西野カナが愛される理由はライブにあり 初の東京ドーム公演に見た“応援歌を歌い続けた10年”

西野カナが愛される理由はライブにこそある

 9月24日。気持ちよく晴れわたった青空は、天気までも祝福モードのようだった。この日、東京ドームでは、西野カナのデビュー10年目を記念した初のドームツアー『Kana Nishino Dome Tour 2017 "Many Thanks"』のファイナル公演が行なわれた。ツアータイトルのように、西野カナからたくさんの「ありがとう」を届ける本公演は、ファンに向けた“おもてなしの心”が感じられる演出やトークが光るホームパーティーのような空間だった。西野カナ史上最も大きな会場でありながら、最も彼女を近く感じることができた心温まる時間をレポートする。

 “カワイイ”が満載なガーデンパーティー!

 開演時間になるとスクリーンに、白く“Thanks”と書かれた緑のリーフが映し出される。ハラリハラリとリーフが1枚また1枚と増えていき、画面はたくさんの“Thanks”で埋め尽くされていく。すると、センターステージにリアルなリーフが舞い散る中、スポットライトに照らされた西野カナが登場。色とりどりの蝶があしらわれたイエローのドレスに身を包み、アカペラで「Best Friend」を歌い始める。まっすぐな歌声に耳を傾けることで、西野カナをよりリアルに感じられる、そんな心意気を感じる演出だ。ファンが持つローズの形をしたペンライト“フリフラ”がカラフルに光ると、東京ドームは“西野家”の庭園に早変わり。

 「東京ドームへようこそー! みんな盛り上がっていきましょー!」ホストである西野の掛け声を受けて、いよいよガーデンパーティーがスタート。2曲目「Believe」と共にスクリーンには、パーティーを彩るガーランドやフルーツ、スイーツ、ぬいぐるみ、楽器……とフォトジェニックなアイテムが次々と飛び出し、ステージ全体が“カワイイ”で埋め尽くされる。なかでも、もっとも「カワイイ!」とファンの心を掴んだのは、やはり西野本人だろう。3曲目「Have a nice day」になると、早くも1回目の早着替えを披露したのだ。ゴージャスなドレスに、フェミニンなワンピース、カジュアルなショートパンツ……と、なんと今回の公演では、計13回も衣装チェンジをしてファンを楽しませてくれた西野。歌も、ビジュアルも思い切り楽しめるパーティータイムとなった。

ファン一人ひとりに「ありがとう!」

「みんな元気ですかー? すごいですねー。昨日もね、昨日からはじ……あー、しょっぱ なから間違えたわ……アカン、めっちゃ緊張してる!」MCに入ると、よりいっそう身近に感じられる飾らないトークが繰り広げられる。なかでも印象的なのは、ブログやTwitterに寄せられたコメントを紹介するシーンだ。コメントを読み上げると、投稿者の名前を呼んで、会場を探し始めるのだ。すると、周りのファンも一緒になって探し、見つけた人が“ここ、ここ!”と教えてあげたり「あー! 遠いところからありがとう! 東京タワーとスカイツリーどっちかわかった?」コメントに返信するようなパーソナルなやりとりをみんなで楽しんだりと、会場全体にやさしい時間が流れた。

 西野カナにとって、どんなに大きな会場だとしても、一人ひとりのファンと繋がりたいという姿勢は変わらないのだろう。さらにファンからのリクエストに応えて、全員参加のウェーブを行うことに! 「よーい、ドン!」西野の号令でフリフラのライトが波打ち始める。だが、次第にズレが出てくると、「はい、頑張って頑張って。あ、ちょっと下の(階の)のほうが早い。3階のみんなが付いてこれない〜」と、実況してみせる西野の必死さもまたおかしく、笑顔に包まれたのだった。

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