ふみの中学時代の初恋相手のバスの運転手・湯浅たもつが織りなすラブストーリーだ。

 今回リアルサウンド映画部では、主人公・市井ふみ役で主演を務めた深川と、メガホンを取った今泉監督にインタビューを行った。お互いの印象から、深川の初主演映画に対する思いや今泉監督作品独自の説得力のあるセリフが生まれる背景、さらには今泉監督から女優・深川への今後の期待まで、じっくりと語り合ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

 深川「私だったら、結婚する前よりも付き合う前の方が恐い」

ーー2016年に公開された『知らない、ふたり』と『退屈な日々にさようならを』に続いて、今回もオリジナル脚本の作品ですが、最初から深川さんを想定して脚本は書かれたんでしょうか?

今泉力哉(以下、今泉):深川さんとやると決まってから一度お時間をいただいて、深川さんと1時間ほどお話をさせてもらいました。脚本もオリジナルなので、深川さんがどういった人なのかを知ってから書きたいなと思って。お会いしたのがたしか去年の1月末頃で、その後2月から3月にかけて脚本を書き上げた感じですね。自分でも驚きなのですが、脚本を書き始めたのは2017年に入ってからだったんですね。

ーー深川さんにとっては映画デビュー作にして初主演作です。

深川麻衣(以下、深川):映画は自分にとってものすごく憧れで、いつか挑戦させていただけたらいいなと思っていたお仕事の一つだったので、お話をいただいたときはとても嬉しかったです。しかも今泉監督に撮っていただけるということでなおさらでした。今泉監督の作品の暖かい空気感が大好きだったので、今回私自身がその世界の中に入れるんだと考えたら、撮影がすごく楽しみになりました。今回の作品も世界観がナチュラルで、シンプルではあるんですけれど、それぞれの登場人物が発する言葉にハッとさせられたり、グサっとささる言葉があったりして。でもシンプルだからこそ難しいというか、気持ちを表に出し過ぎると浮いてしまうとも思ったので、そのさじ加減は演じるにあたって難しいところでした。

今泉:初めてお会いしたときに『知らない、ふたり』を観ていると言っていてくれたんですよね。自分の作品を分かってもらうには、言葉で説明するよりも観ていただくのが一番早いので、今回の作品の脚本を読むだけでは分からないことや空気感を知ってもらえて、しかもそれを気に入ってもらえたのは僕の中でも大きかったですね。僕の作品は人によっては理解できなかったり受け入れられなかったりするのも、自分自身では認識しつつ映画を作っているので。あと、ちょうど脚本が完成したぐらいのタイミングで、たまたま道端で出くわしたんですよね。

深川:ありましたね! 本当にビックリで。

今泉:そのとき、脚本について「ありがとうございました」というニュアンスの感想を言ってくれたので、「あ、ひどいとは思っていないんだ」とちょっと安心しました(笑)。過去作とはまた違って、自分の中ではどういうものになっているのか分かっていなかったので、そのリアクションはありがたかったです。

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ーー美術をやっていたことなどが顕著ですが、ふみと深川さんには共通する部分も多々あるように感じました。

深川:もちろん近い部分もあるんですけど、遠い部分もあって。内面的なことでいうと、1回1回立ち止まって自問自答するように、ふみには考えすぎてしまうところがあるんです。私自身もお仕事に対して、やり残したことを後悔したり、「あのときもっとああすればよかった」と1人で悶々と悩むこともあったり、自分で自分を重くしてしまうような空回りしてしまう部分はあるので、そこは似ているなと思いました。

今泉:逆に遠いところはどこなんですか?

深川:恋愛面は違いますね。普通、プロポーズされるまで付き合ったら、喜んで受け入れると思うんですけど、ふみはそこで疑問を投げかけるじゃないですか。私だったら、結婚する前よりも付き合う前の方が恐くなってしまいます。あとはやっぱり別れた奥さんを追いかけている男性に惹かれ続けたり、アプローチしたりすることって、気持ち的にもすごく大変だと思うんです。だから、ふみは弱いように見えて、実はちゃんと自分を持っている、すごく強い子なんだろうなと思いました。

今泉:深川さんに最初に会ったとき、すごく真面目で気を使う人という印象がベースにあったんですよ。脚本を書く上では、本当はネガティブだったりマイナスだったりな部分も聞き出せたら筆が走るんですけど、本当に出てこなくて(笑)。あと正直な話、これは良くも悪くもだと思うんですけど、アイドルとして活動していた時間が長いと、例えばめちゃくちゃバイトをしているような人と比べて、社会での経験値は全く違うわけで。そういう意味ではちょっとした幼さみたいないことも感じたりしたので、それは役にも反映させていきました。

ーー先ほど深川さんも言っていたように、今泉監督の作品は登場人物たちのセリフの説得力に毎回驚かされます。

今泉:セリフに関してはこだわりがあるんです。ひとつ明確なのは、普段言わない言葉をなるべく書かないという意識。なるべく日常で使う言葉遣いで書いていくのもそうですし、たとえ決めゼリフっぽくなってしまうような言葉があったとしても、作り物っぽくはせずに、普段使うような言葉になるべくしていくことによって、言葉が重みを帯びていくのかもしれません。そうやって“作り物具合”をどんどん削いでいくことは、セリフを書くときに一番意識していますね。あとはセリフを書くときもそうだし、キャラクターを作るときもそうなのですが、本音みたいなことや、「それは言ってもしょうがないじゃん」みたいなことをあえて言わせたりします。今回でいうと、「結婚したってずっと同じ人を好きでいられるか分からない」みたいなことですね。それを言ってしまったら誰も付き合ったり結婚したりできないというような、ある種の本音と建前というか、“みんな言わないようにしている”言葉を登場人物に言わせたり、“疑う余地のないこと”を疑ってみたりは、映画を作るときにどうしてもやってやろうとはしています。世の中の人たちが生きている中で気を使って言わないようにしている言葉を、僕の映画の中の人たちは言うので、観ている人はハッとさせられるのかもしれません。

深川:なるほど。確かに思っているけど口に出せないようなことを登場人物たちが代弁してくれるから、スッキリする部分もありますね。

      

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