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市川哲史の「すべての音楽はリスナーのもの」第19回

BABYMETALが“元洋楽少年”を熱狂させる理由【国内篇】 市川哲史が人気曲から紐解く

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 昭和の昔から、女子アイドルは<やらされてる感>を常に背負っている。それは宿命なのだが、と同時に彼女たちの器量の見せ場でもある。

 例えばAKB48グループは、ずっと<やらされてる感>を漂わせてきた。総選挙とかチーム再編とか、運営サイドからのお達しに振り回されながら生き抜く姿は競争社会と自己責任の縮図で、まさに<やらされてる感>ワールドそのものだったりする。

 しかし峯岸みなみが坊主頭になった一昨年あたりから、生身の女たちの執念がとうとう決壊――ここにきて<やらされてる感>を乗り越えた者たちの修羅の場と化している。アイドルグループというより、エゴを隠しきれない女たち、だ。

 ももクロの場合は、世間的には自由奔放な<逝くまで少女>のイメージだが、実は大きいおともだちの妄想を「元ネタがわからない」まま一身に引き受けている。とはいえ<やらされてる感>とは真逆の、豪快な<やってあげてる感>はなんとも痛快で心地好い。

 すると今度はあまりにもストイックすぎて、一分の隙もない<やらされてる感>の美学に到達しちゃったアイドルが現われた。

 そう、BABYMETALである。ユーザーの立ち位置によってその温度差は激しいものの、いま最も「たまらない」アーティストなのだ。

 そもそもは2010年、多人数女性グループアイドル・さくら学院のクラブ活動、軽音部ならぬ「重音部」から派生したユニットだ。「ヘヴィメタル・サウンドをバックに激しいダンスと可愛い歌詞を唄う、年端のいかぬ3人組の女性アイドル」という、<アイドルとメタルの融合>がお題目だけれども、言ってしまえば当初は「企画物」の一つに過ぎなかっただろう。ざっくりした企画だもの。

 ところが制作陣の、おそらく面白半分で始めたはずのメタル魂が止まらなくなったようで、楽曲も演出もとにかく凝りに凝り始めると、やがて2012年秋に山海塾姿の超技巧派メタル職人たちによる<神バンド>がライヴで生演奏を担うに至り、本気で<ヘヴィメタル・アイドル道>を邁進する羽目になったわけだ。数奇な話である。

 そんなBABYMETALがいま、<21世紀最大最強の瓢箪から駒>になりつつある。

 日本国内では昨年から武道館2days→さいたまスーパーアリーナ→(アイドルなのにオールスタンディングの)幕張メッセ(失笑)と、ライヴのキャパは3万人規模まで膨張中。新曲のリリースや配信は極めて稀な中、成長記録のように随時作品化されるライヴDVD/BDがばんばん売れている。

 画期的だったのは「ギミチョコ!!」のMVが昨年、You Tubeで2000万回以上も再生されたことか。しかも内1500万回は海外ユーザーなのだから、なぜか日本よりも海外が激しく反応してしまった。それだけにレディー・ガガが昨年夏、自らの全米ツアー5公演でベビメタをオープニングアクトに起用したのも当然の話だろう。

 そして昨年に続き今年も、有名ロックフェス出演を含む自身2度目の海外ツアーを精力的に実行中だ。メキシコシティ、トロント、シカゴ、コロンバス、ミュンヘン、ストラスブール、チューリッヒ、ポローニャ、ウィーン、フランクフルト、ベルリン、レディングにリーズ……ばはははは。

 実際、最新映像作品『LIVE IN LONDON』には昨年7月と11月のロンドン公演がWで完全収録されてるのだけど、英国人たちが本気で熱狂している。彼らのクラウドサーフやサークルモッシュが、もはやただのオタ芸にしか映らないほどだ。11月の会場ブリクストン・O2アカデミーなんて5000人超満員だったが、昔シンニード・オコナーやレディオヘッドを観た会場なだけに<思えば遠くへ来たもんだ>感は尋常じゃないぞ、おい。

 『日経エンタテインメント!』最新号掲載の《2015年上半期ヒットランキング》では16位と一般大衆人気はまだまだ鋭意奮闘中だが、こうした海外人気がベビメタの追い風になっているのは間違いない。

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