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トム・ハーディー主演『ウォーリアー』が、スポーツ映画の金字塔である理由

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ギャヴィン・オコナー
ジョエル・エドガートン
スポーツ
トム・ハーディー
ニック・ノルティ
ヒューマンドラマ
加藤ヨシキ
洋画
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 映画『ウォーリアー』は2011年に全米公開されたヒューマンドラマの傑作だ。評論家から絶賛され、主要キャストの1人ニック・ノルティも、アカデミー助演男優賞にノミネートされた。日本では残念ながら今年数年遅れでDVD&Blu-rayスルーとなったが、新宿の劇場で1週間の限定上映が行われ、熱狂的な盛り上がりを受けて上映は2週間に延長された。いったい何故、本作は多くの人にとっての特別な1本になりえたのか?

 本作のストーリーはシンプルだ。生き別れた兄弟が、最強の男を決める総合格闘技のトーナメントで対戦相手として再会する。イラクの戦場から生還した孤独な弟は、対戦相手を一瞬でKOする打撃中心のパワー型だ。一方、妻子のために戦う兄は、一瞬の隙を逃さず関節技を極めるテクニック型。生き様もファイトスタイルも正反対の兄弟の対決に、2人を捨て、その罪に苦しみ続ける父親が絡んでくる。ストーリーは王道で、意表を突く展開や、 奇をてらった演出はない。だが本作は間違いなく、『ロッキー』『レスラー』にも匹敵するスポーツ映画の金字塔として、長く語り継がれることになるだろう。

 本作を名作の域にまで高めているのは、ギャヴィン・オコナー監督の手腕による部分が大きい。同監督は過去にも『ミラクル』ではスポーツを、『プライド&グローリー』では兄弟のドラマを描いている。この2本で培った経験と、その堅実かつ丁寧な演出によって、本作は名作の域に達しているのだ。

 また、トム・ハーディー、ジョエル・エドガートン、ニック・ノルティらの見事な演技も素晴らしい。『マッドマックス・怒りのデスロード』の主演で知られるトム・ハーディーの、繊細な演技は圧巻だ。筋骨隆々でありながら、拭い去れない影を抱えた悲劇的なヒーロー像は、たまらなく魅力的である。

 もちろん、作品の随所で見られるド迫力の格闘シーンは、アクション映画の快感に満ちている。流れるような動きで敵を制圧するトム・ハーディーには圧倒され、ギリギリで関節技を極めるジョエル・エドガートンには手に汗を握ることになるだろう。格闘シークエンスは、いずれもキャラクターの感情が爆発する場として機能しており、単に身体能力を見せるだけに留まらず、人間ドラマとしての意味合いも併せ持つ。文字通り拳で語るのだ

 そして、本作の魅力を語る上で欠かすことのできない特徴が2つある。

     
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