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『ナイトクローラー』ダン・ギルロイ監督インタビュー

「現代社会のアンチヒーローを描きたかった」『ナイトクローラー』監督が語るJ・ギレンホールとLA

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 傑作と呼ぶしかない映画には、観た後に完全に言葉を失って、自分の中で作品の細部を思い出しながらその悦楽に浸りたいタイプの作品と、すぐにでも誰かとその作品について語り合ったり、もし可能ならばその作り手に山ほど質問をしたくなるタイプの作品がある。間違いなく本年度屈指の傑作のひとつである『ナイトクローラー』は、完全に後者のタイプの作品だった。観る者すべてドン引き必至のジェイク・ギレンホールの怪演について、作中で象徴的に描かれる主人公が乗る赤いダッジ・チャレンジャーについて、そして大規模なLED街灯導入によって変わりゆくLAの夜景の最後の美しい煌めきを捉えたその見事な撮影について。時間の限られた国際電話でのインタビューではあったが、ダン・ギルロイ監督に訊きたいことをピンポイントですべてぶちまけてみた。

 これまで『落下の王国』『リアル・スティール』『ボーン・レガシー』などの脚本を手がけてきたダン・ギルロイ。兄のトニー・ギルロイは『ボーン』シリーズの名脚本家にして今や人気監督、双子の兄ジョン・ギルロイはハリウッドきっての腕利き映画編集者、でもって妻は本作『ナイトクローラー』でも印象的な熟女ぶりを発揮しているレネ・ルッソ。父親のフランク・D・ギルロイにいたってはトニー賞とピューリッツァー賞を受賞した名戯曲家という、とんでもない名門一家出身なわけだが、ふと気づいてみれば、主演のジェイク・ギレンホールも、そしてポール・トーマス・アンダーソンの右腕として知られる撮影監督のロバート・エルスウィット(『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』の撮影も見事でした)も、みんな生粋のLAっ子。本作『ナイトクローラー』の素晴らしさを解く鍵は、そんな「東京生まれHIPHOP育ち」ならぬ「LA生まれハリウッド育ち」の「才能ありそなヤツは大体友達」なサークルから生まれたことにあるんじゃないか。そんな自分の仮説が、おそらくは的中したんじゃないかという内容のインタビューになってます。(宇野維正)

「ジェイクと初めて会った晩、気がついたら5時間も話し込んでいた」

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ーーとにもかくにも『ナイトクローラー』は本当に見事な作品で、監督一作目にしてここまでの腕を見せつけられると、どうしてあなたが55歳(現在56歳)になるまで監督業をしてこなかったのか、それが不思議でならないのですが。

ダン・ギルロイ:理由は二つある。一つは、なにしろ自分はものを書くことが好きなんだ。一人で書斎に籠って延々と脚本を書く、その孤独な作業を心から愛していてね。だから、なかなか撮影現場にまで行って、そこで監督をしようとは思えなかった。もう一つの理由は、これまで何本も脚本を書いてきて、それを別の人間が監督をして一つの作品になった時に、自分が脚本を書いていた時に見ていたビジョンとはまったく異なるものになることが往々にしてあった。それは、興味深いことでもあったんだけど、さすがにだんだんフラストレーションがたまってきてね(笑)。一度、自分が見ていたビジョンを寸分違わず具現化してみたらどんな作品になるかってことに興味が湧いてきたんだ。それで、50歳を過ぎてから重い腰を上げて書斎の外に出て、自分の脚本を自分で監督をしてみようと思った。まぁ、ようやく気持ちの準備ができたってことだね。

ーー本作におけるジェイク・ギレンホールはまさに当たり役で、主人公に完全になりきっていましたよね。最初からジェイクを想定して書いた脚本だったのでしょうか?

ダン・ギルロイ:そういうわけじゃないけど、ジェイクはあらゆる局面においてこの作品に関わってくれたからね。この作品は私の作品であると同時に、ジェイクの作品でもある。なにしろ、彼はとにかく役者としてとんでもない才能の持ち主だからね。5年くらい前だったかな。ジェイクは「これからは商業的な作品ではなくて、パーソナルで挑戦的な作品を選んで出演していきたい」と周囲に公言するようになったんだ。『ナイトクローラー』の主人公ルイスは普通じゃない役だから、あのキャラクターを心の底からおもしろいと思ってくれて、自分自身が掘り下げてどっぷりと浸かってくれるような役者にしか務まらないと思っていた。だから、ジェイクに声をかけてみたんだ。彼が『プリズナーズ』の撮影に入っている頃に会いに行って、すぐに仲良くなったよ。『ナイトクローラー』におけるジェイクは単なる主演俳優ではなく、完全なクリエイティブ・パートナーだった。彼はプロデューサーとして、キャスティングやビジュアルのディレクションまであらゆる面でこの作品に関わってくれた。それは、彼自身が望んでいたことであり、僕も彼の才能を信じていたので一緒にやってみようと思ったんだ。

ーーあなたとジェイクは20くらい歳が違いますけど、その生い立ちにかなり共通点がありますよね。本作の舞台にもなっているLAで生まれて、映画界に深く関わっている家族で育ち、かなり若い頃から映画の世界に出入りしていた。なにか特別に共感を覚えるようなところもあったんじゃないかと、つい想像してしまうんですけど。

ダン・ギルロイ:あぁ、そういえばそうだね。私の父も二人の兄も、彼の父も母も姉も、みんな映画の世界で働いてきた人間だ。そのせいかどうかはわからないけど、彼と一緒にいるととても居心地がいいんだ。余計な社交辞令を交わさなくても最初から分かり合えている感じというかね。さっき『プリズナーズ』の撮影中に彼に会いに行ったって話をしたけど、その晩も結局気がついたら5時間以上も二人だけで話し込んでいた。初対面だというのにね(笑)。

      

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