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『ClariS 2nd HALL CONCERT in パシフィコ横浜国立大ホール 〜さよならの先へ...はじまりのメロディ〜』レポート

ClariSはなぜこのタイミングで仮面を外したのか? ライブ演出・セットリストから読み解く

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「あのClariSが素顔を公開した!」

 一般的な話題性でいえば、ClariSが9月16日に開催したコンサート『ClariS 2nd HALL CONCERT in パシフィコ横浜国立大ホール 〜さよならの先へ…はじまりのメロディ〜』の感想は、そのひと言に尽きるのかもしれない。だが、少し考えてほしい。シングル『irony』でデビューしてから約7年、世間一般はもちろんメディア媒体とも一定の距離を置いて活動してきたClariSが、なぜこのタイミングで仮面を取ったのか? それは突然の思いつきなどでは決してないはずだ。彼女たち2人はいつの頃からか、ファンと素顔で向き合って出会うことを心の底から渇望し、そのために準備を重ねてきたのだと思う。

 先ほどデビューから7年と記したが、そのキャリアの長さに反して彼女たちがこれまでに行ったライブの回数は非常に少ない。最初に人前に姿を現したのは、2014年1月の主催イベント『2014 New Year’s Festival 〜始まりの予感…〜』。しかもそのときは紗幕越しにシルエットを映した状態での登場だった。その後、メンバーの変遷があってクララとカレンの2人組となり、2015年7月に初のワンマンライブ『ClariS 1st Live 〜扉の先へ〜』を開催。仮面を着用してはいたが、初めてシルエットではない生身の姿をファンに届け、2016年3月に初ツアー『ClariS 1st Tour 〜夢の1ページ…〜』、同年9月にはホール公演『ClariS 1st HALL CONCERT in パシフィコ横浜国立大ホール 〜星に願いを… 月に祈りを…〜』とライブを重ね、少しずつファンとの距離を縮めていった。

 そして特筆すべきは、今回のひとつ前のライブとなる2017年2月の日本武道館公演『ClariS 1st 武道館コンサート 〜2つの仮面と失われた太陽〜』での一幕。この日のライブ本編のラストに、クララとカレンの2人が客席から背中を向けて仮面を外し、スモークに包まれて去っていくというステージ演出がなされたのだ。その行為の意味するところはあくまで想像するしかなかったわけだが、結果的に見ると、それが今回のパシフィコ横浜公演の布石となっていたことになる。

 そんな流れのなか開催されたこの日のコンサートは、まずクラルス島に生まれた2人のお姫様の物語で幕を開けた。生まれたばかりであまりにも小さな存在だった彼女たちは、立派に成長するまで妖精の作った夢の世界のClariS城で育てられることになり、島にあるプラタナスの森の神木はウサギの執事・KUMAに、花々はメイドとなって2人のお世話を任される。彼女たちが夢の世界から旅立つその日まで……。後に明かされたのだが、ライブに沿って進行していくこれらの物語は、クララとカレンがみずから考案したもの。これまでのClariSのライブもストーリー仕立てだったが、本公演においては彼女たちの現在の心情が彼女たち自身の紡ぐ物語によって描写されたわけだ。

 ライブの序盤は、ClariSの2人の成長していく姿が楽曲を通して描かれていく。1曲目「ヒトリゴト」のラスト、お互いのことを指差す振り付けでそれぞれの存在を確かめ合ったクララとカレンは、続く「nexus」の歌詞〈繋いだ両手の先から〉の箇所で手を繋いでくるりとターン。さらに「プロミス」ではサビでお互いの指を合わせてハート型を作り出し、絆を深めていく様子を歌と動きの両方で表現する。4曲目「Collage」ではスクリーンにペガサスの馬車が登場。いままでのClariSのライブ写真が思い出のように浮かぶ夜空を、ペガサスが時間の経過を象徴するように駆け抜けていく。このように演者のパフォーマンスとモニターの映像とが補完し合いながら、ひとつの大きなストーリーへと結実していくのが、ClariSのコンサートの魅力でもある。

 ステージには、時に執事のKUMA(演じるのはダンサーの熊谷拓明)や仮面を付けたメイドたちが登場し、華麗なダンスでお嬢様たちをサポート。白い衣装から背中の開いた赤のドレスに着替えた2人は、艶やかな仕草の目立った「Tik Tak」や、〈二つ前の季節に 今更戻れない 振り返るはずもない〉という歌詞も印象的な「ホログラム」などを歌唱し、大人への階段を着実に昇っていく。ここで彼女たちのライブでは初となる、それぞれのソロパフォーマンスが挿まれたのも象徴的だ。カレンはミュージカルの定番『42nd STREET』のテーマ曲に乗せて、本職のKUMAにも負けないタップダンスを披露。クララはデビュー前のアリス☆クララ時代の楽曲「君の夢を見よう」を歌い、アカペラでの歌い出しから気持ちを込めて大切に声を届ける。

 そのように個々の魅力もアピールした2人は、クララとカレンの2人組になって最初に発表された楽曲「Clear Sky」で改めて手を繋いでみせ、次の曲「reunion」へ。歌詞の〈蕾のままだった明日を 咲かせるの〉という部分でお互いの手を交差して絡め合い、つぼみが花となって開く様子を振り付けでも表現する。執事やメイドに守られる存在だった2人が、ついに一人前のプリンセスとなったのだ。曲の終わりにはKUMAが登場してクララとカレンの戴冠式が行われ、ファンファーレと共にクラルス島のお姫様が誕生したことが宣言される。だが、それは同時に、彼女たちを見守ってきたKUMAやメイドが役目を終え、元の草木に戻ることを意味していた。

      

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