SKE48、全国ツアー千葉公演で示した力強さ 若手メンバーは“次代の一歩”をどう踏み出すか?

 SKE48が『47都道府県全国ツアー~機は熟した。全国へ行こう!~』を再開し、2月18日に千葉県文化会館でライブを行なった。2014年11月に開始されたこの全国ツアーは、短期集中型の巡業ではなく、長期間をかけて断続的に全国をめぐっていくスタイルになっている。そのため、時期によってグループ全体の姿も異なり、参加メンバーの編成も2015年まではチームごとの公演、そして2016年以降はグループ全体からそのつど参加メンバーが選出される形へと変化してきた。ツアー全体で統一的な色が見られるというよりは、公演会場ごとにその時期のSKE48の状況を反映したライブが行なわれている。

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 今回の千葉公演は、2016年4月に熊本地震の影響で熊本、大分各公演が中止になって以来、10カ月ぶりのツアー再開を告げるものだ。そして、この日の昼夜公演で用意されていたのは、SKE48のオリジナル劇場公演『手をつなぎながら』『制服の芽』『ラムネの飲み方』の楽曲を前面に押し出すセットリストだった。

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 「握手の愛」「恋を語る詩人になれなくて」で幕を開けたステージは、知名度の高いシングル表題曲をライブ終盤まで温存して、オリジナル劇場公演楽曲、特にユニット曲を次々に見せ、勝負をかけていく。自己紹介MC後に小畑優奈・松本慈子・高寺沙菜による「Glory days」から始まるパートでは、江籠裕奈の「枯葉のステーション」や北川綾巴・石田安奈・斉藤真木子による「雨のピアニスト」まで、劇場公演ユニット曲を15曲連続で披露し、「仲間の歌」で締めくくる。劇場公演楽曲を固めてホールコンサートに持ち込み、SKE48としてのオリジナル色を一気に見せつけていくライブ運びになった。

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 この千葉公演本編には、松井珠理奈や高柳明音、須田亜香里といったグループ内屈指のキャリアを誇る選抜常連メンバーたちが名を連ねていない。それだけに、この公演に参加した北川ら18人のメンバーが、ホール規模の公演でどこまでインパクトを残していけるかを試す場にもなる。ライブ全体を通じて多方面に頼りがいのあるパフォーマンスを見せたキャプテン・斉藤真木子らがライブの進行を支え、北川や江籠、熊崎晴香、後藤楽々などが次代の顔となるべく立ち回っていく。彼女たちがこの先、独自の魅力をどこまで強く発揮していけるのかが、ツアー終盤にかけても鍵になっていくはずだ。

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 昼公演のアンコールでは、2月22日に発売された2ndアルバム『革命の丘』のリード曲「夏よ、急げ!」披露のために、松井らがサプライズ出演した。もちろん、この公演の主役はライブ本編を担った18人のメンバーたちである。一方で、「夏よ、急げ!」をパフォーマンスする松井や高柳、須田といった選抜メンバーは、この一曲のみの登場ながら表現力の豊かさを見せつけ、インパクトを残していった。このサプライズ出演は、ライブ本編で活躍したメンバーたちが目指す背中がどのような力強さを持つものであるか、明確に示す瞬間でもあった。

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 同日には、全国ツアーの次なる日程、4月7日・8日の香川県および高知県でのライブ決定も発表された。今回、SKE48オリジナル公演のユニット曲を網羅しながらグループの色を打ち出したメンバーたちは、4月の四国公演でどのように次の一歩を示すのか、さらに、それ以降に組まれるはずの全国ツアー後半で、ホールライブの中心メンバーとしていかに観る者を驚かすことができるのか。ツアー全体の成功のみならず、SKE48という組織そのものの勢いも、彼女たち次代メンバーの充実度にかかっている。

(写真=(C)AKS)

■香月孝史(Twitter
ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。

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