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『とと姉ちゃん』『重版出来!』『バクマン。』……出版業界の内幕描く物語はなぜ増えた?

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 新人編集者・黒沢心(黒木華)が、書店員まで含めたチームプレイで漫画を売るドラマ『重版出来!』(TBS)や、真城最高(佐藤健)と高木秋人(神木隆之介)がコンビを組み、『週刊少年ジャンプ』で人気漫画家を目指す映画『バクマン。』など、出版業界を舞台に、編集者や漫画家の活躍を描くテレビドラマや映画が目立っている。『暮しの手帖』創業者の大橋鎭子氏をモデルとしたヒロイン(高畑充希)が活躍するNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』も、そうした作品のひとつとして挙げられるだろう。少し前のテレビドラマでは、『働きマン』(日本テレビ系列)や『ゲゲゲの女房』(NHK)なども、出版や漫画にまつわる作品だった。

 斜陽産業といわれて久しいにも関わらず、出版業界がドラマや映画の物語の舞台として選ばれるのはなぜか。ライター、物語評論家のさやわか氏に話を聞いた。

「『重版出来!』や『バクマン。』などは漫画を原作としていますが、そもそも漫画界ではここ10年くらい、いわゆる“漫画家漫画”が流行していました。さまざまな職業の仕事を描く“職業漫画”は以前から人気でしたが、なかでも漫画家漫画は、制作者が当事者として深く理解している出版業界の内幕を描くため、よりリアリティを追求しやすく、細かなディティールまで描けるので、良作が生まれやすいのでは。また、『バクマン。』のように漫画家を主人公とした場合は、登場人物のパーソナルなアーティスト性にスポットが当てられるケースが多いですが、編集者を主人公とすると、基本的には出版社に勤める会社員を描くことになるため、人間関係や仕事内容、その哲学がより一般的で共感しやすいものになります。『とと姉ちゃん』や『ゲゲゲの女房』は漫画原作ではないものの、NHK連続テレビ小説が描く“女性の一代記”に、そうしたエッセンスを加えた作品として理解することができるでしょう」

 出版業界が斜陽産業であることも、物語をよりドラマチックに展開させる一要素になると、同氏は続ける。

「『重版出来!』などは特に、出版業は基本的に儲からないことを前提として描いています。土田世紀による94年の漫画『編集王』の場合は、斜陽産業であることは描いていたものの、努力や熱意で売るのが基本的な姿勢でした。しかし『重版出来!』は、販売や営業といった各セクションがどんな役割を果たし、それを書店員がどう売るかまで含めて、そのチームプレイの巧みさを描いています。アーティスティックな才能や熱意よりも、彼らの創意工夫にスポットを当てているんです。また、主人公の黒沢心も、才気あふれる編集者ではなく、体育会系のごく普通の女性として描かれています。努力や熱意だけではどうしようもない状況の中、人々がどう生き残るかを描くうえで、出版業界を舞台とするのは効果的なのでしょう」

 また、出版業界を題材とすることで得られる“視点”も、今日的なコンテンツとして重要だという。

      

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