Little Glee Monster、“最初の夢”武道館公演を達成 360度ステージで響かせたハーモニーの強靭さ

リトグリ武道館で響かせた強靭なハーモニー

 Little Glee Monsterが1月8日、東京・日本武道館にて単独ライブ『Little Glee Monster LIVE in 武道館〜はじまりのうた〜』を行なった。グループ結成以降、「メンバー全員が学生のうちに武道館で歌う」ことを目標のひとつに掲げてきた彼女たち。昨年1月の1stアルバム『Colorful Monster』リリースインタビュー(参照:Little Glee Monsterが目指す、ボーカルグループとしての夢「学生のうちに武道館で歌いたい」)でも、メンバーはそのことについて目を輝かせながら語っていたが、あれから1年でここまで到達することになるとは……しかし、改めて2016年の大躍進を振り返れば、それも納得いく結果のはずだ。

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 ライブ当日はあいにくの雨だったが、武道館は1万3000人という超満員の観客で埋め尽くされた。チケットが即日完売したというのもなるほど、頷ける話だ。会場に入ってまず驚かされたのが、ステージ後方の1階席はもちろんのこと、2階席までもが“ガオラー”(=リトグリのファンの総称)たちで埋め尽くされていたこと。ここまで客席が解放された武道館を久しく目にしていなかったし、なによりもこれが彼女たちにとって初の武道館ワンマンという現実を思うと驚き以外のなにものでもない。また、ステージセット自体も決して大掛かりなものではなかった。バンド隊の楽器を囲むかのように楕円形でランウェイが設置されていたり、リトグリのメンバーカラーをあしらった花道が客席に向けて6方向に伸びていたりという仕掛けはあったが、大会場でおなじみの大型LEDスクリーンはステージから天井寄りに長方形の大きなものが1セット設置されているだけ。この時点で、今日は“歌を聴きに”来たんだなということを強く実感させられた。

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芹奈

 定刻を過ぎ会場が暗転すると、場内には10代と思わしき女性ガオラーの大歓声が響き渡る。そしてステージに誰もいない状態で、リトグリが常々カバーしてきた「Seasons Of Love」を1人ずつ、アカペラで歌唱。歌っているメンバーと同じメンバーカラーの花道にスポットライトが当たると、歓声はさらに大きくなり、最後に6人のハーモニーが会場を包み込んだところで彼女たちが姿を現す。「武道館ーっ、みんな会いたかったよーっ!」という挨拶から、オープニングナンバー「SAY!!!」へと突入。白を基調とした衣装にタオルを手にしたリトグリは、サビに突入するとガオラーたちとともに頭上でタオルをクルクル回して、早くもステージと客席の一体感を高めることに成功した。また、曲後半のブレイクでは生バンドの演奏もない無音の中で芹奈が伸びやかなソロを聴かせる。その力強くも透き通るような歌声は、いかにこの日を待ち望んでいたかというポジティブな思いに満ち溢れていた。

 その後も「放課後ハイファイブ」「My Best Friend」とシングルナンバーを連発。今回のライブでも昨年の野音ワンマン(参照:Little Glee Monster、ブラスセクション追加の野音公演で生まれた新しい「調和」 )同様に、ブラスセクションを含む7人編成の生バンドがリトグリを支えるのだが、今回は坂東慧(Dr.)、笹井BJ克彦(Ba.)、半田彬倫(Key., Piano.)、宮本憲(Gt.)、吉澤達彦(Tp.)、榎本裕介(Tb.)、本間雅人(Sax., Key.)という凄腕ミュージシャンたちがリトグリ晴れの舞台をサポート。そんな彼らの名演を背に、リトグリの面々はいつも以上に安定した、みずみずしさとディープさが混在した歌声&ハーモニーを聴かせてくれた。

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MAYU

 最初のMCではMAYUが「(席によっては)見えにくいとかあるけど、絶対一人ひとりに歌を届けるから」と力強く宣言すると、続けて芹奈も「私たちとガオラーの夢だった武道館。今日は最高の日にしよう!」と客席に向けて語りかける。そこからは「私らしく生きてみたい」を筆頭に怒涛の構成に突入。2日前にリリースされたばかりの2ndアルバム『Joyful Monster』からの新曲を交えつつ、これまでの活動の集大成といえるようなセットリストで観るものを楽しませてくれた。

 このライブ前半の見どころは、まさにこのブロックで披露された新曲「Catch me if you can」から「Feel Me」「NO! NO!! NO!!!」にかけての3曲だろう。全編英語詞で歌われる「Catch me if you can」では、映画『ドリームガールズ』を思わせる往年のR&Bグループ的ラメ入りドレスを身にまとった6人が、息の合ったダンスを見せていく。続く「Feel Me」では実年齢を忘れてしまうほどの艶かしいボーカルを響かせ、「NO! NO!! NO!!!」ではハットやステッキ、椅子を用いたエンタテインメント性の高いパフォーマンスで観る者を圧倒させた。この演出は昨年春の全国ツアー(参照:Little Glee Monsterが全国ツアーファイナルで見せた成長 グループの新たな可能性を探る)でも披露済みだが、1年近く経った現在のパフォーマンスのほうがより説得力が増していたのが何より印象的だった。

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アサヒ

 ライブ中盤には、リトグリの面々とバンドメンバーとの掛け合いも用意。かれんはギター、芹奈はドラム、MAYUはトロンボーン、アサヒはキーボード、manakaはサックス、そして麻珠はベースと、それぞれスキャットで掛け合いを繰り広げ、その一歩も引かない熱量に目と耳を奪われた(アサヒのみフェイクではなく、「ポテト」など好きなものを口にするという、いかにも彼女らしいジョークも用意)。そこから、ニューアルバム『Joyful Monster』にちなんで“JOY(=喜び)”をテーマにしたアカペラメドレーを展開。ベートーヴェン「歓喜の歌(喜びの歌)」を軸に、「うれしい!たのしい!大好き!」(DREAMS COME TRUE)や「じょいふる」(いきものがかり)といったJ-POPの名曲、ファレル・ウィリアムス「Happy」の日本語詞バージョンなどを交えつつ、圧巻のハーモニーで観る者、聴く者を引き込んだ。

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麻珠

 さらにここから、「オレンジ」「小さな恋が、終わった」、そしてゴスペラーズのカバー「永遠に」とバラード3連発が続く。リリースからまだ日の浅いニューアルバム収録曲の「オレンジ」だが、このバラードは今後のリトグリにとって非常に重要な1曲になるのではないかとこの日実感した。それは、続く「小さな恋が、終わった」と対になったとき、双方の魅力がさらに増したことからもうかがえるはずだ。そして「オレンジ」ではアサヒが、「小さな恋が、終わった」では芹奈がそれぞれ大きな見せ場を持つように、「永遠に」では麻珠が大きな役割を果たす。1万3000人が360度全方向から見つめる武道館という特殊な環境でも、彼女はブレイク後のソロパートを見事に全うしてみせた。

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