>  > 春畑道哉、自身の“音楽人生”を振り返る

ニューアルバム『Play the Life』インタビュー

春畑道哉が振り返る、TUBEとギターに打ち込んだ音楽人生「いいメロディは更新されていく」

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 TUBEのギタリスト春畑道哉が、ソロデビュー30周年、50歳を迎える節目に通算9枚目のフルアルバム『Play the Life』をリリースする。「人生を奏でる」というタイトル通り、本作には自身のこれまでの音楽人生を振り返りながら、様々な瞬間をギターインストという形で描いた全12曲を収録。ロックはもちろん、ラテンやポップス、さらにはEDMまで取り込んだ多彩なアレンジからは、彼の引き出しの多さと懐の深さをうかがわせる。これまで数多くのヒット曲を生み出してきた、そのソングライティングの秘密は一体どこにあるのだろうか。

 今作のアートワークを手がけた写真家レスリー・キー曰く、「最もセクシーなギタリストの一人」である春畑。しかし素顔はとても穏やかで、独特な間を持つ素敵な方だった。(黒田隆憲)

「“ギターを歌わせたい”と思いながら弾いています」

ーー今作『Play the Life』は、これまでのギターインストという流れを汲みつつ、エッジの効いたビートやシンセ音などEDM的な要素が加わったように感じました。

春畑:そうなんです。今回、TUBEでキーボードを弾いてくれている旭 純さんに、共同アレンジャーとして何曲か参加してもらって。今までとは違う新しい音色を試したんですよ。「俺は今、こういう音楽にハマっているんだ」みたいな感じで、幾つか好きなCDを旭さんに渡して聴いてもらったりしつつ。同い年で話も通じやすいので、非常にやりやすかったですね。ちなみに最近は、ゼッドが好きで参考にしました。

ーーああ、なるほど。ゼッドってロックの要素が多分にあるから、春畑さんのギターと非常に相性がいいですよね。

春畑:ありがとうございます。そう、ビートやシンセの切れ味とか、ボーカルのエフェクト処理の仕方とかロックっぽいんですよね。非常に気に入ったので、車の中でよく聴いていました。例えば「Smile On Me」のボーカルエディットは、ゼッドの影響です。歌をシンセの音色のように扱っているというか、何度もエディットをしながら人間っぽさをどんどん消していきました。その際、いろんなプラグインを試しましたね。結果オートチューンになったんですけど、 かかり具合、EQやコンプのバランス、空間系エフェクターの量など、ものすごく試行錯誤を繰り返しました。

ーーサウンドプロダクションで、他に試みたことはありますか?

春畑:普通ミックスダウンというのは1人のエンジニアが行なうものですが、今回はちょっと個性の違う、2人のエンジニアにあえてお願いしたんです。僕と、その2人のエンジニアと3人で、ミックスも打ち込みも、エディットも全て一緒に作業しました。人によっては嫌がることかもしれないんですけど、これが予想以上に良くなりましたね。1曲の中に様々な色が混じり合って、1+1が2以上になったというか。機会があれば、TUBEのレコーディング現場でも試してみたいですね。

ーー春畑さんのソロは、基本的にインストですが主旋律がはっきりしていて、まるでギターが歌っているように感じられます。

春畑:まさに、「ギターを歌わせたい」と思いながらいつも弾いています。ギターを始めたばかりの中学生の頃は、「いかに速く弾けるか?」ということばかり追求してましたけど(笑)、さすがに50歳にもなると「少ない音数で、説得力のある表現」ということを心がけるようになりましたね。まだまだ道半ばですが。

ーーご自身が歌わないからこそ、代わりにギターを歌わせているという感覚なのでしょうか。

春畑:ああ、確かにそうかもしれないですね。ほんと、アンプやエフェクターを探す時も、言われてみれば声に近い、息遣いを感じるようなサウンドを求めているところはありますね。アンプやエフェクターを選ぶ時も、ギターの手元のツマミを動かした時に、大きい音から小さい音まで正確にレスポンスしてくれる機種を探していますし。

ーーおっしゃるとおり、ギターなのに息遣いまで聞こえてきそうな気がします。

春畑:あ、本当ですか。それは嬉しいですね。

ーー具体的にはどんな機材がお気に入りなんですか?

春畑:すぐ思いつくのは、Free The Toneのオーバードライブとか。スティーヴィー・レイヴォーンやロベン・フォードが使う、ハワード・ダンブルのアンプのような、太くて暖かい音が目標なんです。

ーー今作はピアノ曲も2曲入っていて、どれも音の響きが印象的です。

春畑:「Mystic Topaz」は、僕が小さい頃からずっと家にあったアップライトピアノを自宅スタジオに持ち込み録音しました。エンジニアと相談して、蓋を全て外し弦をむき出しにして、そこにマイクを立てたんですけど、一度これでレコーディングしてみたかったので嬉しかったですね。

ーー打鍵の音や、ペダルを踏む音もかすかに聞こえて、その臨場感、緊張感がたまらない。

春畑:生々しいですよね。ミックスエンジニアもマスタリングエンジニアも気に入ってくれて、「これ以上、手を加えたくない。コンプもEQもリバーブも要らない」って言ってました。「Timeless」で弾いているピアノは、TUBEがデビューの頃からお世話になっている、ソニーの故・ミセス盛田さんの所有する1920年代のスタインウェイです。このピアノの音が大好きで、ミセスのご自宅へ行くたびにポロポロ弾かせてもらっては、「いい音だなあ」って思ってて。

ーーどの辺りが気に入っていたのですか?

春畑:決して完璧な音じゃないんですよ。鍵盤によって音量にバラつきがあったり、こもっていたりするんですけど、その入り乱れ方が「味」どころじゃなく素晴らしくて。クラシックのピアニストにはちょっと弾きづらいのかもしれないけど、ポロポロ弾くには最高に気持ちいいんです。オルゴールみたいな音色というか。で、ミセスに「これで録音してみたいんですけど」ってダメ元で頼んだら、「どうぞどうぞ」って言ってもらえて。エンジニアと一緒にプロトゥールズとマイクをリビングに持ち込み、貸切状態でレコーディングしました。夢のようでしたね。

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