ザ・ビートルズ“クリスマス解禁”の衝撃 定額制音楽配信サービスへの楽曲開放は何をもたらす?

 ザ・ビートルズのカタログ音源が12月24日午前0時1分より、定額制音楽配信サービス向けにストリーミング配信されている。

 配信がスタートしたのは、『Apple Music』『Amazon Prime』『Google Play』『Deezer』『Microsoft Groove』『Rhapsody』『Spotify』『Slacker』『Tidal』の9社のサービスで、日本では『Apple Music』『Amazon Prime』『Google Play』の3サービスが使用可能。今回解禁されたアルバムは以下の通り。

『Please Please Me』
『With The Beatles』
『A Hard Day's Night』
『Beatles For Sale』
『Help!』
『Rubber Soul』
『Revolver』
『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』
『Magical Mystery Tour』
『The Beatles』
『Yellow Submarine』
『Abbey Road』
『Let It Be』
『The Beatles 1962 - 1966』
『The Beatles 1967 - 1970』
『Past Masters (Volumes 1 & 2)』
『1』

※一部サービスでは現段階で試聴不可の作品あり

 定額制音楽配信サービスにおいては、AC/DCやアデルなどが新作の配信を行わないと表明したり、レディオヘッドのトム・ヨークのようにロイヤリティの低さに疑問を投げかけるアーティストも少なくなかったが、ストリーミング向けに楽曲配信を行わない“最大の大物”だったビートルズ陣営による今回の解禁決定は、音楽業界全体にどんな影響を与えるのか。世界の音楽テクノロジーとデジタル音楽情報を届けるブログ『All Digital Music』を運営するデジタル音楽ブロガー、音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏はその背景をこう探る。

「今回、ビートルズのカタログが解禁されたことで特に重要な視点は、いかにして“ビートルズブランド”を今後も拡大成長させられるかを考えた結果、その答えとして『定額制音楽配信サービスへのストリーミング配信』にたどり着いたということです。カタログを保有するユニバーサルミュージックとビートルズ側は、特に若者層やデジタル/スマホネイティブの音楽好きが聴く機会を増やし、昨今のアナログ復活ブームに合わせて次世代のファン層の創出につなげる戦略を描いているはずです」

 たしかに、ビートルズの音楽を若者層に届けることを目標とした場合、現時点では定額制音楽配信サービスへの参入がもっとも効率の良い選択肢といえる。もちろん、CDなどのパッケージ販売への影響は避けられないが、ビートルズ陣営はストリーミング解禁の効果が中長期的にそれを上回ると判断したということだろう。

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