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デビュー10周年アルバム『10fold』インタビュー

UNCHAINが楽曲リメイクで追求した、本場のグルーヴ『人を踊らすためには「音を抜いてナンボ」』

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【左から】谷浩彰(Ba./Cho.)、吉田昇吾(Drums)、谷川正憲(Vo./Gt.)、佐藤将文(Gt./Cho.)

 カバー・アルバムの連続ヒットで、新たなファン層を開拓しつつあるUNCHAINから届いた、デビュー10周年記念アルバム。『10fold』は、ロサンゼルス録音、代表曲の再アレンジ、新曲も2曲収録、グラミー賞受賞プロデューサーを迎えた最新型ダンス・グルーヴの追求……と、野心的な試みをたっぷりと詰め込んだ初の“リメイク”ベストだ。日本はもちろん世界中の人を踊らせたいという強力なモチベーションが生んだ、“ほぼ洋楽”な意欲作について、メンバー全員がアツく語ってくれた。

“今のUNCHAIN”でレコーディングしたら、絶対にいいグルーヴが出せるという確信

--近年はカバーでもすっかりおなじみのUNCHAINですが。あれ、いいシリーズですね。評判もすごく良くて。

谷川正憲(以下、谷川):ありがとうございます。最初は配信だけで、その次のオリジナルアルバムまでのつなぎのつもりだったんですけど。カバーのほうが話題になっちゃって、あれよあれよという間にもうアルバム3枚(笑)。3年連続3枚出して、カバーバンドになっちゃったねとか言われて。

谷浩彰(以下、谷):でも、そのぶん、オリジナルアルバムも出してるんですよ。

谷川:そう。3年連続、オリジナルとカバーアルバムを出しているので。今回のやつを合わせたら、3年で7枚。たぶん、そんなに頑張ってるバンドはいないんじゃないか?と書いておいてください(笑)。

佐藤将文(以下、佐藤):「頑張ってるバンド」とは書いてほしくないけど(笑)。

谷:つい最近まで、カバーだけのツアーをやってたんですけど……。

--どうですか、お客さんの雰囲気は。

谷:それが全然違うんですよ。普段ライブハウスに来ない感じの人が大半を占めていて。

谷川:カバーをやってるUNCHAINしか知らない人も、たぶんいるんでしょうね。

吉田昇吾(以下、吉田):カバーを3枚出して、ツアーをできるぐらいの曲数があって。そんなバンド、なかなかいないと思うので、うちらの強みになったと思うし、勉強することも多かったし。1年でカバーとオリジナルを出し続けるのは、正直キツかったんですけど、やって良かったなと思います。これでまた、オリジナルがガッと売れてくれれば。

--新作の『10fold』は、初のリメイク・ベスト。これは、そもそも、デビュー10周年の作品を出そうというところから始まってるんですか。

谷川:そうです。10周年だからベストを出したいけど、普通のベストじゃなくて……UNCHAINは10年間でいろんなことをやってきたし、それを今のUNCHAINでレコーディングしたら、絶対にいいグルーヴが出せるという確信があったので。それと同時期ぐらいに「Sadaharu Yagiさんという人がいるんだけど」という話を持って来ていただいて、Yagiさんがロスに住んでるので、じゃあロスでやりましょうと。だったら日本だけじゃなくて、どこの国でも通用するようなものをちゃんとやりたいという、最初からそういうコンセプトがあって、リメイクもそういう方向のアレンジに持っていきました。歌詞も全部英語にしましたし。

--すべてのピースが、いいタイミングで揃ったと。

谷川:そうですね。プロデューサーのYagiさんは去年グラミー賞を取って、次のプロジェクトとして「日本人のバンドをやりたい」と言っていて。いくつか日本のバンドを聴いていたみたいなんですけど、その中になぜかUNCHAINも入っていて(笑)。

谷:つなげてくれた人も、たまたまYagiさんに会って、たまたまUNCHAINを出したら、気に入ってくれたという。本当にそんな感じなんですよ。

谷川:最初にお話しした時に、「UNCHAINはこうしたらいいんじゃないか」という方向性について話してくれたんですけど。それが、メンバーの次に行きたい方向性に一致してたんですよ。「僕たちもそういうことがやりたいです」ということになって、晴れてロスに行くことになりました。

「踊れるか踊れないか」ということを、今まで以上に追求した

--1曲目の新曲「Kiss Kiss Kiss」を聴いた瞬間から、え、これUNCHAIN?というぐらい、すごいインパクトありましたよ。完全洋楽志向のダンス・グルーヴになっていて。

谷川:考え方というか、今までのバンド感が変わったかなという感じがしてます。UNCHAINには、ツインギターのロックバンドというイメージがあったと思うんですけど、それとは違うものになっているんじゃないかな?と思っていて。

--というと?

