ウルフルズ、復活後に見えた“バンドの原点”を語る「暑苦しくて、なんか明るい、それがウルフルズ」

150901_u_1.jpeg

 

 2014年5月に4年半に及んだ活動休止期間にピリオドを打ち、アルバム『ONE MIND』とそれに伴うテレビ等の各メディアへの出演、毎年夏恒例の地元大阪での巨大野外ワンマン『ヤッサ』、そして全国ツアー等、華やかに、にぎにぎしく、騒々しくロックシーンに戻ってきたウルフルズが、わずか1年強のインターバルでニューアルバム『ボンツビワイワイ』をリリースする。

 復活というお祭りによって、あらゆる方向から吹きまくっていた前作の時の追い風がなくなり、普通に存在しているベテランのロックバンドとしてリリースすることになる今作のほうが正念場のはずだが、そんな杞憂を1曲目が鳴った瞬間に蹴散らすような、アッパーで痛快で勢いに満ちて、ポップでコンパクトなすばらしいアルバムに仕上がっている。初期ウルフルズの持っていた闇雲なテンションや根拠ゼロなポジティビティや刹那的な明るさなどを、今のウルフルズが持っている音楽的な体力や肉体性や知性でもって最大ボリュームで鳴らしたようなこの全10曲は、どのように生まれたのか。このアルバムの制作の少し前にさかのぼり、「再始動してみていかがでしたか?」というところから、メンバー全員にじっくり訊いたインタビューをお届けする。(兵庫慎司)

「イス取りゲームのライバルはおらんってわかった」(トータス松本)

ーー再始動してアルバムをリリースして、ツアーを回った手応えはいかがでした?

トータス松本:まあ、やってよかったなっていうね、単純に。自分の音楽のキャリアがウルフルズから始まってるから、なんかもう、外されへんもんやなあというのをすごい実感したしね。演奏しても楽しいし、お客さんも無条件で盛り上がってるから、手応えめちゃめちゃあって。「やってよかったなあ!」っていう。それでツアーの途中から、もっとやれることとやりたいことが見えたっていうか。やっぱウルフルズって、こんなん他におれへんていうか。若手のバンドって、あんまり俺らみたいなんはやりたくないのか、出て来おへんよね。アホアホパワーみたいなことでやってる若いバンドっている?

ーーあんまりいないし、やっていてもなかなかうまくいってなかったり。

トータス松本:うまくいってないわけやろ? そういうのは俺も知ってるんよ。俺らはもう20年以上やってるわけやから、その敗因はわかるわけよ、なんでうまくいけへんかっていうのは。そこはだから、この4人が出会ったことも奇跡的やと思うし……理屈抜きでバーンと爆発する、そういうのは他におれへんやんか? それはいいことか悪いことかわかれへんけど、日本の音楽シーンでほかに替えがないっていうことは、すごくわかったんやな、やってて。いまだに俺らのイスを脅かすイス取りゲームのライバルはおらん。だったらその立場を活かして、もっとこんなこともやれる、あんなこともやれる、って思う。

ウルフルケイスケ:だから、まあ、幸せやなと思ったよね。バンドをやる幸せ、一緒に音を出せる幸せ、一緒にライブやれる幸せとか……そのウルフルズの幸せの中に自分もおるっていうのが幸せやし、こんなに聴きたいって言ってくれる曲があるとかね、こんなに観たいって言ってくれる人がいるとかね。幸せなことをやってるなあって思った。そこで、もっとシンプルな方がええのかな、いらないものを削ぎ落としていくようなことなんかな、とかね。それはサウンドにもあると思うし、ツアーやリリースするものにもあると思うし……世の中はこういう流れやからどうのこうの、じゃなくて、「自分らはこうや」ってことをもっと強く出していく。いちばん根本のことが大事なんやろな、って思ったかな。

サンコンJr.:率直な感想は「やっぱおもろいな」っていうとこでしたね。こんなバンドはいないと思うし、こんなことをやりながらも、メインストリームにいられるじゃないですか、自分らの気持ち次第では。昔から、人がやってるのと同じことは絶対やらへんし、誰もやらへんことを追求して、今があると思ってるし。そんなことを一緒にできる4人っていうのは、やっぱりすごいおもろいな、と改めて思いましたね。

ジョンB:僕は……自分のことっていうよりは、観る人聴く人が楽しくなったらいいなって、それだけ考えて。結局はそれがいちばん自分にとって……やっぱりお客さんがうれしそうな顔をするとすごいうれしいし、それがいちばん楽しいし、結局自分に返ってくるから。休止してる時もやっぱり……僕のソロのライブとかに来てくれるお客さんもそうやし、知り合いとか、スタッフとかも、やっぱりウルフルズを観たい、もう一回やってほしいっていうのをすごい感じたしね。それってすごいことやなあ、って。

ーーウルフルズの影を追ってないで今の俺を観てくれ!みたいには思いませんでした?

ジョンB:まあ、そういうふうな気持ちもあったけども……冷静に考えると「そやわなあ」って。普通は別に、バンドのベースのライブ、観に来おへんわなあって。

トータス・ケイスケ・サンコン:はははは!

ジョンB:いや、だって、他のバンドに置き換えて冷静に考えたら「そら行かんよなあ」って思うもん。だから楽しい、幸せな気持ちで帰ってもらうのがいちばん大事やなあって。それってなかなか難しいことやし、それをできる4人というか、スタッフとかも含めてやけど、そうやって活動できる場所、環境がある、それはほんとにすごいことで。そういうのを意識してやったかな、僕は。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる