WaTのふたりは「解散」をこう語ったーー10周年記念ライブ詳細レポート

WaTのふたりは「解散」をこう語った

 ウエンツ瑛士と小池徹平による、シンガー・ソングライターデュオWaTが、メジャー・デビュー10周年記念のライブ「WaT 10th Anniversary Live 2015」を開催した。

 WaTとしては2008年の日比谷野外音楽堂以来となるライブとあって、会場となった品川ステラボールはこの日を待ちわびたファンの熱気に満ちている。ふたりが登場するや、「WaT、お帰り!」という声や、ふたりの名前のコールがあちらこちらからあがって、1曲目の「青春の輝き」を大歓声で包む歓喜の幕開けとなった。ふたりともさわやかな白い衣装だったが、ウエンツがMCで「いつもなら、WaTの白いほうウエンツ瑛士ですと自己紹介するんですけど――ふたりとも、白い!」と言ってフロアを沸かせ、そして「君が僕にKissをした」、「reStart」で、ふたりのハーモニーを響かせていく。続く「僕らの居場所」は、椅子に腰を掛けて弾き語りとなったが、椅子が準備されているときには、「あれ、今日静かじゃない? お客さん3人だったっけと思った」(ウエンツ)、「ストリートライブの最初の頃を思い出すね」(小池)と観客に語りかける。ひさしぶりのWaTのステージゆえ、観客には感慨深いものがあるのだろう。ふたりの動作や、言葉、歌を一時も見逃すまいとする、いい緊張感があった。「久しぶりのWaTですが、待っていてくれてありがとう」と観客に笑顔を見せる小池に、「え、それだけ!? じゃあ俺がいろいろ質問するよ、朝何時に起きた? 昨日は何時に寝たの?」とウエンツが小池に喋らせようとグイグイと攻めていく。そんなやりとりに、フロアからも問いかけやツッコミが飛んできたりと、ライブ中盤にはフレンドリーな温かさが広がっていった。ちなみにウエンツは前日、緊張で眠れなかったらしい。

 「卒業TIME」からはじまった後半は、躍動的でアッパーな曲が揃った。それぞれのソロ・パートに「徹平!」「えいちゃん!」と掛け声があがり、ダンサブルなロック・チューン「Hava Rava」はハンドクラップと歓声が一段と大きくなった。「僕のキモチ」では、観客をあおりながらシンガロングを誘って、会場を一体化させた。

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ウエンツ瑛士

 「今日は2回公演で時間も短いので、いろんな曲をお届けしたいと思ってMCも少なく、一気にガーっとやってきたので驚いたと思うんですが」とウエンツが切り出し、「2016年の2月に新曲をリリースするのですが、そのリリースを以てWaTは解散となります」と続けた。突然の報告に冗談と思ったのか、悲鳴の中で「ほんとなの?」という声も上がったが、涙を見せその決断を語るウエンツと、彼が言葉を詰まらせたのを引き継いで小池がこれがふたりで前向きに決断したものであることなど、自分自身の思いを口にした。2008年のライブ以降、それぞれの活動をし、自分と向き合う時間と、さまざまな仕事や作品と出会うなかでこの先についてより明確に考えたこと、10周年という節目のライブでこういう報告をすることを申し訳なく思っていると語り、真摯に今の思いを伝えようとするふたりの言葉を、観客はじっと聞き入っていた。すすり泣く声も多く聞こえたが、ちゃんと自分たちの思いを伝えたいというふたりの姿勢は観客にも伝わっているように見えた。

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