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映画『MOTHER FUCKER』特集第三弾

Less Than TVにはどこにも嘘がないーー映画『MOTHER FUCKER』特別対談 後編

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 1992年の立ち上げ以来25年に渡ってアンダーグラウンドで活動を続ける音楽レーベル〈Less Than TV〉の代表・谷ぐち順とその妻YUKARI、息子共鳴(ともなり)と、その仲間たちの現在の姿を追ったドキュメンタリー映画『MOTHER FUCKER』が、8月26日より渋谷HUMAXシネマから劇場公開される。その公開に先立ち、今回リアルサウンドでは『MOTHER FUCKER』についての対談特集を企画。〈Less Than TV〉の歴史に迫った前編に続き、後編では映画撮影の裏話から、改めて谷ぐち順の人柄やその考え方に迫った。(編集部)

どこにも嘘がなかった(大石規湖)

一一映画を撮ってみて、監督の大石さんは改めて〈Less Than TV〉のバンドたちにどんな気持ちを抱きましたか。

大石規湖:人の凄さを実感しましたね。熱量もそうだし、優しさも。仕事しながら生活してる人が、それを音楽で表現するっていうこと。話は変わりますけど、私は『ナンダコーレ』っていう三分の番組を昔作ってて、Kochitola Haguretic Emcee’s(鎮座DOPENESS/SABO/ KATOMAIRA)に出てもらったことがあるんです。SABOさんが当時働いていた工場で、釘とかを鳴らしながらラップして、働いているリアルをヒップホップで表現する。それがほんと格好いいなと思って。もともと同じような魅力をパンク/ハードコアに感じていたので、それを撮りたいと思っていたんですよ。で、実際に撮ってみたらみんな本当に嘘がない。普通に生活して、実際に働いて、それがそのまま音楽になってる人たちばっかりで。曲や歌詞、出してる音がよりリアルに感じられましたし、最高だなって思いましたね。どこにも嘘がなかった、っていうのを確かめに行った感じ。

一一谷ぐちさんは仕事だけなく家庭内もすべて見せていますけど、これは撮影が始まる段階から決まっていたことですか。

大石:私が〈Less Than TV〉を撮りたいと思ったきっかけが、谷ぐち一家だったんですよ。リミエキ(Limited Express(has gone?))を撮りに行ったら、YUKARIさんがおんぶ紐で赤ちゃん背負ってリハしてる。「えっ?」と思って。谷さんは当時まだメンバーじゃなかったけど、そこにいましたよね。「家族でリハにいるんだ。すごく魅力的だな」と思って。だから、レーベルはもちろんだけど、最初は家族が撮りたいっていう気持ちでしたね。

谷ぐち順:今、パンクのドキュメント映画なんていっぱいあるじゃないですか。そういうのじゃない、自分たちだけのものを作りたかったから。ヒストリーとかレジェンド感の対極にあるものを作りたかった。そうなったら、アパートで部屋着で、ワケわかんない奴が子どもと遊んでるっていう(笑)、そこを撮ってもらうのが一番良かったんですね。家族の珍道中を見せるしかない。しょうがないんですよね、自分は北海道(出身)だし、YUKARIは宝塚なんで、周りに親戚もいないんですよ。子どもを預けるくらいの友達なんてなかなかできないし。だからウチはずっと家族一緒に同行してやってきたんで。

一一それって相当タフじゃないと続けられないですよね。私も子どもが7か月の時ライブイベントに連れていったことがありますけど、「親の都合で可哀想な思いさせんなよ」なんてことを普通に言われました。

谷ぐち:あぁ。ウチは6か月から一緒に行ってますね。息子はその頃からドラムを食い入るように見てた。で、俺はそんなに気にしないんですよ。何か言われたら「うるせぇ!」ぐらいの。でもYUKARIはものすごく真面目だし責任感も強いから、ほんとに何度も葛藤してたと思いますよ。ちょっとした子供の変化も気にしてるし、「こんなふうな仕草してるんだけど、これはライブに連れてってるストレスからじゃない?」って心配してましたね。

一一そういう家庭のリアルがあることで、ハードコア・レーベルのドキュメントとはまた全然違う見どころが出てきます。

谷ぐち:2つあればいいなと思ってたんですよ。レーベルと、家族の珍道中。その2つが決まってただけで、それ以外はどんな内容にするかって別に深く話してないんですよね。大石さんに任せてました。

      

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