音楽ストリーミング×シティガイドの新たな可能性とは?『TOKYO MUSIC BOX』中心人物に訊く

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 音楽ストリーミングサービス『KKBOX』と、東京シティガイド『タイムアウト東京』が、2015年11月よりプロジェクト『TOKYO MUSIC BOX』を始動させた。

 同プロジェクトは、1500万曲を有するアジア最大の音楽ストリーミングサービス『KKBOX』と、グローバルな視点でローカルなシティガイドを発信する『タイムアウト東京』が連動し、東京都内のミュージックカフェ、バーなど、コミュニティを通じた音楽体験ができる店舗を、店主、スタッフ、常連客が『KKBOX』アプリ内の約1500万曲からセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介していくというもの。全20回にわたり、ロック、ジャズ、ソウルから、ワールドミュージック、プログレ、クラブミュージックまで、幅広いジャンルの店を取り上げ、その魅力をディープに伝えている。

 今回のように音楽ストリーミングサービスと実店舗をつなげるという新たな試みを、両社はどのような意図で仕掛けたのだろうか。今回はKKBOX JAPAN LLCのマネージャーである山本雅美氏とタイムアウト東京株式会社の三木邦洋氏に電話取材を試み、2社がタッグを組んだ理由について訊いてみた。

 まず、山本氏はグローバルメディアとして展開している『タイムアウト東京』と、アジアグローバルで音楽サブスクリプションサービスを展開している『KKBOX』の共通点について「独特な視点で日本のカルチャーを海外読者に向けて発信しているオリジナリティあるメディア」と語り、2社が国内だけではなく、より広い世界を見据え、今後の展開を考えていることを明かした。また、三木氏は「マス向けへの発信ではなく、ディープな音楽好きをターゲットにすることがサービス活性化への有効手段である」という考えが『KKBOX』社との共通認識で、ライトユーザーではなく日常的に音楽にお金を払う層をターゲットにするうえで、2社がタッグを組む意義があると話す。

 では実際に『KKBOX』と『タイムアウト東京』が組むことで、どういう利点が生まれたのだろうか。三木氏は「通常の店舗取材ではお店の総合的な特徴を伝えますが、今回はある一点の特徴=音楽的側面にフォーカスすることで、読者に対してお店をチェックするという行動だけでなく、そのお店の核となる部分やメッセージを伝えることができました」と語った。また、山本氏は『タイムアウト東京』が都内を中心として、マスでは得られない街やストリートの独特な情報を持っていること、『KKBOX』が国内外で1,500万曲以上の許諾楽曲を保有していることをふまえ「“街というメディア×音楽”という新たな関係性で、音楽体験を提案する実験ができる」と提言。地域に根差すメディアと、オンライン上で強みを発揮する音楽サービスが、互いに手の届かない分野を補完しあい、相乗効果を目指す試みといえそうだ。

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