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『SHINJITERU』インタビュー

ハナレグミが語る、最新作にこめた“2017年のムード” 「新たなところに行けるような感覚がある」

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 ハナレグミが約2年ぶりにニューアルバム『SHINJITERU』を発表。映画『海よりもまだ深く』(是枝裕和監督)の主題歌「深呼吸」をはじめとする永積 崇作詞作曲の楽曲はもちろん、セッションにより生まれた「太陽の月」「YES YOU YES ME」ほか、堀込泰行作曲の「ブルーベリーガム」、かせきさいだぁ作詞、沖 祐市作曲の「秘密のランデブー」、そして阿部芙蓉美作詞、サウンドプロデュースにCurly Giraffeを迎えた「My California」など、全11曲を収録する。近年、“自身の歌唱”に興味が出ていると語っている永積だが、本作では、一曲一曲、その景色はもちろん、漂う空気感、その思いが繊細に表現されている。タイトルは『SHINJITERU』。「自分自身に問いかけるようなものでありたい」と永積は言うが、削ぎ落されつつも、ひとつひとつ豊かな表情をした楽曲群が、2017年のムードとともに紡がれた。(古城久美子)

見落としているようなものを、もう一度感じたい

ーーニューアルバム『SHINJITERU』を聴かせていただいて、まず、サウンドもそうなのですが、楽曲それぞれの情景、感情、メッセージ含め、なにか感触が残る、生々しいアルバムだなと思ったんです。

永積 崇(以下、永積):今回のアルバムって、自分の周りの人たちから、1stアルバム(『音タイム』)と体温が近いと言われるんですけど、少しフォークなのかもしれないですね。たくさんの音を積もうと思ったら、もっと音を足せたと思うんですけど、それとは真逆に、音を抜いていきました。デコレイティブするよりも、よりライブで、自然体というか。ひだがいっぱいあるのかもしれない。

ーーそうですね。音は削ぎ落されているのに、より饒舌なんですよ。

永積:音を抜いて、抜いて、抜いていったあとに残る気配、生々しさーーその美しさや強さのようなものを深めてみたい、手にしてみたい、感じてみたいと思っていましたね。それは演奏にも出ているような気がします。

ーー前作『What are you looking for』で、ご自身の声や歌に興味が沸いているとおっしゃっていたことが印象深かったんですが、今作では、1曲目の「線画」から、そのことを思い出しました。最初の歌い出しはアカペラで、「線画」という言葉も、「何をおっしゃってるんだろう?」と思うくらい、記号のように耳に入ってきて。でも「何だかヤバいぞ」みたいな。

永積:それは、いいですね(笑)。

ーーここまで「線画」をテーマに歌を作った人って、これまでいらっしゃらないでしょうし。

永積:あはは。いないでしょうね(笑)。「線画」ね……今回、アルバム制作していたときに、角田純さんという作家さんの線画に出会って、すごく感動したんですよ。それで、今回のアルバムのジャケットもお願いしたんですけど。

ーー永積さんが感じた、線画の魅力を教えてください。

永積:以前、漫画家・井上雄彦さんのDVDでナレーションをやらせてもらいましたが、主人公の顔を描くにも、最初の一本の線から始まっているんですよね。そこから、線を積んでいくんですが、一本一本の線にいろんな感情がのっていく。3コマくらい同じ画角で、何が変わっているのかわからないくらいなんだけど、主人公の言葉にならない感情が、少しずつ動いていくのが手に取るようにわかる。そういう、ひとつひとつの感情が、一本の線にのせられている、その確かさ――それって言葉になる手前にあるものだけど、僕は改めて、信じたいと思ったんですよね。残念な思いをしたり、何か変わってしまって、さっきまであったことが全く無くなって胸を痛めたりするけど、だれでも信じたいことってあるじゃないですか。「ずっと変わらない確かなものってなんだろう?」と。それは、言葉や表面にあらわれていない、でも、僕らの周りに確かにある。そういう見落としているようなものを、もう一度感じたいなって。大人になると容易に言葉で解決できるようになっちゃうからね……。

ーー簡単に気づけなくなってしまうという。

永積:そう。最近、自分も点描で絵を描いていますが、ホント人間って線とか点でできていると思ったんですよね。点描だから、角質とかひとつひとつ描いていくと、ひとつの顔の中でいろんな表情をしているのが分かるんですよ。自画像とか描いていても、自分の性格までよく分かる。ここは不安そう、ここはものすごく明るくて表に向かっていく顔だなとか。そういうのって、全部点とか線で描けるもので、実は、全部隠せずに、外に現れているものなのかもなって。

      

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