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文庫版『バンド臨終図巻 ビートルズからSMAPまで』刊行記念企画

“解散”を迎えられたことは幸せなことでもあるーー『バンド臨終図巻』著者座談会

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日本と海外、アーティストと事務所の関係性の違い

円堂:ソロに転身する際、恋人や妻が応援するというか煽るパターンもありました。そういえば、ハードロックから遠ざかって奥さん(キャンディス・ナイト)とブラックモアズ・ナイトをやっていたリッチー・ブラックモアが久しぶりにレインボーを再結成したと思ったら、バックコーラスにキャンディスがいたのには白けましたね。女房の監視付きかよって。

成松:ソロをやりたがる人は、バンドとの音楽性の違いがあるのかもしれない。バンドじゃないところで新しい表現をしたいんじゃないかな。

大山:僕が担当した安全地帯なんかは、玉置浩二の機嫌で活動が再開したり玉置のソロになったりの繰り返しですけど。

円堂:ボン・ジョヴィはバンド名の付け方として良かったですよね。ジョン・ボン・ジョヴィさえいればボン・ジョヴィだから。

成松:フロントマンや名ソングライターの発言力が大きくなって解散、というパターンもありますけど、エレファントカシマシや安全地帯のように、誰かを頂点に置いた君主制で文句を言わないのが国(バンド)を維持する方法かもしれませんね。

速水:ABBAも権力の差ができたケース。元々男女2組のカップルでできたグループだったんですけど、離婚して解散。その後、男2人が『マンマ・ミーア』のプロデュースで大成功して、ものすごいお金持ちになった。それで再結成はないといわれていたのが、去年急に再結成を言い出した。それは4人が揃うという意味ではなく、「最先端テクノロジー」を駆使したABBAの再生らしいんだけど、詳細は謎という。

大山:あと、結構強烈な仲違いで解散して再結成もしていないのは、僕が担当したオフコース。小田和正以外の4人は会っているし、小さなステージにも一緒に立っているんだけど小田和正だけは連絡が取れないそう。小田和正は鈴木康博といる時はビジネスを度外視して仲間として活動していたけど、鈴木康博が抜けてからはビジネスになってしまったようです。

成松:今回加筆したものでいうと、やはり再結成ものが多かったんですよね。

速水:再結成もので印象深いのはレベッカ。元々大して期待はしてなかったのね。ボーカルのNOKKOは、それ以前にテレビで歌ったりしても、声が出てなかったし。でも、再結成ライブは素晴らしかった。いきなり1曲目が「RASPBERRY DREAM」で、しかもNOKKOが全盛期のコンディションに戻っていて。あれはすごかった。

大山:レベッカは阪神大震災でも再結成してましたよね。解散していた時も別に仲違いしていた感じでもなかったし、世間的なニーズもあって、2015年には横浜アリーナでコンサートをやったり、紅白にも出ました。

速水:東日本震災後に再結成したビッグネームの中でも、もっとも話題を集めたのはプリンセス プリンセス。これはファンも驚いたと思う。かつて彼女たちは、再結成はしないって言っていたので、それが震災後のメンバーのやり取りの中で再結成が決まり、一瞬のお祭りではなく、夏フェスにも出て、ツアーもやってと、がっつり活動を再開した。

成松:あと、マネージャーが思いきり裏から糸を引いていたというバンドもいましたよね。SEX PISTOLSは、それで逆に解散できなかったという話でもありましたけど。

大山:事務所と揉めた解散で言うと、僕が担当したKARAですね。どんなに売れていてもメンバーは半年で10万円ぐらいしか貰っていなかった。「KARAは解散はしていない」とリーダーのギュリは言っているんですけど、活動は停止しています。デビューするまで事務所がほとんど親代わりでお金をかけて育てていたからそのぐらいは当たり前という考え方で、結局事務所と揉めて全員が段階的に契約を解除して、誰も事務所に残らなかったという状態でした。これは、グループの器を維持するかどうかの問題でもあるんですけど、例えば、単行本の時に書いたジャニーズの男闘呼組。事務所が付けた名前で事務所のものだから、本人たちがどうあろうが1人メンバーをクビにしてツアーも全部中止にしておしまいと決める。本人たちが主体ならば残せるんです。でも、SMAPも多分そうで、事務所がだめだって言ったらおしまいなんですよ。

速水:アイドルはそうなるね。ベイ・シティ・ローラーズなんかは、在籍したことがあるメンバーが、皆ベイ・シティ・ローラーズを名乗って活動を始めて大混乱した(笑)。

大山:でも、事務所が名前の権利を持っていて、本人達がいないところで勝手に辞めることを決めたり、存続したりするのは誰からも支持を得ない方法でしょう。

円堂:海外だと、例えばイエスを辞めたメンバーが『イエス・ミュージックの夜』とツアータイトルに付けて、自分のバンド名と同じくらい字を大きくして広告を出すことがあるじゃないですか。ホワイトスネイクがディープ・パープルのカバー中心の『パープルツアー』をやったり。日本ではそういうことがあまりできないということですよね。

成松:契約形態が海外のアーティストとは違いますから。あくまで日本は事務所所属が主流であり、エージェント契約ではない。海外だとマネージャーをクビにしたり、エージェントを解体してスタッフを新しくすることが可能ですもんね。

大山:僕がエピソードとして好きなのはHOUND DOG。大友康平がバンド名の商標登録を独占しようとして裁判所に棄却されるという。今ではメンバー全員をクビにしているのでHOUND DOGは大友1人しかいないですけど。

速水:人は金が絡むとめんどうなことになるっていう教訓の一例。

大山:バンドの私物化が上手くいっているのが、THE 虎舞竜の高橋ジョージ。まさにバンドを自分のものにして自由自在に使っています。

円堂:ビジネス的に面白みがあるのは、KISSですね。KISSはもはや企業ですから。

栗原:オリジナルメンバーで再結成したんだけど、エース・フレーリーとピーター・クリスは臨時雇用されたかたちで。期限付きで、本当に非正規雇用契約。

円堂:バンドのラインナップが複数あるという例では、エイジアが2つ存在していて、オリジナルメンバーが中心になっているエイジアと、不遇な時代を支えたジョン・ペインという人がやってるエイジア・フィーチャリング・ジョン・ペイン。彼はちゃんと公式に認められたかたちで活動をしています。家系ラーメン的な暖簾分けです。

大山:ネーミングライツをシェアしているんですね。

円堂:昔、ディープ・パープルを初期に脱退したメンバーが勝手にディープ・パープルを名乗ってツアーをやって法廷闘争になりましたけど、ジョン・ペインはそこらへんをクリアにしたかたちで活動しているんです。

速水:再結成にまつわるノウハウがしっかり刻まれている。

栗原:スティクスは、追放されたオリジナルメンバーが、自分がいないのにスティクスを名乗るのはまかりならん!と訴訟を起こした。ドアーズも名前については揉めてたよね。

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