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『HiGH&LOW』はなぜ盛り上がり続ける? “メディアミックス”としての新しさ

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 EXILE HIROが企画プロデュースし、LDHが製作を手がける映画『HiGH&LOW THE MOVIE2/END OF SKY』が8月に公開された。11月公開の続編『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』のポスタービジュアルや予告編も発表され、いよいよ盛り上がりを見せている。

 だが、「HiGH&LOW」の世界は、映画だけにとどまらない。EXILEや三代目 J Soul Brothersを擁するLDHらしく、音楽ありライブあり、そしてイベントや出版物と、マルチな展開を持つ「総合エンタテインメント・プロジェクト」なのだ。

 いわゆるメディアミックスでいえば、1970~80年代に角川書店が自社刊行小説を映画化したことが日本における本格的なメディアミックスの嚆矢だといわれている。以来、出版社や映画会社、テレビ局、ゲーム会社などがこぞってこの手法に取り組んできた。近年では、アニメとスマホゲームを軸に、生身の声優における音楽ライブまで展開した『ラブライブ!』や、ゲームに端を発してアニメ、マンガ、玩具とスタート時から複数メディアでアプローチした『妖怪ウォッチ』などがメディアミックスの成功例にあたるだろう。

 「HiGH&LOW」プロジェクトも、メディアミックスの一種だ。だが、単なる多メディア展開にはとどまっていない。本稿では、この壮大なプロジェクトの全貌をあらためて見ていこう。

 「HiGH&LOW」プロジェクトが発表されたのは、2015年5月に行われた三代目J Soul Brothersのツアー初日。そこから5カ月後の10月、深夜ドラマ『HiGH&LOW~THE STORY OF S.W.O.R.D.~』(日本テレビ系)がスタートした。2クールにわたったドラマは、EXILEのAKIRA、TAKAHIRO、黒木啓司、岩田剛典や、三代目の登坂広臣、山下健二郎といった人気メンバーの出演に加えて、他事務所からも窪田正孝や林遣都、井浦新など豪華俳優を揃えたキャスティングで、ドラマファンの間では話題になった。ただし、放送当時はあまりにキャラクター数やチーム数が多すぎること、展開がめまぐるしいことなどを理由に、ファン以外からの人気はあまり獲得していなかったといっていいだろう。

 状況が大きく変わったのは、昨年7月16日に公開された映画『HiGH&LOW THE MOVIE』からだ。ドラマ版からの物語を踏まえた集大成となる2時間超大作だったが、近年の日本映画ではなかなか目にすることのなかったハイレベルなアクションと撮影技術で、LDHに興味のなかった映画ファンの心をもわしづかみにした。同時に、ドラマ版ではハードルを上げていた多すぎるキャラクターが、「誰か1人は“推せる”キャラがいる」という状態に変換され、アニメやマンガ好きなオタク層にも届いてゆく。

 さらにこの盛り上がりを後押ししたのが、同時期にスタートしたドームライブ「HiGH&LOW THE LIVE」である。京セラドーム大阪、福岡ヤフオク!ドーム、ナゴヤドーム、東京ドームで7月から10月にわたって開催されたこのライブには、『HiGH&LOW』出演者以外も含めたLDHファミリーが集結した。全国の映画館でライブビューイングも行われ、映画『HiGH&LOW THE MOVIE』を観てLDHに興味を持った新規層が足を運んだ。オリジナルアルバム『HiGH&LOW ORIGINAL BEST ALBUM』収録楽曲を中心に、「HiGH&LOW」の世界観を踏まえたド派手な演出が展開され、映画では役者に徹していたアーティストたちが“本業”であるパフォーマンスを繰り広げる。映像作品のキャラクターだった人々が、ライブでは生身のボーカル/パフォーマーとして立ち現れてくる。そのギャップもまた、映画から入ってきたファンを魅了した。これはまさに、本業を音楽に置くLDHだからこそ可能になった、究極のメディアミックスといえるだろう。

 またこの時期には、日本テレビの夏のイベント「超☆汐留パラダイス!」にて、衣装やセットを展示するイベント「HiGH&LOW THE BASE」が開催された。キャラクターやチーム名にちなんだ飲食メニューも展開され、ファンがこぞっておとずれた。

 熱の冷めやらぬ10月には、続編映画『HiGH&LOW THE RED RAIN』が公開。夏に盛り上がった勢いのままに、スピンオフ的位置づけの作品ながら、興行収入は10億円を突破した。

 2017年に入ると、このメディアミックスはさらに加速する。年明けと同時に、続編映画2本の公開日が発表。そして3月にはマンガ家・CLAMPとのコラボ企画「HiGH&LOW g-sword」がスタートした。「週刊少年マガジン」(講談社)での、公式二次創作とも呼べるマンガ作品のみならず、CLAMPの描くハイローキャラクターがアニメになって『スッキリ!』(日テレ)に登場したり、オリジナルグッズになったり、主役級キャラであるコブラにいたってはねんどろいどにまでなっている。従来のLDHファンとは異なる、オタク層を取り込む動きが活発化したというわけだ。8月に公開された映画『HiGH&LOW THE MOVIE2/END OF SKY』では、おなじみの「映画泥棒」とコラボし、週替りで主要キャラクターたちが観客に注意を促していた。

 そして5月には、なんとよみうりランドとのコラボイベント「HiGH&LOW THE LAND & THE MUSEUM」の開催が発表され、6月に実際にオープン。よみうりランド内に各チームのセットを再現した「THE MUSEUM」や、コラボメニューを展開する「THE LAND」が建てられただけでなく、通常のアトラクションにもハイロー色が満載に。作中キャラクターがプロデュースしたという設定のお化け屋敷がつくられたり、大観覧車ではオリジナルラジオコント音声が流れたりと、いたるところに新しい仕掛けが設置されていた。

      

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