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草なぎ剛と菊池風磨、役柄を超えた師弟関係 『嘘の戦争』のスリリングな演技を読む

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 現在放送中の草なぎ剛主演ドラマ『嘘の戦争』(フジテレビ系)が視聴率・内容共に好調だ。7日に放送された第5話の視聴率は11.5%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)で、放送開始以来2桁をキープしている。同ドラマの健闘はなんといっても草なぎの演技によるところが大きく、SNSやネット記事などでも視聴者の満足度が高いと評判だ。草なぎ出演のドラマでは、彼の右腕としてジャニーズの若手が起用されることもしばしばで、今回はSexy Zoneの菊池風磨が抜擢され、絶妙な師弟関係を見せている。『嘘の戦争』も中盤となったところで、俳優・草なぎ剛と菊池風磨の相性を改めて考察したい。

 まず『嘘の戦争』の概要をおさらいしよう。主人公の一ノ瀬浩一(草なぎ剛)は天才詐欺師。幼い頃に、父が母と弟を殺した上で自ら命を絶った。しかし、それは何者かに仕組まれた殺人事件で、当時9歳の少年・千葉陽一は真犯人を見たにも関わらず「父親の無理心中だった」と、嘘の証言を強要された。そして心に傷を負った彼は海外に渡り、“一ノ瀬浩一”に改名して詐欺師となった。

 その後、復讐のために帰国した浩一が、30年前の事件の謎を解明しながら、一家心中に見せかけた張本人である二科興三 (市村正親)に近づき、事件に関わった関係者をひとりずつ追いつめていく模様を、本作では描いている。 このドラマにおける草なぎは、まさに復讐心の塊のような冷酷な男で、たとえ事件当時に仕方なく犯罪に加担し、今は真面目に働いている人であっても容赦なく叩き潰すのだ。

 本来の草なぎが持つ柔和さが役柄にも反映され、優しそうなオーラを纏う浩一は、相手の警戒心を容易に解いて懐に入り込む。そして、復讐のスイッチが入った途端に急変し、冷酷な目と口調に。時には感情が高まり相手に凄むこともあり、復讐した際には蔑む表情を浮かべる。

 草なぎは2013年の映画『中学生円山』で、キレたら何をしでかすか分からない得体の知れない隣人・下井辰夫役を怪演。感情が読めない怖さを見事に体現した。さらに、2015年の『銭の戦争』では感情を爆発させると同時に、見るものの記憶に残るほどの“凄み”を見せていた。今回は怒りと悲しみが心の底から滲み出てくる様子を、表情はほとんど変えずに目だけで表現している。

 特に第3話での、幼い浩一に嘘の証言を強要した刑事・三輪郁夫(六平直政)との駆け引きは秀逸であった。郁夫は事件当時、娘の心臓移植のために仕方なく事件に加担したのだが、浩一はそのことを知りながらも決して容赦しない。郁夫の真面目な性格につけ込み、自分が“千葉陽一”であることを勘付かせるために、遠回しでじわじわと追い込むのだ。浩一の正体がバレそうになった時、郁夫に贖罪として真実を隠した過去への償いを仕向ける。その粛々と追いつめて行く草なぎの演技の駆け引きが実にスリリングであった。

そんな鬼気迫る表情を見せる草なぎは、もう20年以上も俳優として第一線で活躍してきた。高い演技力は経験によるところも大きいだろう。だが、SMAPという肩書きが外れた今だからこそ、その演技はより洗練されているようにも思うのだ。共演した俳優や監督たちは口を揃えて「草なぎ剛はストイック」と言うが、そのイメージが今回の役柄でさらに明確になっている印象である。

 日刊大衆では、いまの草なぎに通じる名優として高倉健の名を挙げ、草なぎ自身が高倉健に憧れていたエピソードや、ふたりの交流を例にあげて論評していたが、確かに草なぎは歳を重ねる中で、大人の男としての哀愁やセクシーさが滲み出てきた。さらに昨年のSMAP解散宣言以来の苦しい日々から解放された直後のドラマであるだけに、視聴者はその影のある表情に感情移入している面もあるかもしれない。山本美月との長いキスシーンも、実に新鮮であった。

 さて、今の若手俳優界は層が厚く、ジャニーズの若手の中だけでも多くの俳優を抱えている。その中から個性を発揮して抜き出てくるのは容易なことではない。『嘘の戦争』では、Sexy Zone菊池風磨が出演している一方で、今クールのドラマにはジャニーズWEST神山智洋が『大貧乏』(フジテレビ系)に出演。ジャニーズの若手の中で誰がインパクトを残していくのか、ファンの間では熱い視線が送られている。

 『嘘の戦争』の会見で、事務所の先輩・草なぎからの演技指導があるかを聞かれた菊池は、「弊社(ジャニーズ事務所)は背中を見て学ぶスタイルなので」とコメントしていた。演技力だけでなく視聴率も確実にとっていく草なぎのドラマには、これまでも有望な若手がキャスティングされていた。『任侠ヘルパー』の薮宏太、『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~』の八乙女光、『独身貴族』の藤ヶ谷太輔、『銭の戦争』の玉森裕太など、草なぎの背中を見てきた後輩は少なくない。

 そんな中、今回抜擢された菊池。Sexy Zoneの中でもヤンチャな性格で知られる菊池はこれまで、『GTO』では同じ女子高生の松岡茉優を妊娠させてしまう学級委員長を、『アルジャーノンに花束を』では脳生理科学研究センターの研究者といった難しい役を演じてきたものの、どこか背伸びしている感が否めなかった。しかし、昨年放送された『時をかける少女』での深町翔平役は、本来の菊池が持っているヤンチャさや、思春期特有の繊細さなど、彼の魅力がそのまま反映されたようなハマり役で、役者としてグッと魅力的な存在となった。その次の出演作が今作。草なぎがSMAP解散後の俳優として勝負をかけるドラマだけに注目されるのは必然、満を持しての共演といえそうだ。

 菊池演じる八尋カズキは詐欺師見習いで、浩一に詐欺師のいろはを仕込んだ詐欺師の百田ユウジ(マギー)の甥。コンピューターに強く、ハッキングなどのパソコン作業で浩一の補佐をする。元引きこもりらしく、日頃は萌え袖&フードをかぶったパーカー姿という、どこか冷めたようでやる気のない風貌だが、仕事はキッチリとこなす。

ただ一般常識が欠落している役柄で、浩一の入院先ではスーツのポケットに手を突っ込みながら、看護士にいきなり名刺を渡し、社長設定の浩一に対しても「ラッキーだったじゃん、イエーイ」とため口をする始末。これに対して浩一は「ため口はやめろ」「社会人の振る舞いを覚えろ」とたしなめる。その姿は、ドラマの役柄を越え、ジャニーズの先輩から生意気な後輩に対しての“礼儀のしつけ”を見ているようで面白い。

 さらに「人を騙したきゃ賢くなれ。詐欺師に必要なのは幅広い知識と教養だ」と言うセリフも、何だか役者としての演技指導のようにも聞こえて来る。ファンの間では菊池がリスペクトしている赤西仁の演技に似ているという声も上がっているが、普段は悪ぶっているカズキが意外と素直であったり、浩一を見る目がどんどん変わって行く様子もとても自然で、菊池の等身大の演技が見事にハマっていると言える。

      

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