KinKi Kids、Sexy Zone、アイドリング!!!、9nine…堂島孝平が引き出すアイドルたちの“色気”

 堂島孝平の手がける曲には、セクシーさとポップさが共存している。堂島は「葛飾ラプソディー」などを歌うソロシンガーとしてだけでなく、藤井フミヤや乙葉などへの楽曲提供でも知られているが、彼の楽曲はとりわけアイドルたちの潜在的な色気を引き出しているように思う。

 代表的なのはKinKi Kidsだ。彼らはデビュー曲「硝子の少年」から、<君は誰かに抱かれ 立ちすくむぼくのこと見ない振りした>と松本隆が書いた大人の恋愛を歌っていた。そんな彼らに堂島が楽曲提供を始めたのは、4枚目のアルバム『D Album』からだ。中でも14枚目のシングル曲「カナシミ ブルー」、27枚目のシングル曲「Secret Code」は彼らの持つ色気を最大限に引き出した楽曲だと感じる。堂島が作詞作曲した「カナシミ ブルー」はストリングスを多用しつつ、ギターの目立つロックチューンだが、裏声で<uh->と歌う部分がなんとも大人っぽい。同楽曲は低音ではなく、高音で色気を魅せているのだ。そして編曲とギターを担当した「Secret Code」は彼ら初のジャズ調の楽曲で、東京スカパラダイスオーケストラの茂木欣一らも参加するなどその音の厚みに圧倒される。しかし、そのゴージャスな音に負けぬKinKi Kidsの2人のセクシーな歌声を引き出しているのは、堂島の手腕と言えるだろう。

 男性アイドルでは他に、Sexy Zoneにも楽曲を提供している。Sexy Zoneは平均年齢19.4歳と若く、フレッシュな5人組である。しかし、堂島が作詞作曲した「Miss Mysterious」では大人な一面を見せている。同楽曲はシングル『勝利の日に』のカップリング曲でありながら、表題曲になりうるのではと思わせるほどキャッチーなイントロに驚かされる。ラテン調のメロディに乗せ、<秘密めいてる いじわるな Your whisper voice>とこれでもか、というほどにしっとりと歌い上げる彼らには、ファンならずとも魅了されてしまうだろう。

 また女性アイドルでは、アイドリング!!!の「Like a Shooting Star」の作詞作曲を担当している。同楽曲はまさに星のようにキラキラしたサビ部分とは異なり、Aメロは予想外にダークな印象を抱く。しかしそれが楽曲に深みを出しているのだ。<誰でもそう キレイなままじゃいられない 傷つくしか うまく変われなかった>という意味ありげな歌詞と相まって、どこか物憂げな曲になっている。

 さらに堂島が作曲を手掛けた9nineの「チョコレート革命」は、サビに向けて優しく盛り上がっていき、思わず口ずさんでしまうのは「葛飾ラプソディー」と共通しており、堂島のセンスがにじみ出ている。バレンタインを歌った曲だが、無邪気でキュートというよりも、どこか大人の余裕を感じさせるようなメロディになっている。

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