ゆるめるモ!が伝える“今しか作れない音楽”とは?「もっとたくさんの人を救えるようになりたい」

ゆるめるモ!、音楽表現を語る

 「ニューウェーブアイドルグループ」を標榜する6人組・ゆるめるモ!が、朝倉加葉子監督による映画『女の子よ死体と踊れ』で初の主演を務めることになった。映画についてはリアルサウンド映画部にインタビュー(「ゆるめるモ!× 朝倉加葉子監督が明かす、映画『女の子よ死体と踊れ』の撮影秘話」)が掲載されているのでぜひ読んでほしいが、音楽面も要注目なのだ。

 10月21日に発売される映画スペシャルCD『女の子よ死体と踊れ』は、ゆるめるモ!の中でもエッジの尖った3曲を新たに歌い直してリミックスし、さらに新曲2曲を加えたものだ。

 収録曲のうち既発曲は、ESGオマージュのベースラインが強烈な「あさだ」(初出は2014年の『Electric Sukiyaki Girls』)、同じく「Electric Sukiyaki Girls」初出の「アーメン」、そして2014年のアルバム『Unforgettable Final Odyssey』の終盤を飾っていた壮大なナンバー「OO(ラブ)」。さらに新曲として、「その他のみなさん」「人間は少し不真面目」という曲名からして一筋縄ではいかない2曲が収録されている。2曲とも、作詞は小林愛、作編曲はハシダカズマ(箱庭の室内楽)。小林愛は、初期からゆるめるモ!の楽曲を多数手がけており、特に彼女の作詞した「逃げろ!!」は、ゆるめるモ!というグループの思想性の根幹を表現した代表曲だ。ハシダカズマは、ゆるめるモ!への楽曲提供やバンド編成時のバンマスとして活躍してきた。まさに黄金コンビによる新曲だ。

 さらに映画の音楽は、岸野雄一との「ヒゲの未亡人」でも活動するゲイリー芦屋が担当。今回の音楽面についても、メンバー(もね、けちょん、しふぉん、ようなぴ、あの。ちーぼうは欠席)と朝倉加葉子監督に話を聞いた。(宗像明将)

「ゆるめるモ!っぽいですけど、意外と今までなかった曲でもある」(あの)

ーー今回、ゲイリー芦屋さんとゆるめるモ!の音楽はどう使いわけたのでしょうか?

朝倉:ゆるめるモ!の映画なので、やはりゆるめるモ!の曲をキーポイントで使っていきたいと思いまして、映画の編集の段階で曲を仮で当てていったんですよね。既存曲は新たに録り直してもらえることになって、新曲は雰囲気の近い既存曲を当てて曲のイメージを伝えて、凄まじいものを作っていただきました。5曲以外はこの映画をまとめあげるためにゲイリー芦屋さんにお願いして作っていただいてます。いろんな表情が出る映画にしたかったので、ゲイリーさんにいろんなジャンルが混ざった曲を作っていただいて、ゆるめるモ!の曲もあって、面白い感じになっています。

ーーゆるめるモ!のメンバーの皆さん、今回の新曲を聴いた感想を教えてください。

ようなぴ:エンディングで流れる曲(「人間は少し不真面目」)が特に好きです。最後に6人が神々しく舞い踊ってるときに流れてきて。レコーディングのときはそこまで感情が生まれてこなかったけど、映画で見たとき美しくて鳥肌が立ちました。

けちょん:「その他のみなさん」の歌詞が映画にすごい合ってるかな。「皆 出会って仲良くなったらすごい大きな『私たち』だね」とか、出会ったら大切なものを見つけたなーというイメージが私にはあって。最後の歌詞も「私だけもしかして ここから消える」とか、映画とリンクしてるなと思いました。

もね:私も「その他のみなさん」の歌詞やタイトルはゆるめるモ!っぽいなと感じるところがあります。「人間は少し不真面目」は、歌詞もメロディーも穏やかな曲はこれまでも「OO(ラブ)」とかがあったけど、それとも違った穏やかさが生まれたなと思います。レトロな歌謡曲の感じだなって思います。

しふぉん:映画を通じて出会いと別れを描いてるんですけど、新曲も出会いから別れまでを描いていて、映画の解説になってます。「その他のみなさん」は、別れをネガティヴに終わらせないものがあって、暖かいメッセージ性がこもってるなと思います。映画とライブで聴くのは全然違うと思うので、映画で聴いた人がどう思うのかなって考えました。

あの:ゆるめるモ!っぽいですけど、意外と今までなかった曲でもあるなと思います。「その他のみなさん」の歌詞はすごく弱音が多いけど、メロディーは楽しい感じだし、自分たちで笑ってるというか、弱い中にも強くて楽しい感じが入ってるのがゆるめるモ!っぽい感じがします。「人間は少し不真面目」は、曲がクレッシェンドで壮大になっていく感じや、途中のファンタジーな曲調が好きです。2曲とも映画とリンクしてて、映画あっての曲だなと思うので、スクリーンで聴いて必ず感じるものがあるんじゃないかなと思います。

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写真左より、朝倉加葉子監督、あの、しふぉん

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