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『JTNC』に対する日本からの回答? 気鋭のバンドWONKが提示するハイブリッドな音楽

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 今年の9月は『JAZZ THE NEW CHAPTER』が示したようなジャズの新潮流を象徴する傑作が続々とリリースされた“当たり月”だった。今や時代の寵児となったロバート・グラスパーのエクスペリメント名義での新作、そのエクスペリメントのベーシストであるデリック・ホッジのソロ作、そしてホセ・ジェイムスの片腕としてNYで活躍する黒田卓也のソロ作が、相次いで届けられたのだ。いずれも、それぞれの過去のキャリアを更新せんとする意欲作であり、ジャズという音楽が新たな局面を迎えていることを印象付けられた。

 そんな9月に、ここ日本から彼らに対する回答とでも言うべきアルバム『Sphere』をリリースし、鮮烈な登場を飾ったのが、“エクスペリメンタル・ソウル・バンド”(資料より)、WONKである。

 『Sphere』を一聴してまず驚いたのが、世界中で同時多発的に起こっているブラック・ミュージックの新たな胎動と完全にシンクロしている、ということ。具体的には、ディアンジェロ『ヴー・ドゥー』によって用意され、ロバート・グラスパー・エクスペリメント『ブラック・レディオ』で顕現化し、フライング・ロータス『ユー・アー・デッド!』やケンドリック・ラマー『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』によって拡張された路線の音楽を、彼らはごくごく自然体でやってのけているのだ。WONKのHPや資料には“TOKYO,JAPAN”という惹句が必ず添えられているが、彼らは明らかにグローバルなマーケットで勝負することを意識しているはずだ。ほぼ全編英語詞であることはもちろん、出音が世界水準なのである。

 ラジオ番組に出演した際のメンバーの発言によると、WONKはそもそも「J・ディラの系譜のビートを生でやりたい」として始まったという。そしてそれは、ロバート・グラスパー・エクスペリメントの初代ドラマーであるクリス・デイヴをはじめ、多くの新世代ジャズ・ドラマーが目指している地点と完全に一致する。サンプリング特有のヨレたビートを最大限に活かしたのがJ・ディラであり、クリス・デイヴらはそのビートを人力で再現することに腐心してきたのだから。

 ちなみにWONKというバンド名はセロニアス・モンクの名前“MONK”のMを逆さにしたところからきているらしい。『Sphere』所収の「Real Love feat.JUA&Shun Ishiwaka」はモンクの名曲「エビデンス」のエッセンスを抽出して作られたらしいが、 この曲が本作のエクスペリメンタル・サイドを代表するものになっている。ふらふらとよろめいているようなビートで幕を開け、メロウなフェンダー・ローズや酩酊感たっぷりのラップが被さり、かと思えば、リズムを非常に細かく割ってドラムンベースのニュアンスを見せるなど、実に多面的で立体的な演奏が披露されている。

      

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