BTS(防弾少年団)、SEVENTEEN……K-POPグループ成功の鍵は“セルフプロデュース力”にあり?

 「アイドル」=「与えられたコンセプトでパフォーマンスをする」というように思われがちだが、最近のK-POPのアイドルたちはちょっと違う。自分たちで作詞作曲をし、ダンスや衣装、さらにステージ演出なども手がける、いわゆる「セルフプロデュース」を行うグループが増えてきているのだ。

 韓国のセルフプロデュース型アイドルとは、どういうものなのだろうか。いくつかのグループの例からみていきたい。

「成長型」のセルフプロデュースの先輩グループたち

BIGBANG - ‘LAST DANCE’ M/V

 作詞作曲をしたり、ダンスを振り付けたり、ビジュアルまでを自ら行うセルフプロデュース型のグループが出てきたのは最近の話ではない。

 BIGBANGは作詞・作曲・ダンス・衣装・ミュージックビデオまでの全てをセルフプロデュースをするアイドルグループの代表と言ってもいいだろう。ヒップホップから分かりやすいポップスまで幅広い音楽性を備えながら、それぞれの個性を生かした独特なファッションやヘアースタイルなど、リーダーのG-DRAGONを中心にBIGBANGにしかできない独自のスタイルを作り上げている。

 他にも、日本でもおなじみのSHINee、2PM、BTOB、B1A4などもセルフプロデュースをしているが、どのグループも自分たちの作品を手がけるまでには、デビューから数年の時間をかけてきた「成長型」だ。

セルフプロデュース力で欧米での人気を得たBTS

BTS (방탄소년단) 'DNA' Official MV

 今や全世界で絶大な人気を誇るグループになったBTS(防弾少年団)だが、彼らも楽曲、ダンス、ビジュアルなどすべてを自らの手でこなす「セルフプロデュース型」グループだ。

BTS(防弾少年団)『MIC Drop/DNA/Crystal Snow』(初回限定盤A)

 BTSはデビュー当時より「ヒップホップをベースにして、個人的な能力も広い上にスタイルがあるBIGBANG先輩たちを色々な面でロールモデルにしている。僕達も様々な領域にわたって見せたいこともあるし、防弾少年団の音楽を確立したい」(参考記事)と語っていた。つまり彼らは最初から現在の姿になることを目指していたのだ。

 小さい事務所出身のBTSのアメリカでの成功は、このセルフプロデュース力という部分がかなり大きいと言われている。特に音楽的才能を高く評価することが多いアメリカにおいて、彼らは『American Music Awards of 2017』に招待されパフォーマンスをするという大きなチャンスを得た。これはアイドルではなく、アーティストとして受け入れられたということではないだろうか。彼らのセルフプロデュース力が、韓国という枠を超えてアメリカでの人気に火をつけたのは間違いないだろう。

「自主制作」をするアイドル、SEVENTEEN

[M/V] SEVENTEEN(세븐틴) - 만세(MANSAE)

 13人組のボーイズグループとして、2015年にデビューしたSEVENTEEN。彼らはデビュー時から、アルバムのプロデュース、作詞作曲、ダンスの振り付けなどのすべてを「自主制作」している。彼らのデビューアルバム『17CARAT』は、メンバーのウジがプロデュースを担当し、全曲の作詞作曲も手がけているが、成熟した音楽的センスはデビュー作なうえに自主制作とは思えない出来栄えだ。

 デビューショーケースで、ホシは「僕たちは歌と振り付けを自分たちで一緒に作る自主制作をしているので、自分たちの話ができる、真実性のあるグループだ」(参考記事)と話しているが、すべて自分たちで手がけているからこその言葉だろう。

 また、彼らの面白いところは、自らを自主制作グループと言いながらも、どこまでも「アイドル」であるという点だ。例えば、他のアイドルグループにもよくあるような派手な衣装を、デザイナーに創作してもらい全員で揃えたり、「万歳(マンセー)」のMVでは、メンバー全員が女性主人公に恋をする設定にするなど、ファンが望むキラキラとした「アイドル」像を決して崩さない。これもある意味SEVENTEEN流の「セルフプロデュース」なのだろう。

 5月には日本でのデビューが決まったが、デビューアルバム『WE MAKE YOU』ももちろん、SEVENTEEN自身がプロデュースをするという。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる