『SMAP×SMAP』最終回が残したもの 太田省一が番組内容を振り返る

 12月26日、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)が20年9カ月の歴史に幕を下ろした。当日は「5人旅」をはじめとした過去映像の振り返りが多数を占め、ラスト十数分で新たに録り下ろされた「世界に一つだけの花」の歌収録映像がオンエアされた。

 放送後、そのパフォーマンスや番組の姿勢が様々な憶測を呼び、2017年になったいまも報道・ファンともに熱の冷める様子はない。リアルサウンドで『ジャニーズとテレビ史』を連載し、『SMAPと平成ニッポン 不安の時代のエンターテインメント』(光文社新書)、『ジャニーズの正体 エンターテインメントの戦後史』(双葉社)を近著にもつ太田省一氏は、テレビ史における同番組の意義と、最終回の放送内容についてこう語る。

「『SMAP×SMAP』は、今のテレビにおいて唯一といえる、歌ありダンスありコントありの王道バラエティで、しかもその形を変えずに20年近くも続きました。テレビ史においてもテレビのエンターテインメントの本道を歩んできた貴重な番組だといえるでしょう。しかし、最終回はそんな番組の終わりとしては特異な形になってしまいました。それはSMAPの解散理由がストレートに出ているものでもあったのでしょうが、その分この番組のもうひとつの特徴でもあった、森且行の脱退や稲垣吾郎・草彅剛の復帰の回のようなドキュメンタリー的な側面がより目立ったものになりました。しかしそうであれば必要だったはずの生放送での本人たちのコメントもなく、ある種のスッキリしなさを抱える、厳しく言えば中途半端なものになってしまいました」

 また、太田氏は「最終回の内容についてフォーカスされがちだが、その前週放送分にも注目してほしい」と続ける。

「前週の12月19日には、タモリさんをゲストに迎えた『BISTRO SMAP』が放送されており、その内容が実質的な最終回としてふさわしいものでした。番組では恒例となっている勝利チームの判定を求められたタモリさんが『判定はしない、人生で判定なんかどうでもいいんだよ』と言い放った。最後はタモリさんが5つ星の入ったバカラグラスをメンバーにプレゼントし、それを掲げた香取慎吾の左手がアップになりました。個人的には、最終回に歌った『世界に一つだけの花』で、中居正広が元々の振り付けにない部分として右手を掲げて5つの指を折り、最後手を広げて振ったアップのシーンと、このシーンがリンクしているように思え、感動しました」

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる