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NMB48の13thシングルに見る、“選抜”の意味合いの変化 梅田彩佳の選出にも注目

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香月孝史
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 NMB48が10月7日に発売する13thシングル『Must be now』は選抜メンバー9人という異例の少数編成だが、これはNMB48のみならず48グループ全体のシングル選抜にとって新しい意義を切り開くものになった。AKB48グループのシングル表題曲の選抜は、その時々の新進メンバーを抜擢したり、センターやフロントのポジションを推移させることで、世代の継承やグループとしての現在地を見せるものになっている。とはいえ、それらは基本的にグループの主力になってきたメンバーが毎回選抜されたうえで、プラスアルファとして行なわれる手続きであるため、トータルでは常に相当数の人数が選ばれる。NMB48でいえば、表題曲の選抜は16人を基準に行なわれてきたし、最近はそれがさらに増員されて20人を超の編成になることも多い。選抜メンバーの顔ぶれで「グループ全体の現在地」を示すためには、それだけの人数を選ぶことは必然でもあった。

 しかし今回の表題曲「Must be now」はそうした48グループの選抜の意味付けからある種、解放されたものになっている。ダンスバージョンのMVが先行公開された同曲は、すでに各所で言われているように“ダンス選抜”という趣きがある。「ダンスを見せる曲」としてメンバーの選考基準をある要素に特化して人数も絞った、コンセプチュアルな選抜といえるだろう。こうした動きを、グループ全体の顔になるシングル表題曲で実践したことが今作の画期性である。もちろん、シングル表題曲である以上、そこに選ばれるかどうかはメンバーにとって小さなことではない。だからこそ6thシングル以来の選抜入りになった岸野里香や5th以来となる木下春奈について、選抜発表時に話題になることも多かった。ただし今回のシングルにとってより大きいのは、「選抜」というものに新しい価値観を照らしたことの方かもしれない。

 上述のように「Must be now」の選抜には明らかなコンセプトがある。だからこそ、メンバーの選抜理由も明確になるし、同時に他のメンバーが「入らなかった」ことの理由も明確になる。そしてまた、選抜の意味を相対化するようなコンセプトだからこそ、「選抜落ち」の意味はこれまでと違ってくる。今回のようにダンスを見せることに特化して少人数編成をとった意図が明らかな場合、もちろん選抜されたメンバーにとっては、特定の基準で選考した場合にグループ内で自分が一定以上のレベルにいることを確認できる。ただしまた、その選抜に入らなかったことは、ある限定的な基準で見た際にすくいとることができなかったに過ぎず、グループ全体の中でのメンバー自身の存在感自体を否定するものではない。基準が限定的だからこそ、選抜に入るか否かに過剰に意味を持たせなくてすむという機能もあるように思う。

 こうした選抜方法をあえてシングル表題曲で実践できたのは、NMB48に相応の環境が整っているということでもあるだろう。最も人目に触れやすいシングル曲である以上、常にグループの推移を見続けるようなファン以外にも最低限、キャッチーな打ち出しをする必要がある。そのうえでは、山本彩と渡辺美優紀の二人がグループを超えて知名度を獲得していることは大きいし、その二人が看板としてシングル曲に選抜されているからこそ、自由なコンセプトを表題曲に託すこともできる。さらにいえば、このコンセプチュアルな選抜が、奇策や手詰まりなどではなくあくまで「攻め」の一手に見えるのは、選抜されるか否かにかかわらず、強い個性がひしめいているNMB48の現状があるからだ。センターを経験した須藤凛々花、白間美瑠、矢倉楓子のみならず、このグループには自らの立ち位置にかかわらず己のキャラクターを発揮することに長じたメンバーが多く、その特徴がグループ全体を活性化し続けている感がある。少数選抜によって必然的に「落選者」が多く生まれる今シングルでも、それによって集団として勢いを削がれてしまうようには見えない。各人の個性が拮抗するNMB48の強さはそこにある。

     
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