>  > 作詞家・小竹正人とLDHアーティストの“絆”

小竹正人『あの日、あの曲、あの人は』著者インタビュー

三代目JSBやFlower手がける作詞家・小竹正人が明かす、LDHアーティストとの“絆”

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 作詞家として小泉今日子や中山美穂などを手がけ、ここ数年は三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEやFlowerなど、LDH関連のアーティストへ歌詞提供を行なっている小竹正人氏。彼が3月29日に初のエッセイ集『あの日、あの曲、あの人は』を上梓した。同著は、彼がこれまで手がけてきた作品から厳選した全61曲の歌詞を掲載し、すべての曲にまつわる創作の思い出を書き下ろしエッセイとして収録。小竹氏の代名詞ともいえる「切ない世界観の歌詞」はどのようにして生まれているのかを理解するにはうってつけの一冊となっている。リアルサウンドでは過去、小竹氏へ同著の内容ともリンクしたキャリアにまつわるロング・インタビューを行なっており(http://realsound.jp/2015/04/post-3094.html)、今回はそこからさらに一歩踏み込み、初出の話やエッセイ集出版のきっかけ、彼とLDHアーティストの絆について、じっくりと掘り下げた。(編集部)

「自分の中で100%納得のいった歌詞を書けたことがない」

ーー『あの日、あの曲、あの人は』は、61曲の歌詞とそれに付随するエッセイを書き添えた作品です。このコンセプトが生まれたきっかけは?

小竹:最初は歌詞集とそれに付随するコメントを少し添えたものにしようと思っていたのですが、書いているうちに文章がどんどん増えてきたので、「だったら歌詞&エッセイ集として出そう」という決断に至りました。

ーー同著では小竹さんの作詞家生活25年を振り返っているわけですが、改めてご自身の過去作と向き合ってみてどうでしたか。

小竹:まず、こんなにたくさんの歌詞を書いていることに驚きでした。価値観やテーマが共通している楽曲もここまであるのかとビックリしましたし、よっぽど良い恋愛をしてこなかったんだなと客観視する機会にもなりましたね(笑)。あと、『あの日、あの曲、あの人は』は、ちょうど1日に1曲のペースで歌詞を読みなおしてエッセイを書いていたので、自分のなかでは61日間の日記のような作品になりました。

ーーご自身で客観視してみて、作詞家としての小竹さんはどういう人物だと思いますか?

小竹:なんでこんな長く、こんなペースで書き続けられたんだろうと考えたときに「自分は国民的大ヒット曲を持ってない作家なんだ」と思って。

ーー「花火」(三代目 J Soul Brothers)も「白雪姫」(Flower)もヒット曲ですよ。

小竹:でも、「およげ!たいやきくん」(子門真人)みたいな、老若男女に愛される、誰でも歌える曲ではないんですよ。実はいままで、私自身が自分の中で100%納得のいった歌詞を書けたことがなくて。もしかしたら、それは死ぬまで出てこないのかもしれません。その悔しさが原動力になっているからこそ、作詞家としてますますハイペースに作品を生み出し続けられているのだと思います。以前までは「25周年を区切りに少しペースを落とそう」なんて考えていたのですが、まだまだ勢いを衰えさせてはダメな気がします(笑)。

ーー直近でお話を伺った際(http://realsound.jp/2015/12/post-5624.html)も、「これまでのキャリアにおいて一番ハイペースかもしれない」と言っていましたもんね。

小竹:今年の前半はそれを上回るハイペースぶりですね(笑)。いろいろなプロジェクトにも携わらせていただいているので、楽しみにしていてください。

ーー「冬物語」(三代目 J Soul Brothers)と「熱帯魚の涙」(Flower)の章では、これまでファンがなんとなく感じていた「冬が好き」「夏が嫌い」という小竹さんの歌詞に感じる部分が明文化されていて面白かったです。

小竹:冬が好きですし、おそらく相性も良いんですよね。キャリアの一時期は冬の歌詞ばかり依頼がくることもあったりしました(笑)。人のことを書いているつもりが、自分自身がすごく出ているなと改めて感じた出来事ですね。

ーーその「自分自身」というのは、小竹さんの普段思っていることや考えていること、ということでしょうか。

小竹:いえ、「隠したい自分」が出ていると思います。「Nobody can,but you」(小泉今日子)の章にも書いたのですが、「一番の親友が『孤独』で、二番目の親友が今日子」なんですよ。そんな風にして近しい人にも見せないようにしている部分が、歌詞になるとはっきり出ていたり。

ーー「空に住む〜Living in your sky〜」(三代目 J Soul Brothers)の章でも「泣くときは絶対に一人で泣く」とありましたね。

小竹:そうなんです。人前で涙は見せないようにしていて……それはある種、本当の自分を見せないためのバリアなのかもしれないですね。人前で泣くことって私にとってはものすごく恥ずかしい自分をさらけ出すことなんで。

ーー以前のインタビューで「『自分は生涯作詞家です』と胸を張って言えるようになったのは、LDHに所属させてもらってから」と話していましたが、改めて小竹さんの目に、LDHという組織は当初どのように映っていて、今はどう見えるのでしょうか。

小竹:所属する前は、それこそEXILEがモンスターグループとして名を轟かせたあとだったので、地味な世界で生きている自分とは違う次元の出来事のように映っていました。所属させてもらってからは、逆に近すぎてその規模感がわかりづらい、というのが正直なところかもしれません。

ーー著書内では、若手のLDH所属アーティストについて、直接その歌詞を歌っているアーティストではないものの、楽曲を通じて彼らにまつわるエピソードが描かれているのも面白い部分でした。

小竹:まだ何にも持っていない、出会ったころは「普通」の若い子が、一つ一つ手に入れたり捨てたりしながら上に昇っていく、スターになっていく姿を見るのが好きなんです。だから若いメンバーとも積極的に交流しますし、それが作詞のヒントになることも多いです。初めて同じ空気の中で同じ時間を過ごしたときに、その人の人となりや可能性がなんとなく分かるし、自分にできることはやってあげたいと思うんですよ。あと、とにかく今回のこの本を出すにあたって、「私の作詞曲で何が好きか?」と仲のいいメンバーたちに聞きまくったので、それがすごくエッセイの中に反映されているんです。

ーー現在活躍しているメンバーやHIROさんにも、同じことを感じたのでしょうか。

小竹:そうですね。後輩のメンバーだと、今市隆二なんかは出会った当初の「素朴さ」や良い意味での「野蛮さ」が無くなっていなくて、でもいつの間にか頼り甲斐のある相談相手みたいになっていて。登坂広臣も気がつけば頼もしくなっているし、私を喜ばせてくれるようなことを多々やってくれるし。「こういう後輩たちに出会えたことってLDHに入ってできた私の財産だ」と本気で思います。

 HIROさんに関しては、最初に出会ったときは全く心が読めない人だなと思いましたが、次第に「こんな男に人生で会ったことない」という感覚に変わってきました。私自身、子供の頃から自立しすぎて「成績は優秀ですが子供らしくありません」と書かれるくらいの人間で(笑)、なんでも自分で自分のことをやってきたようなところがあるので、誰かにここまでよくしてもらったり、頼ったり、感謝したことがないというくらい、HIROさんのことは尊敬しています。

      

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