>  > ブレイク・ライヴリー、女優としての可能性

ゴシップガール vs 人食い鮫!? ブレイク・ライヴリーが『ロスト・バケーション』に挑んだ理由

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 ブレイク・ライヴリーといえば、N.Y.マンハッタン、アッパー・イースト・サイドのセレブ高校生たちのオシャレで奔放な青春を描いた、6シーズンもの間続いた人気のドラマ「ゴシップガール」の主役・セリーナを演じた女優として有名だ。都会のリッチな高校生活とスクールカースト上部の争い、ファッションにヒットチャートのポップス、パーティや恋愛の駆け引きと、とにかくアメリカの女の子たちが興味を持つ要素を山盛り乗せた豪華丼のようなドラマで、なかでも当時20歳前後だったブレイク・ライヴリーのお姉さんキャラは、ティーンの羨望の的であり「パーフェクト」の象徴でもあった。

 実際のブレイク・ライヴリーも、「ブレイク」して以降はドラマの相手役だったペン・バッジリー、レオナルド・ディカプリオ、そして最近『デッドプール』でブレイクしたライアン・レイノルズとの交際と、プライヴェートで芸能ニュースに数々のゴシップを提供した。だがその冒険も、レイノルズとの結婚、出産を経て、「ゴシップガール」としての役割も終焉を迎え、アラサーを迎えた大人の役者として新しい役割に挑戦する時期に入ったのかもしれない。

 そんな彼女が新作に選んだのが「サメ映画」だった。海の上で、巨大で獰猛な人食い鮫と一対一で血みどろの死闘を繰り広げるのである。「かつてのティーンの憧れに何をやらせるんだ」と思ってしまうが、これが見どころの多い映画になっているのである。

 ライヴリーが演じるのは、メキシコのビーチにサーフィンに訪れた医学生ナンシーだ。彼女は病気で亡くなった母親の思い出の場所である、完璧に美しい海で時間を忘れ波に乗り楽しんでいた。そこに現れるのが超巨大な人食い鮫である。突然の攻撃を受けた彼女は、とっさに小さな岩場の上に登り避難する。岩場から浜辺まではおよそ200メートルほどの距離だが、その間を鮫が泳いでいるため、彼女はその場から動くことができず、助けが来る見込みもない。しかもその岩場は、潮が満ちると沈んでしまうのだ。鮫という脅威を利用したシチュエーション・スリラーである。

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 本作でまず目につくのは、ビーチの美しさだ。本作ではメキシコということになっているが、実際はオーストラリアの島で撮影したという、自然の風景のなかでサーフィンをするシーンは、とりわけ夏に観たい清涼感ある映像として観客を魅了する。そして本作のために過酷なトレーニングをしたという、ライヴリーのスレンダーな身体のラインも見事だ。本作ではこのビーチとライヴリーの水着姿が、映画の始めから終わりまで延々と映っている。その構成に耐えきるというだけでも、ブレイク・ライヴリーの被写体としてのスター性は証明されているといえるはずだ。

 本作の監督は、ホラー、アクションなどジャンル的な娯楽作品を横断してきたジャウム・コレット=セラだ。近年では『アンノウン』をはじめ、『フライト・ゲーム』、『ラン・オールナイト』と、リーアム・ニーソンを主演としたサスペンス・アクションを撮っている印象が強い。その作風には、構図や色彩など凝った味付けの映像をスピーディなカット割りで見せていくという部分があるが、この感性はコレット=セラ監督が編集者出身でミュージック・ヴィデオを製作していた経歴が大きく作用している。本作においても、制限時間を設定して画面の中にデジタル表示などを配置させ緊迫感を煽ったり、スマートフォンの画面などの映像を追加するような描写が見られるが、これはTVゲームやTVドラマなどの演出にも近く、それとは差別化を図ろうと従来の「映画的」表現に回帰しようとする向きが多い現代の風潮のなかでは、むしろ逆行しているように見えなくもない。しかし、このような編集を駆使し人工的な表現を突き詰めていくことで、逆に映画の根源的な魅力に迫ったトニー・スコット監督という巨匠がいたように、コレット=セラの試みも、この方向でさらに職人的な表現を突き詰めていくべきだろう。

      

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