谷川:ツインギターというと、ギターロックというイメージが浮かびますよね、普通は。でも今回は、「踊れるか踊れないか」ということを、今まで以上にすごく追求したんですね。その結果、「ギターって、そんなに入るもんじゃねぇな」と。

--ああ。なるほど。

谷川:人を踊らすためには、「音を抜いてナンボ」というところがあって、たまにギターが出てくることによって立体感を出すという、そういうグルーヴを出すことが、今回挑戦した部分の一つです。ディスコ・ソウル、ファンクとか、ダンス・グルーヴものを聴くと、「そもそもギター、あんまり入ってなくね?」って思うじゃないですか。やっぱりそれが正しいんですよ、踊らすということだけで言うと。それで今回は、リメイクも新曲も、音数の少なさにすごくこだわって、ベースとドラムでグルーヴをしっかり出してます。

佐藤:バンドの方向性として、前作の『N.E.W.S.』とか、カバーアルバムの数曲もそうですけど、音数を減らす方向には向いていて。でも作っている途中で「ここはやっぱり、ギターほしくね?」とか言って、細かく入れていったものもあったんですけど。今回は思い切って「入れない!」という。

谷川:大好きなジャミロクワイとか、最近で言うとダフト・パンクの「ゲット・ラッキー」とか、ファレルの「ハッピー」とかも、めちゃくちゃ音数が少ないんですよ。こんなんでいいの?というぐらい、スカスカなんですよ。それで完全に成り立たせてる。そこに今回は挑戦したという部分があります。音数が少ないメリットとして、一個一個の音が太く出せるという利点もありますし。ギターも、ずーっと入ってるよりも、たまに出てくるほうが目立つんですよ。

--確かに。

谷川:それで立体感が出るし、踊れるし。その感覚をつかんでくると、どんどん楽しくなってくる。そういうグルーヴの出し方をしてます。

--新曲「Kiss Kiss Kiss」の気持ち良さは、そこが肝だと思います。さっき「ゲット・ラッキー」の話が出ましたけど、この曲のベースライン、CHICの「おしゃれフリーク」っぽいし。

谷:もろですね(笑)。「Kiss Kiss Kiss」のベースはほぼループで、ただノリやすさを追求してます。

谷川:途中でフレーズを変えちゃうと、ノリが崩れちゃう。自分たちがそうなので、お客さんもたぶん一緒で、ずーっと同じことをやってても、それが気持ちよければ聴けちゃう。実際、ロスでも一回ライブをやってきたんですよ。レコーディング終わったあとに。そこで早速新曲「Kiss Kiss Kiss」をやったら、その曲でお客さんが一番踊ってくれた。

--おお~。そうなんだ。

谷川:それはバンドの自信にもなったし。ロスに行った意味がすごくあったんじゃないかと思います。レコーディング・スタジオと同じ、ハウス・オブ・ブルースという名前のバーでやったんですけど、PAさんが最初「ふーん、日本人か」みたいな感じで、たぶんナメてかかってたと思うんですよ(笑)。それが音を出した瞬間に態度が180度変わって、「GREAT! GREAT!」ってハイタッチを求めてきたりして。

吉田:モヒカンで刺青入りまくりで、俺らみたいなバンドは全然好きじゃなさそうな感じなんですけど(笑)。それが僕らで一番踊ってくれました。

谷川:そういう、いろいろ楽しい経験をしてきました。

UNCHAIN「Come Back To Me」

--もう一つの新曲、「Come Back To Me」については?

谷川:これも「Kiss Kiss Kiss」と同じで、ほぼ同じことしかやってないですけど。たぶん一小節に音が二発か三発しかない(笑)。

谷:ベースに関しては、その時のテンションでフレーズを録ったんですけど、今ライブの練習をしてると、またノリが変わって来て。ちょっと違うフレージングになったり、そういうのが面白いなと思って。

谷川:遊びができるんですよ。音数が少ないぶん、足すことがすぐにできちゃう。

谷:今までと真逆ですね。今まではレコーディングで音を入れすぎて、ライブで抜くみたいな作業だったんですけど。

佐藤:どの曲もそうですけど、レコーディングは意外とざっくりしてるんですよ。今までやってきた緻密なグルーヴじゃなくて、もっと大きなグルーヴを意識して演奏したので、気持ち良くレコーディングできました。

谷川:Yagiさん、本当にざっくりしてて。テンションが上がると、コントロール・ルームでめちゃ踊ってて、あんまり細かいところを聴いてないというか(笑)。聴いてるんだけど、OKかOKじゃないかの判断のものさしがちょっと違うんですよ。今の演奏で踊れるかどうか、それだけで判断してる。

--なるほど。

谷川:だから、すごいスピーディーなんですよ。3回ぐらい演奏したら、もうOK。それがだんだんわかってきて、「チャンスは3回しかない」ということが(笑)。それで集中できたと思いますし、ライブ感がすごくありました。

佐藤:それがすごく、自分らの自信になりました。確実に、これからのUNCHAINの音の作り方は、変わっていくんだろうなと思います。

--これはもう、普通に洋楽です。

谷川:ありがとうございます(笑)。10年前に、「CD屋さんの洋楽コーナーにUNCHAINのCDが並ぶことが夢」とか、語ってたことがあるんですけど。まさに今、このアルバムで、それに近いようなことが起きてるんじゃないかと思います。英語の発音も、日本にいる間もアメリカ人のネイティブの人にレッスンしてもらって、むこうに行っても、リセルという、J-WAVEでナビゲーターもやってた人にずっと横についてもらって。今回は発音も、洋楽だと言ってしまってもいいぐらいのクオリティらしいです(笑)。

     
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