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『レゴバットマン ザ・ムービー』は驚きの映画だ! 批評的視点を獲得した、レゴ映画のカオス

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 「レゴ(LEGO)ブロック」といえば、古くから子どもたちに愛されるプラスチック製の組み立ておもちゃだ。これを題材にした『LEGO(R)ムービー』は驚きの映画だった。作中に登場する建物や乗り物、水や爆炎、シャンプーの泡まで、あらゆるものを、CGにより写真と見まがうほどリアルに再現されたレゴのパーツで表現しているのだ。そのような限定的条件のなか、不自由さをギャグに転化させたりもしながら、照明やカメラワークなどの映画的演出を駆使することによって、アクションや感情の高まりを見事に表現し、子どもはもちろん、大人も楽しめる映画作品にまで質を高めることに成功したのである。

 レゴ社はこれまで『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』、『ハリー・ポッター』、そしてコミックのヒーローなどを、レゴ・キャラクター化して販売し、これらを題材としたTVゲームも発売してきた。『LEGO(R)ムービー』の成功を受けて製作された本作『レゴバットマン ザ・ムービー』は、そんなレゴ製バットマンを主人公にしたヒーロー映画だ。感心するのは、バットマンのキャラクターを最大限に茶化して描きながらも、他のバットマン実写化作品と並べて論じられるほど見応えのある作品になっていたということである。ここでは、そんな本作の注目点や、「バットマン映画」としての価値を考えていきたい。

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 1939年にコミックのヒーローとして生まれた「バットマン」は、長年の間、TVドラマ、アニメーション、実写映画、ゲームなど複数の媒体で、様々な世代に愛されてきた長寿キャラクターだ。このため、その設定や描き方は時代によって変化しており、各人における「バットマン」のイメージというのは微妙に異なっている。映画シリーズだけをとってみても、89年からのティム・バートン監督版、95年からのジョエル・シュマッカー監督版、2005年からのクリストファー・ノーラン監督版では、描こうとする世界観がまるで違うのである。本作では、バットマン自身がそれらの映像作品を振り返り、TVドラマや映画でアダム・ウェストが演じていたコミカルな1966年からのシリーズまでさかのぼって、それぞれ異なった自分の人格を総括していく。つまり本作のバットマンは、これまでの様々なバットマンを総合したものとしてかたち作られているのだ。

 このことは悪役についてもいえる。ジョーカー、リドラー、ポイズン・アイビー、ベイン、ハーレイ・クインなど、比較的よく知られているキャラクターも登場するが、他にも、学校でいじめられた過去への復讐から、えんぴつの衣装をまとって犯罪を行い、頭部の消しゴムで証拠を消し去るというイレイザーや、カレンダーを体に装着して、休日など重要な日付に罪を犯すというカレンダーマンなど、実写化するには異常過ぎて今まで登場させづらかった悪役たちが、レゴキャラクターとして次々と大挙して現れてくれるのは、ファンにはうれしいところだ。

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 だが物語に深く食い込んでくるのは、やはり宿敵ジョーカーだ。バットマンとジョーカーの心理は、ここでは長年付き合って倦怠期に陥ったカップルと同様のものとして描かれている。ここに集約されているのは、バットマンと悪役との本質的関係である。バットマンがヒーローとして存在するためには、彼が倒すべき悪役の存在が必要だ。ジョーカーたちのような、おかしな服装で悪事を犯す悪のコスプレ集団というのは、同じようにコスチュームを着て正義を行うバットマンにとって、自身の鏡像であり、常に追いかけてじゃれ合う対象になっているともいえるだろう。だからジョーカーに代表される彼らは、かけがえのない恋人として表現されているのだろう。このような批評的視点をレゴ映画が獲得しているという点が一層楽しい。

      

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