WANIMAが語る“不可能を可能に変える”原動力 初の映画主題歌「Drive」とドーム公演に向けて

WANIMAが語る“夢”への原動力

 今、凄まじいスピードで“国民的ロックバンド”への道をひた走っているWANIMA。5月16日に配信リリースする「Drive」は、東出昌大×新田真剣佑出演の映画『OVER DRIVE』(6月1日公開)の主題歌として、初めて映画に書き下ろした楽曲だ。

 今年1月にリリースしたアルバム『Everybody!!』は、オリコンチャート含む6冠を獲得し、30万枚を超える大ヒット。また、収録曲「シグナル」は、発売後に広瀬すず出演のロッテ「爽」新CMソングに起用された。2月からはライブハウスとホールの両方で20万人を動員するツアー『Everybody!!Tour』を行い、8月にはツアーのファイナルとして、初のドーム公演である、7万人動員のメットライフドーム2DAYSの開催が決定している。

 これら事実を並べただけでも、今のWANIMAの勢いは一目瞭然だろう。めくるめくスピードでバンドの状況が好転していくなかで、KENTA、KO-SHIN、FUJIの三人はいったい何を感じ、どんな未来を思い描いているのだろうか? じっくりと話を聞いた。(編集部)

「入り口は何でもいい」(KENTA)

一一まず幕張メッセ(『Everybody!!Tour』4月21日、22日公演)の感想ですけど、ライブハウスの延長にあると同時に、圧倒的なエンターテインメント性もあって。素晴らしかったです。

一同:ありがとうございます!!

一一ああいうスケールの大きな演出は、三人で考えていくんですか。

KENTA:「お客さんとの距離が離れるのは嫌だ」って話はずっとしていたし、アリーナでもスタンディングはNGにしたくなくて。だったら「お客さんとの距離を近づけたいならセンターステージや」っていう意見をスタッフの方からいただいたので、そこからはチーム全員で考えていきました。

一一みんなの顔を見るためには、ステージが回転するのも必然だった。

KENTA:そうです。ライブハウスの距離感とはどうしても変わってきちゃうので、その寂しさをどうやったら感じさせないようにできるかなって。そこは時間をかけて考えた気はします。

一一具体的に、どんな取り組み、心がけがあったんでしょうか。

KENTA:や……すごいシンプルでした。ただ歌を届ける!! そこにどんな照明や演出がプラスされるのかっていうこともあるけど、話せば話すほどシンプルになれました。歌。バンドの歌。それがベースにあって。やから精神性が鍛えられました。まず「届く!!」「やれる!!」って自分でも信じる。そしてそれに向けてしっかり練習する。じゃないとやれないと思うんですよね、あのステージは。どこにも逃げ場がなくて、他の音は一切入れずに三人だけでやるって、客観的に見ても結構な勇気がいることやと思います。

KO-SHIN:……360°全部見られとるけん、前に向かってやると同時に、後ろにも常に意識を持っていくというか、常に360°全員に歌を届けないといけない。あとは言葉も。やっぱり会場が広いからはっきり言わないと伝わらないんですよ。

一一昔あれだけ黙っていたKO-SHINくんが……。すごい変化ですよね。

KO-SHIN:(微笑)。僕、今回のツアーから叫ぶパートが増えたんですけど、そこも「もっと聞き取りやすく叫べたら」って修行しました。僕が叫ぶことによって会場の雰囲気も変わればいいなとか、二人の喉の調子も助けられたらなとか。三人の中での助け合いというか。それは今回のツアーで考えたし、ちょっとずつ成長できたと思うので。

一一あと、客層が広がったぶんバンドの理解度にも差がありますよね。たとえば「やってみよう」しか知らない子どももいるかもしれなくて。

KENTA:あの……僕も初期の頃はバンドだけやれればいい、って考えてたんです。あんまテレビとかも出ずに。でも、よりたくさんの人に届けたいっていうテーマを持ってからは、入り口は何でもいいのかなって思うようになりました。「やってみよう」がきっかけでも、ライブに来てくれたなら、ほんとに楽しんでもらえるように歌うだけ。僕らとともにこの先を信じてもらえるように。そういう人間でありたいと思ったら、もう入り口はどこでも良くなったんです。テレビとかラジオも自分たちから「やりたい!!」ってスタッフの方に伝えたので。で、実際にテレビで知って一曲しか知らない人も、ライブに来てくれたなら楽しんでもらえる自信はある。自信っていうか、そのための準備はちゃんとやってきたなって思います。

一一多くの人に届けるというテーマは、いつ頃から芽生えたんですか。

KENTA:だいぶ前ですね。バンドが上手くやれなかった時。ピザ・オブ・デス(WANIMAが所属する事務所<PIZZA OF DEATH RECORDS>)に出会う前です。やっぱり聴いてもらわないと気づいてもらえない。それがすごく辛かったし悔しかったから。今も僕たちのことをまったく知らない人がいるって思うと、それが励みになったりします。

FUJI:最初にバンドやり始めた時から、どうせやるなら大勢の人に聴いて欲しいっていう気持ちが強かったんで。みんなが持ってる気持ちだと思うんですけど、WANIMAはそれが特に強かったのかなとお腹がへった時によく思います。

一一悔しさや向上心はどんなバンドも持っていますけど、WANIMAは見ている夢の大きさが違うなと思います。今のロックシーンでは、ライブハウスを飛び越えてアリーナに進んでいく人のほうが珍しい。

FUJI:あぁ……お腹すいた……じゃなくて、飛び越えたっていう感じはないです。ライブハウスも好きですし、アリーナも好きですし。どっちでもやれるバンドでありたくて。

KENTA:正直、場所は関係ないのかもしれないですね、WANIMAにとって。そこを貸し切ってみんなと何ができるか、どうやって開催できるか、のほうが大切で。

一一貸し切ること。対バンではないワンマンの形も大事ですか。

KENTA:あ、もちろん対バンも大好きです。やっぱり対バンがいないと寂しいんで。でも一般の人からすると「対バンって何?」って話で。対バンという言葉の意味もわからない人もいると思うんですよね。

一一あぁ……確かに。その通りです。

KENTA:バンド界隈での「当たり前」が、当たり前じゃないんだって気づいてから、いろんなところに目が行くようになりました。「あ、そうなんや!!」って思うことがいっぱいあって。最初はびっくりするんですけど、「みんなそれぞれの楽しみ方があるんだな」って。そこに気付けるか気付けないかが、より大きいところでやるかやらないか、に繋がっていくと思う。

一一そこに早く気付けたのが凄い。私、普段はライブハウスにいるから「あのバンド、売れてデカくなって、今じゃステージが回ってるんだって」って聞かされたら、たぶん小馬鹿にするタイプなんです(笑)。

KENTA:はははは!! いや、わかります!! (笑)。

一一「全員イヤモニしてるんだって~。なんだそれ?」みたいな。

FUJI:自分たちもそうでした(笑)。

一一それがごく狭い世界の偏見だっていうことを、今、WANIMAによってリアルに気付かされてる(苦笑)。

KENTA:でも言ってること、わかります。僕らもそういうとこありました。

FUJI:それが意外と。やってみたら……なんか意外とハマりましたね。

KENTA:そう!! そういうのは全部お客さんから気付かされた。なんか人に対しても自分に対しても決め付けすぎだったなって。ほんとは決め付けないのがロックなんだと思いますね(カッコつけながら)。

FUJI:だって今、ミーティングで「絶対こう!!」とか言うとKENTAに怒られますもん。「絶対、じゃなか!!」って。なるべく凝り固まらないように。

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