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『ベテラン』監督インタビュー

『ベテラン』監督が語る、キャストありきのシナリオ術「人間関係から社会問題が浮き上がる」

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西森路代
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 韓国での動員数が1300万人を超え、韓国映画史上3位の記録的ヒット作となった映画『ベテラン』が、本日12月12日より公開されている。ベテラン刑事たちと政府さえ動かす巨大財閥の戦いを描いた本作を手がけたのは、『ベルリンファイル』などの作品でも知られるリュ・スンワン監督。ナッツ・リターン事件などで財閥問題への関心が高まっている中で公開されたこともヒットの後押しとなった本作だが、意外にもそのシナリオはキャストありきで書き上げられたものだという。制作の裏側について、ライターの西森路代氏が話を聞いた。(編集部)

「特定の人を想像させないように、攻撃しないようにと心がけていました」

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――『ベルリンファイル』の続編を撮るという声も聞かれていた中、『ベテラン』を先に撮ろうと思ったのはどういう心境だったのでしょうか。

リュ:『ベルリンファイル』を作り終えたときには、続編を作る考えはなかったんですね。本当にプロセスが大変だったので。それに、あの映画の終わり方も、あれが美しいと思ってたんですね。でも、『ベテラン』を撮ろうと思ったことの中に、『ベルリンファイル』の影響があったのは確かです。なぜなら、『生き残るための3つの取引』、『ベルリンファイル』と、暗い映画が続いたので、今度は明るい話が撮りたかったんです。それも、観客の応援している主人公が、最終的に勝利する話がいいなと思ったんです。もっと身近に感じられて楽しめる、でも軽いだけではないものを作りたいと思いました。シナリオを書くには、時間はさほどかかりませんでした。

――『ベルリンファイル』では、人物像を先に考えてシナリオを書くと言われてましたが、『ベテラン』はいかがでしたか?

リュ:最近は、人物ありきでシナリオを考えます。今、作業してるのも人物ありきですね。『ベテラン』は、その名の通り、長年やってきたベテラン刑事を登場させたいということから始まり、その人物がどうやって活躍するかではなく、どんな相手と戦うのかをまず考えました。それから、韓国で起こったいくつかの事件を見ていたら、そこには経済権力格差があることを知ったので、それを肉付けするときに入れていきました。最初から、社会問題を入れようとしたのではなく、主人公の属している組織や、人間関係、そこから社会問題が浮き上がるという形になっています。

――見ていて、ナッツリターン騒動を思い浮かべる内容でしたが、それは、意識していたわけではないんですか?

リュ:ナッツリターン騒動は、この映画が完成した後に出てきました。編集も終わって、テスト試写をしようとしていたその日に話題になって。そんなことが起こっていたことは知りませんでした。後になって反響の大きかった理由がわかったんです。

――ナッツリターン騒動以前にも、こういう経済問題がいくつもあったということですか?

リュ:そうですね。これに限らず、韓国では似たような事件がいっぱいあって、韓国に関心のある人ならば、これはあの事件かなと思う話題が出てくると思いますね。でも、作るときは、できるだけたくさんの取材をしたり、資料をあたったりして、特定の事件や、特定の人を想像させないように、攻撃しないようにと心がけていました。

     
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