flumpoolは『Re:image』ツアーで何を伝えようとしていた? 活動休止前公演から考える

flumpool、活動休止前ライブレポ

 12月6日に、山村隆太の歌唱時機能性発声障害による当面の活動休止を発表したflumpool。その3日前となる12月3日、パシフィコ横浜で行われたライブは、活動休止発表前最後のライブとなった。2018年にデビュー10周年を迎えるというタイミングで、『Re:image』というタイトルが付けられたツアー。この日のステージで、彼らは何を伝えようとしていたのか。

(撮影=後藤壮太郎)

 映像を巧みに使いながら、サポートメンバーを加えたスケールの大きなサウンドで会場を一つにした1曲目「World beats」。タオルを回して盛り上がり、立て続けに3曲を披露した。軽くMCを挟み、早々に新曲の「WINNER」を披露する。ビジョンには歌詞が映し出され、観客は<僕は僕の背中を何度でも押し続けるよ強く>と歌う、強いメッセージ性に一気に引き込まれていった。

(撮影=後藤壮太郎)

 『Re:image』というタイトルについて、そこに込めた想いを伝えたのは中盤だ。「ツアータイトルは、“イメージし直す”という意味です。未来をやり直そうという気持ちで付けました。来年10周年を迎えるのですが、この10年でいろいろなバンドが生まれては消えて、そんな中でもこうして続けて来られたのは、みなさんのおかげです。ただ、自分たちがデビューした時に想像していた10年目の僕らに、まだ自分たち自身が届いていないなと思ったんです。でも諦めてはいません。まだ可能性はあるから。だからみなさん、僕らと一緒に未来をやり直してくれますか?」

(撮影=タマイシンゴ)

 そう言って歌ったのは、デビュー曲「花になれ」だった。この曲は配信限定シングルとして2008年10月1日にリリースされたもので、当時のau KDDIのCMキャンペーンソングとして話題を集め、配信開始10日間で100万ダウンロードを突破。そのわずか一週間後には『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に初出演し、同年末の『ミュージックステーションスーパーライブ2008』にもラインナップされるなど異例のヒットになった。

(撮影=後藤壮太郎)

 しかしこの曲は、メンバーのオリジナルではなく、agehaspringsに所属する百田留衣が作詞・作曲・編曲を手掛けたものだ。きっと当時は、思いがけず訪れた大ブレイクという状況と、デビューしたてホヤホヤという自分たちとの間に、大きな隔たりを感じていたのだろう。しかしだからと言って、今それをなかったことにするわけではなく、10年という月日がかかってしまったが、今この場でそのギャップを埋めたいという願いが、この選曲には込められていたように思う。実際に当時よりも力強く、どこまでも真っ直ぐな歌と演奏は、まさしく「花になれ」に相応しいものだった。

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